セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

33話 王様たちと その4

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「申し訳ありません、遅れました」

大鏡の設置が完了し、手鏡と合わせ鏡をどう置くかを検討している所にエレインとオリビアが合流した、その手にはそれぞれ初期型の紫大理石と溶岩板の調理器具を手にしている、

「あら、何か寂しいと思っていたのですよ」

パトリシアが意地悪気に微笑む、

「やっと、その理由がわかりましたわ」

ジロリとエレインを睨む、

「大変申し訳ありません、パトリシア様」

エレインは深々と頭を垂れ、オリビアも同様に腰を折っている、

「まぁ、悪かったと思っていらっしゃるの?まったく、アフラどうゆう事かしら?」

さらに遅れて合流したアフラへと視線を移すパトリシア、

「顛末は後ほど、きっと、エレイン様に惚れ直します、もしくは呆れるか」

アフラはニコリと微笑んだ、

「まぁ、それは楽しみ」

「はい、ですので、お二人ともそんなに畏まらないで下さい、調理の準備に入りましょう」

アフラがエレインとオリビアを連れて城の厨房へ向かい、

「あら、もう、もう少しからかいたかったのに」

パトリシアは不満そうに3人の背を見送る、

「はいはい、で、手鏡の配置はこれでいいです?それと合わせ鏡はまとめて別のテーブルに」

ソフィアがパトリシアに確認する、

「そうですわね、それでいいですわ、メイドの配置は打ち合わせ済みですので、どうしましょう、では、予行練習と行きますか」

パトリシアは簡単に機嫌を直すとテーブルに向き直り、

「まずは・・・」

楽しそうに揉み手となったパトリシアは壁に据え付けた縄に手を伸ばした。



「すごい、お皿の数が尋常では無いですね」

オリビアが厨房の隣りの倉庫へ通され、その壁面を覆う棚と、そこへ重ねられた食器の群れに言葉を無くした、

「はい、会食や、祝宴となりますとどうしても食器の数は膨大になりますから、えっと、大き目の平皿はどこかしら」

アフラが側に立つメイドに確認し、メイドも棚を見ながら、

「どこでしょう、こちらかしら?」

と何とも頼りない、

「すいません、使ってない皿が大半なので、それこそ納品されてから手を付けた事のない品ばかりです、申し訳ありません」

メイドは言い訳を口にしながら、棚から皿を取り出しては戻しつつ相応しそうな皿を中央のテーブルに置いていく、

「そうね、ま、それは仕方が無いかしら・・・食器の管理者も必要になるわね」

「はい、王城のように管理者と、毎日の掃除も必要かと思います、あー、埃被ってるー、もー」

メイドはグチグチ言いながら皿を取り出し、アフラはその態度を咎める事は無い、

「えっと、私も手伝いましょうか」

オリビアが見かねて口を挟むが、

「オリビアさんは、皿の選定をお願いします、アイスケーキの皿とメロンの皿ですね、メロンの方は小さい方が宜しいかしら?」

「はい、そちらには装飾は加えない予定ですので、可愛い皿で良いかと思います」

「わかりました、そうなると」

メイドが小さい皿を幾つか並べ、

「こんな感じでどうでしょう?数がありそうなものを中心に選びました」

何とも頼りない言葉である、

「そうね、オリビアさん如何ですか」

アフラとメイドの視線がオリビアに向かい、オリビアは慌てて皿の選定に集中するのであった。



「そうしますと、やはり実演しながらの提供が良いでしょうか?」

会場の端、紫大理石と溶岩板を調理用に用意されたテーブルに並べながらエレインがリンドに確認する、

「そうですね、前例の無い事ですが、これもまた余興と見れば面白いかと思います」

「ですよね、料理は完成したものが出てくるものと相場が決まっていますから、問題はお客様方がどう捉えるか・・・かな・・・とも思いますが」

「陛下とウルジュラ様は楽しんで頂けると思います、そして、陛下が良ければ王妃様も文句を言いますまい」

「であれば良いかと思いますが・・・いっその事盛り付け等もこの場で仕上げる形にしても良いかと思います、えっと、テラさん」

エレインはテラを呼び、調理と提供の段取りについて相談する、

「なるほど、可能かと思います、私が盛り付けを、オリビアさんがアイスケーキの製作を行い、鏡のお披露目が終わる頃合いで提供という形をとれば時間的にも間に合うかと、さらにアイスケーキの追加注文にも応えられますのでそのように考えては如何でしょうか?」

「そうね、そうなると、作業場所としてはこのテーブルで十分かしら?」

「えっと、そうですね、出来ればもう二つ程テーブルが欲しいでしょうか?お皿を並べる場所があれば尚良いかと」

「はい、対応致しましょう」

リンドが手を上げてメイドを呼び、テーブルが追加されるのをエレインとテラは見守って、

「ふう、取り敢えず、後はあれね、戻ってから焼き菓子を焼いて、明日アイスケーキの下準備をして、あ、ソーダ水もこちらで用意した方がいいのよね」

「はい、アイスケーキ関連は店舗の準備時に追加で作ってもらうようにしますし、ソーダ水も同様ですね、アンズソースも今日中に仕込んでおきましょう」

「ふー、何かあれね、予行練習をすれば良かったかしら?」

「そうですね、でも、こういった催し物の場合はどうされるのが一般的なんですか?」

テラがエレインに問う、

「どう・・・と言われると困るけど、少なくとも調理する場所は別けるものかしら?席に座っていれば料理が運ばれてきてお好きにどうぞって感じね、飲み物はあれね、自分で選べるけれど、結構雑よ」

「雑ですか?」

「そうですな、雑ですな」

リンドが楽しそうに会話に入ってくる、

「それで、給仕役としてメイドを5人付けます、給仕に関しては彼女達の方が慣れておりますのでお任せ下さい、テラさんとオリビアさんは調理に集中して頂ければと思います」

「はい、その点は打ち合わせ通りに」

ニコリとテラが微笑み、リンドも愛想の良い笑顔を見せる、

「であれば、こちらは取り敢えずですね」

エレインが、さて、と広間内に視線を巡らし、

「とりあえず、目途が付きましたでしょうか?」

「そうですな、パトリシア様に確認致します」

リンドが鏡を並べたテーブルの前で楽しそうにしているパトリシアへ歩み寄り、二言三言話すと、パトリシアはすぐにエレインの元へ近づき、

「エレインさん、鏡の追加納入有難いですわ」

満面の笑みで微笑んだ、

「差し出がましいかと思いましたが、喜んで頂けたなら良かったです」

エレインも柔らかい笑みで答える、

「こちらからお願いするべきだったのですが、気が回らなかったのですよ、明日のお披露目会が楽しみ過ぎて、もう、久しぶりに義母様達の喜ぶ姿が想像出来て、うふふ、新鮮な驚きは長寿の秘訣と言いますわ、明日は王都に籠る人達の度肝を抜いてやりましょう」

パトリシアの言葉は親子愛に溢れているのか、ただの好事家なのか判断の付かないものである、

「すいません、何とも言えないですが、パトリシア様が楽しんでいらっしゃるのは理解できます」

エレインはやや困惑しつつも体裁を崩さずに答えた、

「ふふ、そうね、どうしてもこの場だと硬い口調になってしまいますわね、もう、これだから、こっちで会うのは嫌なのよ、お酒でも入れれば少しは柔らかくなるかしら?」

パトリシアは不満そうに口をへの字に曲げつつ、

「ま、いいわ、そうしますと、大方の準備は整ったようですわね」

パトリシアは背後に立つリンドへ振り返る、

「はい、あとは・・・」

リンドは広間内を大きく見渡し、

「食器の準備ですね、アフラとオリビアさんが戻っておりません」

「あ、そうですね」

「はい、皿の選定に時間がかかっておるのでしょう、最も大事との事でしたから」

「そうね、では、そちらは任せて少し休憩にしましょう、一息付けば見落としに気付くかもしれません」

パトリシアは大きく吐息を吐きつつ、メイドを呼びつけ小休止の指示を出す、やがて別室に茶の用意が整い、エレイン達はそちらへと場所を移した。
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