男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして？

分からせパート

第15話 外ではモテモテらしい

　この世界では、男性専用車両というものがある。
　痴漢やわいせつな行為を防止するため。
　襲われる危険があるのは男性の方。

　なので、ほとんどの男性がそれに乗るのだが、僕はそれが嫌で仕方がない。

　……何が悲しくてむさ苦しい男だけの車両に乗らなければならないのだ。

「アタシらは普通のでいくけど、日浦は男性専用車両に乗るか？」

「いや、僕も一般車両に乗るよ」

「大丈夫？　学園の女の子とは違って外の女性は危なっかしいよ？」

「前に乗ったことあるけど、男に痴漢されたよ。どうせ痴漢されるんだったら、女の子の方がいいし」

「お前ほんと変わってるよな……」

　一般車両の方に乗ると、女性だらけ。
　皆、視線が一定せず、それどころか無遠慮に僕の肉体を隅々まで凝視してしている様子。

「チッ、鬱陶しい視線だ」

「同感。大晴くん大丈夫？」

「うん、大丈夫だよ」

　綺麗な顔立ちをしている女の子が険しい顔をしていても綺麗。むしろイケメン。

　あれ？　僕って乙ゲーのヒロインだっけ？

　2人に守られながら電車に揺られること20分。

　目的地に着いた訳だが……

「ちょっと、男よ！　男がいるわ！」
「えっ！？　写真撮らないとっ！！」

　まるで人気アイドルが来たような反応。
　そして、女嫌いが男性のほとんどを占める世の中で、女の子2人に挟まれて歩く男が珍しいのか、やたらと人目を引いた。

　試しにはにかんで手を振ってみる。

「嘘っ！？　私に手を振ってくれたわ！！」
「はぁ！？　私よっ！！」
「――いやっほおおおおおおう！！」

　美人を崩壊させる勢いで歓喜を表現する女性たち。

　投げキッスをしてみるとさらに発狂。

　リアクションがいちいち面白いな。
　これぞ貞操逆転の世界って感じだ。

「日浦、遊んでんじゃねーよ」

「あはは、バレてたか。それにしてもうちの学園の生徒がどれだけ凄いか分かったよ」

　学園で笑顔で対応してもこんな雄叫びを上げるものは誰もいない。
　
　外にいると、自分がイケメンだと勘違いしてしまいそうだ。

「あの女の子たちさえ排除すれば、家に持ち帰れるんじゃない……？」
「むしろ、今すぐヤレるんじゃ……」

　爆弾発言と獲物を狙うかのような視線が向けられている気がするが、頑張ってスルーしておこう。

　電車では冷房が効いていたが、やはり外に出ると暑い。

　半袖のボタンシャツを着ている僕は、2つくらい開けようとした時、立夏ちゃんが慌ててが止めに入る。

「待って大晴くん、ここでは危ないっ」

「ああ、そうだった。ごめんごめん」

　学園では平気で第2ボタンまで開けるが、外では危険行為らしい。
　
　大量の舌打ちが聞こえたのはきっと気のせいだろう。

「あのな、日浦。もうちょっと自分の身体を大切にした方がいいぞ。そんな調子じゃ、いつか女子に襲われちまう」

　本気で心配している様子の香久山さん。
　
　女子にモテモテだぜ、ヒャッホーイと思っていた僕だが、その紳士な反応に、申し訳ない気持ちになった。