何もかも全て諦めてしまったラスボス予定の悪役令息は、死に場所を探していた傭兵に居場所を与えてしまった件について

桜塚あお華

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第31話※

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 唇を重ねたまま、クリスはそっとハイデンの後頭部に手を添える。
 その指先が、まるで壊れ物を扱うように優しくて――ハイデンの身体から、力が抜けていった。

「……大丈夫、全部、俺に預けて」

 囁く声は低く、熱を帯びている。
 その言葉通りに、ハイデンはもう抗わなかった。
 代わりに、ハイデンはふるふると首を振りながら、クリスの胸元に顔を埋めた。

「……ひとりに、しないでくれ、区r市う」
「ならない……お前が望む限り、俺はずっと、ここにいる」

 そう言って、クリスは静かに身体を倒していく。
 草の匂いが混じる湿った土の上、ふたりは身を寄せ合いながら触れあう。
 クリスの手が、ゆっくりとハイデンの頬をなぞり、そのまま首筋、鎖骨へと滑り落ちる。
 服越しに触れる指先が、濡れた肌を見つけるように探り当て――そのまま、首元のボタンを外し始めた。

「……や……こんなとこで……」

 かすれる声でハイデンが呟くが、クリスの指は止まらない。

「こんなとこだから、だ……今しかお前の事抱けないかもしれないだろう?」

 その言葉に、ハイデンは小さく息を呑んだ。
 ボタンが一つ、また一つと外され、シャツの間から浮かび上がる肌が月明かりに照らされる。

「……綺麗だ……こんなに、壊れそうなのに」

 クリスの目が熱を孕んでいる。
 それは獣のように飢えたものではなく、慈しみと欲望がないまぜになった、純粋な渇望。

「っ……く、りす……」

 震える唇に、再びキスが落とされる。
 今度は、舌が滑りこみ、甘く、絡めるように。ハイデンの舌を探り、くちゅ……と音を立てて、深く絡め合う。

 「んっ……ふ……ぁ、あ……」

 息が漏れ始め、クリスの手が、シャツの裾から忍び込み、胸元へ。指先が乳首をかすめ、そっと撫でると、ハイデンの身体がびくりと震えた。

「感じてる……?」
「ちが、っ……そんな、こと……っ!」

 言葉とは裏腹に、先端はすでに硬くなっている。指がそれを優しく挟み、ついばんでいく。ハイデンの呼吸がどんどん乱れ、声にならない声が喉を震わせた。

「……ほら、もう、こんなに……」

 耳元で囁かれながら、ハイデンは目を閉じた。
 何も見えない闇の中で、ただクリスの手のひらだけが、自分を形作っていく。

「く、クリス……」

 掠れた声が、夜の空気に溶けていく。
 クリスの指先が、ハイデンの肌を辿るたびに、そこに残る震えが少しずつ熱に変わっていく。乱れたシャツの前を開き、汗ばんだ肌にそっと唇を這わせる。鎖骨をなぞり、胸元を舌で愛撫し――硬く尖った先端に、優しく唇を寄せた。

「……っあ……ん、ん……」

 乳首を啄むたびに、ハイデンの喉から甘い声がこぼれる。その音に、クリスの理性は徐々に薄れていった。

「ハイデン、もっと……触れていい?」
「んっ……」

 問いかけるような声音に、ハイデンは何も言わず、ただ頷く。
 その仕草があまりにも健気で――それだけで、クリスの奥にある欲望が、静かに沸騰していく。
 ズボンの前をそっと緩め、下着ごと腰を下ろしていく。
 露わになった秘部を、月光が淡く照らした。

「……綺麗だ……お前の全部が、愛しくてたまらない」

 クリスの手が、熱を帯びたそこへ触れ、くちゅ……と湿った音が、静寂に響いた。
 指先がゆっくりと撫でるたびに、ハイデンの身体がくねる。

「やっ……ぁ、ぁ……やだ、そんな……っ、みないで……」
「嫌じゃない。全部、俺の目に焼きつけていたい」

 クリスはそっと膝を割らせ、自分の足の間にハイデンの身体を抱き込むようにして座らせた。
 その姿勢のまま唇を重ね、片手で内腿を撫でながらもう片方の手で、後ろを探る。

「……力抜け、大丈夫怖くない。俺が……ちゃんとするから……それに、一度は経験しているだろう?」
「あ、あれ、あれは呪詛の為に……んぁ……」

 真っ赤にしながらハイデンはクリスの言葉を言い返そうとしたのだが、すぐに言えなくなってしまう。
 するとクリスは懐から持っていた小さな瓶を取り出す。薄く香る薬草オイルを指に馴染ませ、ハイデンの後ろへとそっと触れた。

「っ……く、ぅ……っ」

 びくんとハイデンの身体が跳ねる。
 二度目なのだが、それでもその場所に触れられる感覚に、ハイデンは思わず身を引こうとしたが――クリスの腕がしっかりと彼を包み込んだ。

「大丈夫、無理はさせない。ゆっくり、少しずつ……」

 濡れた指が、慎重にその狭い入口を探る。
 くちゅ、ぬち、と音を立てながら、一本の指がゆっくりと沈んでいった。

「っ……あ、ぁ、ぁっ……!」
「痛い?やめるか?」
「……だい、じょぶ……っ、続けて……」

 震えながらも、必死にそう答える姿が、あまりにもいじらしかった。クリスは指の動きを止めず、徐々に中を広げるようにもう一本、指を増やす。
 内壁が慣れるまで、焦らず、丁寧に――ハイデンが苦しげな息を吐くたびに、クリスはその頬を撫で、唇を落とし肌を抱きしめた。
 そして、ようやく。

「……入れるぞ、ハイデン」

 熱く勃った自身を手で持ち、彼の後ろにそっとあてがう。

「……うん……来て、クリス……全部……」

 その言葉を受けて、クリスは腰をゆっくりと前に押し出した。
 ぬちゅ……と、湿った音とともに、硬く張ったモノが、ハイデンの奥へと侵入していく。締めつけが強くて、たまらない快感がクリスを襲う。

「っ……く、っ……すごい……中、熱い……」
「っ、ぁ……おっき、い……くるしい……っ」

 何度も息を殺しながら、クリスはゆっくりと奥へ――一番深い場所まで、到達する。
 二人は重なり合いながら、ただ、静かにその繋がりを確かめるように呼吸を合わせた。
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