愛想笑いの吸血鬼

いち

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ソルベ -side- レブ (3/3)

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 ……

 パチパチ、と暖炉の火が燃える音を聞きながら読書していると徐々に眠くなってきた。

 ふとしたところで俺は彼に話しかけた。

「……探し物見つかった?」
「おや、眠くなっちゃいましたね」

 こっちを振り向いたフューネは胸に抱えている本を机に運ぶ。

「この中にあるはずなので、早く見つけますね」
「おお……」

 どっしりと積まれた分厚い本を眺めていると、彼は胸ポケットからメガネを取り出して、上から手に取りパラパラめくりはじめる。

「ふむ、調合辞典……これだと思うのですけど」
「見ていい?」
「もちろんです」

 立ち上がってフューネの横にたどり着く。ちらりと彼が持っている本を覗くと、細かい文字と不思議な植物のイラストが見えた。

「すごい難しそうな本だけど……何探してるの?」

 すると、笑みを浮かべたフューネが半歩俺に近づいて耳元に囁く。

「媚薬のレシピです」

 途端、αの香りが漂ってビリビリ肌が震える。

「っ、それって」
「吸血鬼の唾液から作る媚薬のレシピを探しているんです」
「お、俺に使う?」
「ええ」

 至近距離でフェロモンを吸うと胸の奥が熱くなって、足から力が抜けた。

 咄嗟にフューネに抱き留められ、彼の腕に身体をあずける。

 これだから……と自分がΩだったことを思い知る。こうなるともう抵抗する気になれない。

「……強制的に俺を発情させても、いいんじゃ」

 俺はフューネに埋もれながら呟く。

「私はレブに怖い思いはさせませんよ」

 フューネの眉がきゅっと寄って、溜息が頬にかかった。

「どうして? 吸血鬼でしょ?」

 一瞬眉を上げたフューネがほほ笑む。

「……いけませんね」
「え?」

 何が、と聞き返そうとしたけど、額に軽い口付けをされて流されてしまう。

 そのまま近くの椅子に座らされたけど、それでも倒れてしまいそうで無意識に彼のシャツを掴んだ。

「もう少し頑張れますか?」
「う、ん……」

 腕を持ち上げるのもやっとなのに、彼はゆったりと黒い革表紙の本を覗いている。

「ああ、これです。詳しく見るのは後にして、一旦寝室に戻るとしましょう」
「うー……」
「媚薬は満月の日までに完成できたらいいですし。楽しみにしててくださいね」
「いや」
「行為の最中でする吸血は絶品ですよ」

 口元を緩ませながらフューネが本を閉じる。

「……わかった。だったら、戻って寝たい」
「ええ」

 あきらめて眼を閉じるとすぐに俺は抱きかかえられ、本と一緒に寝室へ戻るのだった。
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