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無自覚モード
第5話 ギャルの弁当
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昼休み。
僕は隣のクラスの香久山美奈に呼び出されていた。
場所は、校舎の3階の奥にある教室。
空き部屋で生徒はほとんど近寄らない。
香久山さんは金髪のサイドテールでイマドキ風ギャル。
顔はもちろんスタイルも抜群だ。
マイペースでいつもまったり気だるげな雰囲気。
そして、生徒会に所属している。
適当な椅子に座ると、とある物を渡してきた。
「はい、今日の弁当」
「ありがとう」
香久山さんより一回りでかい弁当箱。
開けると、彩豊かなおかず。
食欲をそそる匂い。
うん、かなり上達している。
別の学園に通う彼氏のために手料理を練習しているらしい。
僕はその実験台。
最初はそれはそれは酷いものだった。
開けなくても分かる焦げ臭い。
中を開けるとそこはどこを見ても深黒。
黒インクでも塗ってるくらいの黒さだった。
口に入れたら分かる。
ゲロまずいヤツじゃん。
こんな不味い料理を一週間食べ続けたおかげでお腹には強くなった。
香久山さんの料理の腕は次第に上がり、今ではお店で出てくるレベル。
もう十分美味しいと言っているのに、未だに弁当を作ってくるのは何故だろうか?
まぁ、こんな美少女ギャルの手料理が食べられるなら、いいよね!
唐揚げ、卵焼き、ポテトサラダ……どれを食べるか迷い、唐揚げを選択。
口に入れると、サクッといい食感。
中は柔らかくジューシーで美味しい唐揚げ。
「……どう?」
「うん、めっちゃ美味しいよ」
「そ、」
卵焼きも甘くて美味しい。ミニハンバーグもモグモグ……美味しい。
なんだか僕、餌付けされてるみたい。
彼氏は羨ましいと思いながら、食べ進めていると、髪を指でくるくる回しながら香久山さんが尋ねてきた。
「アンタってさ、どんな感じの女が好みなの?」
「え、僕?」
「そう、アンタ」
「んー、巨乳でめっちゃ甘やかしてくれる子」
「ふーん」
「あとは……こうやって手料理を振る舞ってくれる子かな」
一応、頑張って料理を練習している香久山さんを遠回しに褒める言葉をかける。
これで少しは喜ぶだろう。
チラッと視線を向けると、香久山さんぽかーんと口を開けていた。
「香久山さん?」
「な、なんでもないっ。ほら、さっさと食え」
「は、はぁーい……」
どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
やっぱり彼氏と僕では褒め言葉でも差ができるのかな……。
*****
「美味しいよ、香久山さん」
本当に美味しそうにお弁当を頬張りながらそう言う日浦。
「もうこんなに上手なら彼氏さんも喜んで食べてくれるよ」
ここ数日。
日浦はそう褒めてくれる。
遠回しに弁当はもういらないと言いたいんだろう。
ていうか……そもそもアタシに彼氏がいるっていうのは嘘なんだよな。
日浦を昼休み独占する口実。
「そろそろアタシも仕掛けないとなぁ……」
同じクラスの立夏やあの小悪魔後輩が特に厄介だし。
「ん? 彼氏さんに何かするの?」
この何も分かってないすっとぼけ顔。
見ていてため息が出る。
まずはこの鈍感野郎に女の怖さについて教えてやるのが先かな……。
僕は隣のクラスの香久山美奈に呼び出されていた。
場所は、校舎の3階の奥にある教室。
空き部屋で生徒はほとんど近寄らない。
香久山さんは金髪のサイドテールでイマドキ風ギャル。
顔はもちろんスタイルも抜群だ。
マイペースでいつもまったり気だるげな雰囲気。
そして、生徒会に所属している。
適当な椅子に座ると、とある物を渡してきた。
「はい、今日の弁当」
「ありがとう」
香久山さんより一回りでかい弁当箱。
開けると、彩豊かなおかず。
食欲をそそる匂い。
うん、かなり上達している。
別の学園に通う彼氏のために手料理を練習しているらしい。
僕はその実験台。
最初はそれはそれは酷いものだった。
開けなくても分かる焦げ臭い。
中を開けるとそこはどこを見ても深黒。
黒インクでも塗ってるくらいの黒さだった。
口に入れたら分かる。
ゲロまずいヤツじゃん。
こんな不味い料理を一週間食べ続けたおかげでお腹には強くなった。
香久山さんの料理の腕は次第に上がり、今ではお店で出てくるレベル。
もう十分美味しいと言っているのに、未だに弁当を作ってくるのは何故だろうか?
まぁ、こんな美少女ギャルの手料理が食べられるなら、いいよね!
唐揚げ、卵焼き、ポテトサラダ……どれを食べるか迷い、唐揚げを選択。
口に入れると、サクッといい食感。
中は柔らかくジューシーで美味しい唐揚げ。
「……どう?」
「うん、めっちゃ美味しいよ」
「そ、」
卵焼きも甘くて美味しい。ミニハンバーグもモグモグ……美味しい。
なんだか僕、餌付けされてるみたい。
彼氏は羨ましいと思いながら、食べ進めていると、髪を指でくるくる回しながら香久山さんが尋ねてきた。
「アンタってさ、どんな感じの女が好みなの?」
「え、僕?」
「そう、アンタ」
「んー、巨乳でめっちゃ甘やかしてくれる子」
「ふーん」
「あとは……こうやって手料理を振る舞ってくれる子かな」
一応、頑張って料理を練習している香久山さんを遠回しに褒める言葉をかける。
これで少しは喜ぶだろう。
チラッと視線を向けると、香久山さんぽかーんと口を開けていた。
「香久山さん?」
「な、なんでもないっ。ほら、さっさと食え」
「は、はぁーい……」
どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
やっぱり彼氏と僕では褒め言葉でも差ができるのかな……。
*****
「美味しいよ、香久山さん」
本当に美味しそうにお弁当を頬張りながらそう言う日浦。
「もうこんなに上手なら彼氏さんも喜んで食べてくれるよ」
ここ数日。
日浦はそう褒めてくれる。
遠回しに弁当はもういらないと言いたいんだろう。
ていうか……そもそもアタシに彼氏がいるっていうのは嘘なんだよな。
日浦を昼休み独占する口実。
「そろそろアタシも仕掛けないとなぁ……」
同じクラスの立夏やあの小悪魔後輩が特に厄介だし。
「ん? 彼氏さんに何かするの?」
この何も分かってないすっとぼけ顔。
見ていてため息が出る。
まずはこの鈍感野郎に女の怖さについて教えてやるのが先かな……。
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