19 / 146
レッツクッキング
しおりを挟む
俺とちひろは、前を歩く紬ちゃんの後をついて行く。すると5分程で閑静な住宅街にたどり着いた。
「ここが私のお家だよ」
そして紬ちゃんが指差した場所は二階建てのアパートの一室だった。
「こっちこっち~」
紬ちゃんは首からぶら下げていた鍵を使い、一階の一番右奥のドアを開く。
「送ってくれてありがとうございます」
紬ちゃんはペコリと頭を下げるが、その時にまたお腹からぐ~と音が聞こえてくる。
幼い子が腹が減って1人でコンビニに来るくらいだ。スナック菓子1つでお腹が満たされることはないだろう。
「ねえ紬ちゃん、良ければお昼御飯作って上げようか? このお兄ちゃんが」
「俺かよ!」
てっきりちひろが作る物だと思ったけどまさかの他人頼みだった。まあ料理を作るのは好きだからいいけど。
「本当! 楽しみ~」
それにこんなに笑顔で喜んでくれるなら料理しがいがある。
「これでお姉ちゃんの手作りを食べなくてすむよ」
しかし紬ちゃんは先程の笑顔とは一転して、ボソッと死んだ魚の目をして呟く。
そんなにお姉さんの料理は食べたくないのか? 逆にどんな料理を出すのかすごく気になったが、今は腹ペコの少女のお腹をいっぱいにすることを考えよう。
「じゃあ2人ともお家に入って入って~。たぶんお姉ちゃんももうすぐ帰ってくると思うから」
それなら2人分の昼ご飯を作った方が良さそうだな。
「「おじゃまします」」
そして俺とちひろは紬ちゃんに促されてアパートの一室へと入る。
居間へと案内されると部屋の中は綺麗に整理整頓されているようで、俺はひとまず安堵のため息をつく。
子供達だけなので部屋の片付けがされてなく、汚部屋とかしているんじゃないかと思ったが、どうやら違ったようだ。
「お兄さん、冷蔵庫の中の物を使って何か出来るかな?」
「ちょっと見せてもらってもいい?」
俺は紬ちゃんの許可を得て冷蔵庫の中身を見ると⋯⋯卵、鳥もも肉、玉ねぎ、それに調味料も一通りあった。
「これはあれがいいんじゃない?」
俺の背後からちひろが冷蔵庫を覗いて、何を作るか確信を持って言ってくる。
「そうだな。これなら子供が大好きなあれが作れるな」
「お姉さん、お兄さんあれってなあに?」
そして俺とちひろは紬ちゃんの問いに言葉を合わせて答える。
「「オムライス」」
「えっ? オムライス? 私もお姉ちゃんもオムライス大好きだよ」
紬ちゃんの反応は良さそうだ。これは今日の昼はオムライスに決定だな。
「じゃあオムライスにするよ。でもその前に1つだけ⋯⋯紬ちゃんもお姉さんもアレルギーは持ってないでいいかな?」
オムライスが大好きだと言っていたので大丈夫だと思うが、これは絶対に聞いておかなければならない。近年アレルギーを持っている子は多いと聞くからしつこいくらいに確認した方がいいだろう。
「私もお姉ちゃんもアレルギーはないよ」
「わかった。それじゃあすぐに作るからちひろと一緒に待っててくれ」
「うん!」
紬ちゃんはニコニコ顔で返事をしてくれる。こんな顔をされるとこっちも作りがいがあるというものだ。
「ここが私のお家だよ」
そして紬ちゃんが指差した場所は二階建てのアパートの一室だった。
「こっちこっち~」
紬ちゃんは首からぶら下げていた鍵を使い、一階の一番右奥のドアを開く。
「送ってくれてありがとうございます」
紬ちゃんはペコリと頭を下げるが、その時にまたお腹からぐ~と音が聞こえてくる。
幼い子が腹が減って1人でコンビニに来るくらいだ。スナック菓子1つでお腹が満たされることはないだろう。
「ねえ紬ちゃん、良ければお昼御飯作って上げようか? このお兄ちゃんが」
「俺かよ!」
てっきりちひろが作る物だと思ったけどまさかの他人頼みだった。まあ料理を作るのは好きだからいいけど。
「本当! 楽しみ~」
それにこんなに笑顔で喜んでくれるなら料理しがいがある。
「これでお姉ちゃんの手作りを食べなくてすむよ」
しかし紬ちゃんは先程の笑顔とは一転して、ボソッと死んだ魚の目をして呟く。
そんなにお姉さんの料理は食べたくないのか? 逆にどんな料理を出すのかすごく気になったが、今は腹ペコの少女のお腹をいっぱいにすることを考えよう。
「じゃあ2人ともお家に入って入って~。たぶんお姉ちゃんももうすぐ帰ってくると思うから」
それなら2人分の昼ご飯を作った方が良さそうだな。
「「おじゃまします」」
そして俺とちひろは紬ちゃんに促されてアパートの一室へと入る。
居間へと案内されると部屋の中は綺麗に整理整頓されているようで、俺はひとまず安堵のため息をつく。
子供達だけなので部屋の片付けがされてなく、汚部屋とかしているんじゃないかと思ったが、どうやら違ったようだ。
「お兄さん、冷蔵庫の中の物を使って何か出来るかな?」
「ちょっと見せてもらってもいい?」
俺は紬ちゃんの許可を得て冷蔵庫の中身を見ると⋯⋯卵、鳥もも肉、玉ねぎ、それに調味料も一通りあった。
「これはあれがいいんじゃない?」
俺の背後からちひろが冷蔵庫を覗いて、何を作るか確信を持って言ってくる。
「そうだな。これなら子供が大好きなあれが作れるな」
「お姉さん、お兄さんあれってなあに?」
そして俺とちひろは紬ちゃんの問いに言葉を合わせて答える。
「「オムライス」」
「えっ? オムライス? 私もお姉ちゃんもオムライス大好きだよ」
紬ちゃんの反応は良さそうだ。これは今日の昼はオムライスに決定だな。
「じゃあオムライスにするよ。でもその前に1つだけ⋯⋯紬ちゃんもお姉さんもアレルギーは持ってないでいいかな?」
オムライスが大好きだと言っていたので大丈夫だと思うが、これは絶対に聞いておかなければならない。近年アレルギーを持っている子は多いと聞くからしつこいくらいに確認した方がいいだろう。
「私もお姉ちゃんもアレルギーはないよ」
「わかった。それじゃあすぐに作るからちひろと一緒に待っててくれ」
「うん!」
紬ちゃんはニコニコ顔で返事をしてくれる。こんな顔をされるとこっちも作りがいがあるというものだ。
0
あなたにおすすめの小説
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
学校で成績優秀生の完璧超人の義妹が俺に隠れて、VTuberとしてネトゲ配信してたんだが
沢田美
恋愛
京極涼香。俺の義妹であり、あらゆる物事をそつなく完璧にこなす、スポーツ万能・成績優秀、全てが完璧な美少女。
一方の俺は普通の成績と並以下の才能しか持っておらず、なぜか妹に嫌悪されている男だ。
しかし、そんな俺にも一つだけ特筆して好きなものがある――それは、とあるVTuberを推しているということだ。
配信者界隈に新星の如く現れた『さすまた』というVTuberは、圧倒的なカリスマで、俺を含めたネット民を熱狂させていた。
しかし、そんな『さすまた』の正体が義妹である京極涼香だということを、俺は知ることになる。
……そう、これは俺と兄嫌いの義妹による、破滅の物語――という名のラブコメである。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる