男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして？

分からせパート

第8話 立夏ちゃんを攻略しよう！

　ターゲット：七崎立夏
　攻略期間：5日

　作戦：強引に攻める


「ほう……」

　翌朝。
　いつも通り、鹿波ちゃんから起こされた後、送られてきたメッセージを見る。

　僕が今まで苦戦(優しく接することしかしてないけど)していたのに、たった5日で攻略できてしまうのか……。

　…………。

「5日で攻略できるの！？」

　通話でも言ってしまった。

『ええ、5日で十分よ。(まぁ、本当は3日でいけるけど)』

　鹿波ちゃんがハッキリ言うなら、そうなのだろう。

　え、七崎さんってチョロいんなの？
　
『あと、作戦を実行するに当たって条件があるわ』

「条件？」

『攻略対象以外の子とは極力関わらないこと』

　ってことは、お昼にいつもお弁当を持ってきてくれる香久山さんやよく構ってくる兎月ちゃんとは極力会わない方がいいのか。
 
　よし、会ったら全力で逃げよう。
　
「分かった！」

『ふふっ、じゃあ頑張ってね』

　と、鹿波ちゃんとの通話を終える。

「しかし、強引に攻めるか……」

　強引ってことは、多少なり無理矢理攻めるってことだよね。

　……どうやって攻めようか。

　さ、流石に襲うのはヤバいし、その他で……。

　今こそ、前世の知識を使う時では？

「前世の記憶を呼び起こすぞ」

　今日は作戦を練りたいので、部屋で朝食を食べるとしよう。


◆

(立夏視点)

　いつもは賑やかな食堂。
　だけど、今日は少し静かだ。

　理由は単純。
　日浦くんが来ないから。

　今日は部屋で朝食を取るそうだ。
　朝は絶対、食堂で食べるのに。

「はぁ……」

　思わずため息。

　日浦くんは女子に冷たくされていると感じているそうだが、実際はそんなことない。

　彼が微笑んで挨拶をすると、女性が黙る無視するのは、頬を赤らめて顔を背けてしまうから。

　挨拶されただけで浮つく。

　その柔和な笑顔はみんなの心を惹きつけてやまない。

「……今日は挨拶返してみようかな」

　返したら、どんな反応が返ってくるのかな。

　喜んでくれるといいな。

　そんな期待を抱きながら、私は粛々と白米とサバを口の中に入れていくのであった。