姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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一心同体で・・・後編

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アースドラゴンはいきなり攻撃してきた俺を飲み込もうと口を開く。
 俺はアースドラゴンの顔の近くにいたから、その攻撃を避ける術がない。

「ウインドカッター」

 しかし俺が身を低くすると後方から風の刃が飛んで来た。風の刃は見事アースドラゴンの顔にクリーンヒットし怯ませたため、俺は難なく噛みつき攻撃を避けることが出来た。

 :今のタイミングで攻撃を食らわない⋯⋯だと⋯⋯。
 :リルさんナイスカバー。
 :さすがのコンビ。

 視聴者からも今の瑠璃の攻撃に称賛の声が上がる。
 そして俺達は危なげなくアースドラゴンのHPを減らして行き、後数発攻撃を食らわせれば倒せるという所まできた。

 :新クエスト雑魚じゃん。
 :いや、2人が強いだけ。俺らがやったら即死亡。
 :どんな素材が出るか楽しみ。

 この時、俺も視聴者もクエストクリアを疑わなかった。
 後はカッコ良くアースドラゴンを倒すために、俺は闘気を剣に集め、全てを斬り裂く必殺技、シャイニングブレードの発動準備をする。
 しかし、その考えは俺のパートナーである瑠璃も同じで、瑠璃は魔法使い最強の風魔法、全てを吹き飛ばし切り刻む嵐、テンペストの詠唱に入っていた。

「最後は私がとどめを刺しちゃいますよ~」
「いや、ちょっと待て! そのまま魔法を発動したら俺まで一緒に⋯⋯」
「風の精霊ジンよ⋯⋯我が魔力を糧に天へと昇る嵐を解き放て⋯⋯テンペスト!」
「お、おい!」

 だが俺の叫び声も虚しく、瑠璃が手に持つ杖から嵐が放たれる。
 そういえば瑠璃は、会話成立しない系のスキルの持ち主だった。
 とにかく瑠璃の魔法をかわさなくては。しかし俺は今、必殺技の発動動作に入っているため、動くことはできない。

「ジ・エンドです!」

 ノリノリの瑠璃のテンペストがアースドラゴンに当たる。するとアースドラゴンは断末魔を上げながらその場に崩れ落ちた。
 だがテンペストはアースドラゴンだけではなく俺も巻き込んでいた。身体の軽い俺はアースドラゴンとは違って、テンペストを食らうと宙に舞い上がり、みるみるとダメージを減らしていく。

「くっ! 堪えてくれ!」

 俺は祈る気持ちでHPを見ていると何とかギリギリ生き残ることが出来た。

「よし!」

 俺は思わずため息をついて安堵し、ガッツポーズを決める。だが喜んだのも束の間、テンペストで空を舞い上がった俺には着地する地面はなかった。

「た、大変です! リトさんが谷底に落ちていく」
「リルのせいだろうが!」

 そして俺はゲームオーバーになり、リルだけが素材を剥ぎ取っていた。

「お、俺の素材があ」
「まあまあ、リトさん落ち込まないで下さい。ダークマターは成功のもとって言うじゃありませんか」
「失敗は成功のもとな」

 瑠璃は素材を手入れたからいいさ。俺なんかこの1時間、無駄になったんだぞ。

 :いつもの展開ww
 :あれは避けられない
 :確実に狙ってやっている

 まあけど視聴者達は盛り上がっているからいいか。

「では、これで今日の配信を終わりにしますね」
「みんなも仲間と狩りをする時は、背後に気をつけるように」
「もし良かったらチャンネル登録、高評価をよろしくお願いしま~す」
「「ではでは、さよう~なら~」」

 こうして俺と瑠璃の秘密の時間である動画配信が終わりを遂げるのであった。
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