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本編
82話 雪原にて その30
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その頃六花商会事務所である、二階の会長室兼事務室でエレインは一人、ボーっとイフナースのお守りを見つめて考え込んでしまっていた、この部屋のもう一人の主であるカチャーはギルドへ打合せに出掛けている、もうすっかり一人で動いているカチャーであった、テラの薫陶厚く、また本人の適性も高かったようで、どうやら仕事についてはエレインの方が足を引っ張ってしまっている事も多く、それでもエレインを立てる事を忘れないカチャーにエレインはすっかり依存してしまっているなと感じる事が増えてきている、いや、それはオリビアやテラにも同様に感じていたし、他の従業員達もそれぞれに得意な分野を活かして力を貸してくれている、エレインからすれば実に器用で生真面目で、輝かしく見えてしまう程で、それに比べて自分は何が出来ているのであろうかと悩んでしまう程であった、挙句、イフナースからの求婚である、一体私の何を見て彼がそう決断したのかまるで理解できなかった、王家の仕来りについてはエルマから少しは聞いたし、テラやマリエッテの乳母からは助言のような昔話を聞いてしまっている、そしてどうやらソフィアとユーリ、さらにはタロウまでもがそのイフナースの真意を薄らぼんやりとであろうが感じ取っていたらしく、確かに一時期はやたらと呼び出されたような気がするし、他に都合の良い相手がいなかったのもあると思う、いや、その時はそう考えていた、しかしどうやらその頃から気はあったようで、あの頃何があったかなとエレインは首を傾げるも、何とも忙しくしていたかなという適当な記憶しか思い出せなかった、それは昨晩も同じである、タロウが帰って来たと思えば何やら皆でコリコリとやり始める事になり、これはこれで楽しいな等と思ってしまい、気付けば皆集中していた、あっという間に大量の魔法陣を刻んだ木板が完成し、これだけあればなんとかなるとタロウは微笑み、リンドもありがとうございますと嬉しそうに微笑んでいた、それからバタバタと入浴し、気付けば朝である、細かい作業に集中した為か特に悩むことなく眠りに落ちた、二日前の夜はなんとも寝付けずモソモソとしていたのである、もしかしたらその寝不足も手伝ったのかもしれない、どちらにせよ今朝は気持ち良く目を覚まし、大変に美味しい麦粥を堪能してしまった、ジャネットやルルがもっと食べたいと騒ぎ出した為ソフィアが明日から量を増やさなければならないかしらと苦笑していた、エレインとしても確かにもう少し食べてもいいかなと思えるほどに美味しく感じる麦粥であった、テラとエルマがそのアツリョク鍋に御執心で、オリビアがソフィアと共にその仕組みを解説すれば、なるほどこれは売れるかもとエレインも前のめりになってしまい、テラが早速リノルトさんと打合せしましょうと鼻息を荒くしていた、ソフィアは取り扱いには充分に気をつけてと若干冷静で、さらには普通の家庭で使うのであればこれほど大きくなくていいだろうとも口にしていた、確かに巨大な鍋である、しかしその見た目に反し調理できる量はそれほどでもなく、寮の人数分をまかなえる程度らしかった、それでも量的には十分であろうと思われるが、一般的な家庭となると精々多くて6人程度であろう、となればその鍋は確かに大き過ぎる、その辺はまたリノルトさんと相談しましょうとソフィアは言っており、それを待ってから商品化でもいいのかなとエレインは思ったものである、そして、
「フー・・・」
と何となく溜息をついてしまうエレイン、何を考えていたのだったかなと考え、あっ、殿下の事かと視界には収めていたが認識していなかったお守りへ焦点を合わせた、すっかり見慣れた小さな木工細工、寮の生徒達や関係者達、自分もそうであるし、さらには王家の面々もその腰に下げている、若干黒ずみ薄汚れた木製の小さな飾り物、どういう経緯でこれを身につけるようになったのだったかなと自分の腰に下げたそれに手を伸ばすも、あぁミナちゃんが大騒ぎしてつける事になったんだったかと思い出し、フフッと微笑んでしまう、つい数か月前の事であるにも関わらずとても懐かしく感じたのだ、あれから色々あったなーと思い、あぁいけないと思考を戻した、今考えるのはそれでは無い、そして机上のお守りに目を移すも、どうやら答えは無いようだと考える、いや、答えなど一つしかないのである、自分はあくまでこの王国の貴族であり、そうあろうと生きて来たつもりで、しかしそれはいつからそう意識していたかは分からない、あの騒動の後であったか前であったか、こちらに一人放逐された後であったか、いや、恐らく兄達が死んだと聞いた時からかもしれない、なんともうろ覚えで曖昧であった、優しかった兄達の顔はうっすらと思い出せるもその声までは思い出せなかった、ただ小さな自分を見下ろし笑顔であったその顔だけが思い出され、その側には大嫌いなトーラーと大好きなマリアもある、当然両親の顔もあるが、それは笑顔では思い出されなかった、どうしても別れる時の寂しげな顔しか思い出せず、と同時にこの場にマリアがいてくれればと願った事が思い出される、そうなると両親が今側にいたらなんと言ってくれたのだろうかと思うも、それもまるで想像できなかった、離れて暮らすとはこういう事なのかなとエレインはなんとなく考える、そして、
「・・・喜んでくれるのかな・・・」
小さく呟いてみた、静かな室内に小さな呟きが染み渡る、暖炉の薪が小さく爆ぜた、
「であれば・・・嬉しいのだけど・・・」
スッと目を細めるエレイン、マリアからはあなたの好きにしなさいと言われている、トーラーも側に入るがあれに相談する事は無いと思われる、なにせ自分よりも殿下寄りの立場なのだ、もしかしたら殿下に考え直せと進言するかもしれない、それはそれで楽しそうだし構わないかなとも思うが、変に他の誰かを巻き込むのは違うような気がする、騒動が大きくなれば王妃様達やパトリシア様の耳に入るのは確実で、そうなるといよいよ断り切れない状況になるも、他の何かが邪魔をしてきそうな気もする、それが何かは分からなかったが、相手は王族なのである、テラからはキッサ室が貴族の客でいっぱいになってしまったと報告を受けていた、つまりはそれだけ貴族らしく動く者が多いわけで、どうやらある程度秘密裡に動くのが正しいと思われた、それほどの大事なのであった、受けるにしろ断るにしろである、
「・・・貴族って・・・めんどくさいだけなのかもな・・・」
ソフィアが時々そう言っているのを思い出す、ユーリやタロウも同意見のようで、テラやエルマ、オリビアはその都度不愉快そうに顔を顰めているが、まったくもってその通りなのであった、このまま商会の経営で食べていけるかなと思っていた矢先でもある、貴族の立場は利用できるだけ利用して、嬉しい事に従業員も友人達も皆有能で、少しばかり自分が抜けていてもなんとかなっているらしい、テラは組織とはそういうもので、経営者とは常に従業員の事を考えるべきだと口にしているがその通りだと考えられるようになってきた、しかしテラはそれだけでは組織は生き残れないとも言っている、一体どうすればいいのだと問えば、上手い事やる事ですとニヤリと微笑んでいた、その上手い事が俗に言う経営の肝なのだとか、テラも勉強中ですと誤魔化しており、テラがそう言うのであればもっと勉強が必要そうだわねと答えると、生きて元気な内は勉強し続けるものですと返されていた、確かにその通りと頷くしかなかったのである、
「また・・・違う事を考えているかな・・・」
フーと溜息をついた瞬間である、
「失礼します」
トントンと扉が鳴りリーニーがスッと顔を覗かせた、
「ワッ!!」
思わず叫ぶエレイン、あっすいませんと咄嗟に謝るリーニーである、
「大丈夫、どうしたの?」
あせあせとイフナースのお守りを懐に仕舞った、
「はい、えっと・・・」
とリーニーが振り返ると、
「ごめん、エレインさん、いい?」
ヒョイとカトカが顔を出す、
「えっ、どうしたんですか、珍しい」
スッと腰を上げるエレイン、
「これ、所長とソフィアさんが話したいって」
「話したい?」
ん?と首を傾げるエレイン、カトカがズイッと入室し、
「忙しい所ゴメンね、大至急とか言っててさ」
手にした木板をエレインに差し出した、あっ、昨日のあれかとすぐに気付いたエレインである、しかし、
「・・・これがなにか?」
思いっきり首を傾げた、リーニーも部屋に入り何だそれはと首を伸ばす、
「・・・もう・・・ほら、昨日使って見せたでしょ」
ニヤーと微笑むカトカ、ん?とさらに首を傾げるエレイン、カトカはさらにニヤニヤと微笑み、
「こうするの」
と木板に魔力を落とす、なんだこりゃとリーニーがさらに首を伸ばした瞬間、
「あっ、光った」
「繋がったのよ」
「そっか、聞こえるー?」
ユーリの甲高い声とソフィアの小さく遠い声が響いた、
「わっ、なんですそれ・・・」
リーニーが唖然と目を丸くする、
「聞こえますよー、エレインさん、どうぞ」
ニコリと微笑み木板をエレインに向けるカトカ、エレインはエッ、アッ、と焦りつつ、
「聞こえます、エレインです、どうしたんですか」
思わず大きな声を出してしまった、昨晩は実験しているのを傍で見ていただけで実際に使用していない、それ故にどう話せばいいのかまるで判断できなかったのだ、
「ごめんねー、忙しいでしょー」
ユーリの甲高い声が返ってくる、さらにおおぅと目を輝かせるリーニー、続けてユーリは、
「あのねー、あっ、そうだ、他の人に言っちゃ駄目よー」
なんとも明るい声であった、
「えっ、何がですか?」
どういう事かと顔を上げカトカへ確認するエレイン、カトカもん?と首を傾げ、
「私邪魔ならどきますけどー?」
カトカが木板に語りかける、
「あっ、アンタはいいの、ほら、身内以外には言っちゃ駄目って感じー?」
「身内ってどこまでですかー」
もうと眉を顰めるカトカ、まったくだとエレインも眉根を寄せる、
「あー・・・あれだ、大っぴらにするなって事、エレインさんの周りだとあれね、従業員さんは良いけど、その従業員さんには口留めが必要ね」
「そりゃまた・・・」
「めんどくさい事言いだして・・・」
さらにムーと眉を顰めるカトカとエレイン、リーニーはこれはまずいかなと音も無くソッと後ずさる、
「そうねー、でも、ほら、それも三日もあれば解禁されるでしょうけどねー、ここ数日は黙っておけって事でさ」
「だから何なんです?エレインさんだって暇じゃないんですから」
「それは理解してるけどー、あっ、じゃ、簡単に言えばね、パトリシア様が産気付いたのよ」
ヘッと言葉を無くすカトカとエレイン、リーニーも扉に手をかけ振り返る、
「だから、今日か明日にも生まれるかもでー、エレインさん、なんか準備してたんでしょ?」
「・・・えっ、あっ、はい、その通りです、はい」
「だよねー、だから、ほら、どうせさ、少し落ち着いたら呼び出されるかもだからさ、その時までに準備しておけばーって事、それだけー」
あっさりとユーリが切り上げるも、その木板はまだ起動したままである、この木板の使用上の注意点として、起動した側からしか切断できないのであった、すると、
「別にわざわざそんな事に使わなくてもいいんじゃないの?」
ソフィアのめんどくさそうな声が届く、
「だってさー、アフラさんがエレインさんにも伝えてくれって言ってたしー」
「そうだろうけど、だってすぐすぐに行けるわけもないじゃない」
「わかんないよー、パトリシア様もなんのかんの言って暇だろうからねー、少し元気になったら遊びに来るんじゃない?」
「じゃ、その時でいいでしょ」
「そう思うけどねー、アフラさんが言っておいてって言ってたし?」
「そうだけど・・・まぁ、ある意味で正しい使い方なのかな?」
「でしょう」
「・・・使ってみたかっただけでしょ」
「その通り」
アッハッハとユーリの高笑いが響き、なんなんだと力が抜けるその助手兼弟子、これは急がなければとハッと気づいた商会長であった。
「フー・・・」
と何となく溜息をついてしまうエレイン、何を考えていたのだったかなと考え、あっ、殿下の事かと視界には収めていたが認識していなかったお守りへ焦点を合わせた、すっかり見慣れた小さな木工細工、寮の生徒達や関係者達、自分もそうであるし、さらには王家の面々もその腰に下げている、若干黒ずみ薄汚れた木製の小さな飾り物、どういう経緯でこれを身につけるようになったのだったかなと自分の腰に下げたそれに手を伸ばすも、あぁミナちゃんが大騒ぎしてつける事になったんだったかと思い出し、フフッと微笑んでしまう、つい数か月前の事であるにも関わらずとても懐かしく感じたのだ、あれから色々あったなーと思い、あぁいけないと思考を戻した、今考えるのはそれでは無い、そして机上のお守りに目を移すも、どうやら答えは無いようだと考える、いや、答えなど一つしかないのである、自分はあくまでこの王国の貴族であり、そうあろうと生きて来たつもりで、しかしそれはいつからそう意識していたかは分からない、あの騒動の後であったか前であったか、こちらに一人放逐された後であったか、いや、恐らく兄達が死んだと聞いた時からかもしれない、なんともうろ覚えで曖昧であった、優しかった兄達の顔はうっすらと思い出せるもその声までは思い出せなかった、ただ小さな自分を見下ろし笑顔であったその顔だけが思い出され、その側には大嫌いなトーラーと大好きなマリアもある、当然両親の顔もあるが、それは笑顔では思い出されなかった、どうしても別れる時の寂しげな顔しか思い出せず、と同時にこの場にマリアがいてくれればと願った事が思い出される、そうなると両親が今側にいたらなんと言ってくれたのだろうかと思うも、それもまるで想像できなかった、離れて暮らすとはこういう事なのかなとエレインはなんとなく考える、そして、
「・・・喜んでくれるのかな・・・」
小さく呟いてみた、静かな室内に小さな呟きが染み渡る、暖炉の薪が小さく爆ぜた、
「であれば・・・嬉しいのだけど・・・」
スッと目を細めるエレイン、マリアからはあなたの好きにしなさいと言われている、トーラーも側に入るがあれに相談する事は無いと思われる、なにせ自分よりも殿下寄りの立場なのだ、もしかしたら殿下に考え直せと進言するかもしれない、それはそれで楽しそうだし構わないかなとも思うが、変に他の誰かを巻き込むのは違うような気がする、騒動が大きくなれば王妃様達やパトリシア様の耳に入るのは確実で、そうなるといよいよ断り切れない状況になるも、他の何かが邪魔をしてきそうな気もする、それが何かは分からなかったが、相手は王族なのである、テラからはキッサ室が貴族の客でいっぱいになってしまったと報告を受けていた、つまりはそれだけ貴族らしく動く者が多いわけで、どうやらある程度秘密裡に動くのが正しいと思われた、それほどの大事なのであった、受けるにしろ断るにしろである、
「・・・貴族って・・・めんどくさいだけなのかもな・・・」
ソフィアが時々そう言っているのを思い出す、ユーリやタロウも同意見のようで、テラやエルマ、オリビアはその都度不愉快そうに顔を顰めているが、まったくもってその通りなのであった、このまま商会の経営で食べていけるかなと思っていた矢先でもある、貴族の立場は利用できるだけ利用して、嬉しい事に従業員も友人達も皆有能で、少しばかり自分が抜けていてもなんとかなっているらしい、テラは組織とはそういうもので、経営者とは常に従業員の事を考えるべきだと口にしているがその通りだと考えられるようになってきた、しかしテラはそれだけでは組織は生き残れないとも言っている、一体どうすればいいのだと問えば、上手い事やる事ですとニヤリと微笑んでいた、その上手い事が俗に言う経営の肝なのだとか、テラも勉強中ですと誤魔化しており、テラがそう言うのであればもっと勉強が必要そうだわねと答えると、生きて元気な内は勉強し続けるものですと返されていた、確かにその通りと頷くしかなかったのである、
「また・・・違う事を考えているかな・・・」
フーと溜息をついた瞬間である、
「失礼します」
トントンと扉が鳴りリーニーがスッと顔を覗かせた、
「ワッ!!」
思わず叫ぶエレイン、あっすいませんと咄嗟に謝るリーニーである、
「大丈夫、どうしたの?」
あせあせとイフナースのお守りを懐に仕舞った、
「はい、えっと・・・」
とリーニーが振り返ると、
「ごめん、エレインさん、いい?」
ヒョイとカトカが顔を出す、
「えっ、どうしたんですか、珍しい」
スッと腰を上げるエレイン、
「これ、所長とソフィアさんが話したいって」
「話したい?」
ん?と首を傾げるエレイン、カトカがズイッと入室し、
「忙しい所ゴメンね、大至急とか言っててさ」
手にした木板をエレインに差し出した、あっ、昨日のあれかとすぐに気付いたエレインである、しかし、
「・・・これがなにか?」
思いっきり首を傾げた、リーニーも部屋に入り何だそれはと首を伸ばす、
「・・・もう・・・ほら、昨日使って見せたでしょ」
ニヤーと微笑むカトカ、ん?とさらに首を傾げるエレイン、カトカはさらにニヤニヤと微笑み、
「こうするの」
と木板に魔力を落とす、なんだこりゃとリーニーがさらに首を伸ばした瞬間、
「あっ、光った」
「繋がったのよ」
「そっか、聞こえるー?」
ユーリの甲高い声とソフィアの小さく遠い声が響いた、
「わっ、なんですそれ・・・」
リーニーが唖然と目を丸くする、
「聞こえますよー、エレインさん、どうぞ」
ニコリと微笑み木板をエレインに向けるカトカ、エレインはエッ、アッ、と焦りつつ、
「聞こえます、エレインです、どうしたんですか」
思わず大きな声を出してしまった、昨晩は実験しているのを傍で見ていただけで実際に使用していない、それ故にどう話せばいいのかまるで判断できなかったのだ、
「ごめんねー、忙しいでしょー」
ユーリの甲高い声が返ってくる、さらにおおぅと目を輝かせるリーニー、続けてユーリは、
「あのねー、あっ、そうだ、他の人に言っちゃ駄目よー」
なんとも明るい声であった、
「えっ、何がですか?」
どういう事かと顔を上げカトカへ確認するエレイン、カトカもん?と首を傾げ、
「私邪魔ならどきますけどー?」
カトカが木板に語りかける、
「あっ、アンタはいいの、ほら、身内以外には言っちゃ駄目って感じー?」
「身内ってどこまでですかー」
もうと眉を顰めるカトカ、まったくだとエレインも眉根を寄せる、
「あー・・・あれだ、大っぴらにするなって事、エレインさんの周りだとあれね、従業員さんは良いけど、その従業員さんには口留めが必要ね」
「そりゃまた・・・」
「めんどくさい事言いだして・・・」
さらにムーと眉を顰めるカトカとエレイン、リーニーはこれはまずいかなと音も無くソッと後ずさる、
「そうねー、でも、ほら、それも三日もあれば解禁されるでしょうけどねー、ここ数日は黙っておけって事でさ」
「だから何なんです?エレインさんだって暇じゃないんですから」
「それは理解してるけどー、あっ、じゃ、簡単に言えばね、パトリシア様が産気付いたのよ」
ヘッと言葉を無くすカトカとエレイン、リーニーも扉に手をかけ振り返る、
「だから、今日か明日にも生まれるかもでー、エレインさん、なんか準備してたんでしょ?」
「・・・えっ、あっ、はい、その通りです、はい」
「だよねー、だから、ほら、どうせさ、少し落ち着いたら呼び出されるかもだからさ、その時までに準備しておけばーって事、それだけー」
あっさりとユーリが切り上げるも、その木板はまだ起動したままである、この木板の使用上の注意点として、起動した側からしか切断できないのであった、すると、
「別にわざわざそんな事に使わなくてもいいんじゃないの?」
ソフィアのめんどくさそうな声が届く、
「だってさー、アフラさんがエレインさんにも伝えてくれって言ってたしー」
「そうだろうけど、だってすぐすぐに行けるわけもないじゃない」
「わかんないよー、パトリシア様もなんのかんの言って暇だろうからねー、少し元気になったら遊びに来るんじゃない?」
「じゃ、その時でいいでしょ」
「そう思うけどねー、アフラさんが言っておいてって言ってたし?」
「そうだけど・・・まぁ、ある意味で正しい使い方なのかな?」
「でしょう」
「・・・使ってみたかっただけでしょ」
「その通り」
アッハッハとユーリの高笑いが響き、なんなんだと力が抜けるその助手兼弟子、これは急がなければとハッと気づいた商会長であった。
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