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番外編:新年明けましておめでとうございます。
しおりを挟む「メレディス様、ドラータ王国でも新年の夜会は開催されるんですね」
「そうだね。レスターはドラータの王城で開かれる夜会に参加するのは初めてだったな」
「衣装はメレディス様に用意していただきましたが、僕はマナーとか大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だよ。ずっと私の側にいればいいんだ」
「はい」
夜会自体ほとんど参加したことがない。
婚約発表の夜会は知っている人だけの参加だったし、オルロー王国でも本当に数えるくらいしか。ダンスは練習したけど、挨拶などは補佐官の仕事中と同じ感じでいいんだろうか?
メレディス様は宰相様だし、その夫である僕が失敗したら迷惑をかけてしまう。家令のゼストに聞いても、レスター様なら大丈夫とニコニコされたけど不安だよ。
「レスターどうした?」
「何でもありません」
とうとうメレディス様に気付かれてしまった。
忙しい時期だし、できるだけ心配をかけないようにと気を付けていたが、メレディス様には分かってしまうようだ。
僕の些細な変化にも気付いて気に掛けてくれることがとても嬉しいけど、余計な心配をかけてしまったことが申し訳ない。
「ダメだ。結婚した時に何でも話し合うと約束したろ? 隠しごとは無しだ」
「はい。えっと、恥ずかしいのですが、夜会のことが、少し不安です」
「レスター、おいで」
「はい」
裏にラブレターが書かれたソファーに座るメレディス様の隣りに座ろうとしたら、手を掴まれてメレディス様の膝の上に乗せられ、ギュッと抱きしめられた。
メレディス様はいつも優しい。温かくて優しい手で僕を抱きしめて、そして髪を撫でられるとふわふわと優しい気持ちになる。
「本当は夜会になんて連れて行きたくないんだけどね」
「やはり僕のマナーに問題があるのですか?」
「違うよ。レスターは私の大切な人なのに、他の者がレスターと話をしたがったり、踊りたがると思うんだ。失礼なことを言う奴もいるかもしれない。連れ去ろうとしたりね。だから、私の側から離れないでほしいんだ」
「はい」
「マナーは心配ないよ。どこの国でもこの辺りの国はだいたい同じだし、レスターの所作は美しいからね」
「はい」
「私の愛しいレスターは、どこへ出しても恥ずかしくない。私はいつでもレスターを自慢したいし、見せびらかしたい。しかし私だけのレスターとして誰にも見せずに私だけの場所に閉じ込めておきたいとも思う」
「メレディス様……僕もメレディス様は自慢の夫ですよ。あの、キスしていいですか?」
「もちろんいいよ。キスだけでいいのか?」
「キスだけじゃ嫌です。メレディス様と愛し合いたいです」
「うん、いいよ。愛し合おう」
メレディス様は僕のサイドの髪を耳に掛けながら、そのまま僕の頭を引き寄せてキスしてくれた。
甘くて、優しくて、愛おしい。僕の口内をなぞるメレディス様の舌が気持ちよくて、はぁーっと吐息が漏れる。
「ぁ……」
メレディス様は僕を抱き抱えたままベッドに向かう。僕は落ちないようにメレディス様の首に腕を回してギュッと抱きつくと、メレディス様がクスクスと笑った。
そっと顔を上げてメレディス様を見てみると、とても優しい顔で僕を見ているから、僕はドキドキしてしまう。
「レスターが可愛くてね。私の夫は可愛いし格好いい。たまに甘えてくれるのが嬉しいんだ」
「メレディス様、大好きです」
大好きや、愛してるだけじゃ、全然伝えられた感じがしない。そんな一言で表せるほど簡単な気持ちじゃないんだ。大切で、温かくて、甘くて、優しくて、切ない。
「私もレスターが大好きだよ。レスターだけが好きで、とても愛しい」
メレディス様が僕のシャツのボタンを外して胸が露わになると、僕の肌をメレディス様の唇がなぞる。
「ぁ……はぁ……ん……メレディス様……気持ちいいです……ぁ……」
「レスター、この美しい肌は、私以外の誰にも見せてはいけないよ。触れさせてもいけない」
「はい。メレディス様だけです。メレディス様も、僕だけであってくれたら嬉しいです」
「そんなの当たり前だ。私が愛するのはレスターだけだ。他の誰にも触れたくはないし見せたくない」
「メレディス様、嬉しいです。愛しています」
そこまでしか会話はできなかった。僕が会話どころではなくなってしまったから。
「あぁ……めれりすさま……すきぃ……きて……おねがい……あぁ……」
メレディス様とたくさん愛し合って、たくさん求めてもメレディス様はちゃんと答えてくれる。
もう不安はない。メレディス様の隣りに堂々と立って、僕はメレディス様の夫であることを誇ろうと思う。
-----
夜会当日のこと、僕はメレディス様の隣りに立って、いつもの仕事モードのポーカーフェイスで挨拶回りをしていた。
「昨年結婚しましてね。彼は今は私の補佐官として働いてくれて、私を公私共に支えてくれているんですよ。私の宝物です」
「そうでしたか。見かけない方ですが、どちらから?」
「彼はオルロー王国出身ですが、侯爵家当主の座を次代へ譲って私に嫁いできてくれたんですよ」
「ほう、その歳で当主の座を手放してまで宰相殿の元へ。愛がありますな。ははは」
そんな話をしながら知らない貴族や、仕事でお世話になっている方のところを回った。
「ソリターリオ様のお知り合いの方かしら? よろしければ私と踊っていただけませんか?」
僕より少し上に見える令嬢が話しかけてきたため、僕はメレディス様をチラリと見たが、メレディス様は他の方とお話をしている。
誰とも踊らないわけにはいかないだろうと、僕はその令嬢とダンスをすることにした。
「私はレスター・ソリターリオと申します。昨年、メレディス様と結婚しました」
「あらそう。私はミレーヌ。夫がいても、お友達になるくらいは問題ないでしょう?」
「そうですね」
彼女から差し出された手をそっと掴むと、僕は令嬢とダンスの輪に入っていった。
ダンス自体は問題無いと言えば問題無いのだが、ミレーヌと名乗る令嬢は僕に抱きつくように密着し、距離感が近すぎる感じが苦手だと感じた。
一曲踊ると一旦引いたのだが、場所が悪かった。メレディス様がいる位置とは反対にはけてしまい、距離が遠い。
ダンスの輪をぐるっと回避しながらメレディス様を目指して歩いていくと、僕は令嬢や令息だけでなく、高位の貴族にもダンスに誘われ、何度も踊って引いてを繰り返すと、どんどんメレディス様が遠ざかる。
そしてとうとうメレディス様を見失ってしまった。
ダンスが終わったタイミングで壁まで下がると、もうさすがにダンスはいいだろうと、ジャケットの裏に防御結界に認識し難くなる仕掛けを施した魔法陣を貼り付けてメレディス様を探した。
おかしい。会場を回ったが見つからない。最後に見かけた時に一緒にいた会計担当の文官に聞いてみると、ファロル侯爵と話しているのを見かけたらしい。ファロル侯爵は、メレディス様が僕と結婚する前にも結婚してからもメレディス様宛てに釣書をよく送ってくる人で、ファロル家の次女をメレディス様にと考えている家だ。
嫌な予感がする。僕が離れたせい? 僕は会場を出てトイレや控室、廊下や中庭も探した。
すると、フラフラと自分1人では立っていることもできないような状態のメレディス様を真ん中にして、右にファロル侯爵、左に僕より少し上くらいの女性が挟んで、メレディス様の肩を支えて休憩室の方へ歩いて行くのが見えた。
あれは既成事実でも作る気なのでは? 強い酒を大量に勧められたか、薬を盛られたか、どちらにしても普通ではない。
「パパ、早く。他の誰かに見つかる前に部屋に運んで」
「分かっている」
あまり事を荒立てたくはない。
僕は彼らに近付くと、目の前で強力な光魔法を発動させて目眩しをした。
「うわ、何だ!?」
「何よこれ!?」
これでしばらくは目が見えない。僕はサッとメレディス様を攫うと、2人の足元を念の為氷で固め、メレディス様のジャケットの内側にも認識し難くなる仕掛けを施した防御結界の魔法陣を貼り付け、メレディス様を背負って必死に逃げた。
馬車まで行くと待機していたゼストに事情を話し、馬車にメレディス様を乗せ、僕は一応陛下には事情を話すことにした。
「ゼスト、僕は陛下に事情を話して帰ると伝えてくる。もしかしたら誰か来るかもしれないから、メレディス様には魔法陣を貼ったままにするね。
誰か来ても、メレディス様は来ていないと答えてくれる?」
「畏まりました。レスター様もお気を付けて」
「ありがとう。なるべく早く戻るから、少しだけメレディス様をお願い」
「はい」
本当は走って陛下の元まで行きたかったけど、認識し難い仕掛けのまま陛下に近づくことはできないから、会場に入る直前に貼っている魔法陣をただの防御結界に戻して、何事もなかったかのような顔で会場に入り、そして陛下の元を目指す。
色んな人が寄ってきたけれど、慣れない夜会のために体調を崩し、陛下に挨拶をして帰るところだと告げて断りながら進んだ。
「陛下、メレディス様がファロル侯爵に嵌められそうになりました。薬を盛られたのか、フラフラの状態でファロル侯爵と令嬢に左右を固められて攫われかけました」
「それでメレディスはどうしたのだ?」
「私が助け出し、今は馬車で家令に預けています。心配なので本日はまだ早い時間ですがお暇させていただきます」
「それは構わないが、レスターも気を付けて帰るんだよ」
「はい。あ、ファロル侯爵と令嬢は廊下で足を氷で固められて動けないかもしれません。そのうち氷は溶けると思いますが、あとはお任せしてよろしいですか?」
「あぁ、構わない」
それだけ伝えると、僕はすぐに魔法陣を貼り替えて走って馬車まで戻り、屋敷に帰った。
「メレディス様……」
……はぁ……はぁ、はぁ……
ゼストに手伝ってもらい、メレディス様を部屋に運ぶと、寝衣に着替えさせて風呂に連れていく。
屋敷に着くと解毒の魔法陣を貼ったが効果がなく、毒ではないことが分かったため、もうこれは吐かせるしかないと判断したからだ。
水を飲ませて、口の中に指を突っ込み、お腹の中のものを吐き出させる。
ごほっ……はぁ、はぁ、はぁ……
「ゼスト、このくらい吐かせれば大丈夫かな?」
「そうですね。あとは、ゆっくりお休みいただければ、ベッドには回復の魔法陣もありますし、朝には回復されていると思います」
「分かった。じゃあベッドに運ぶのを手伝って」
「畏まりました」
グッタリとしたメレディス様をベットに運ぶと、ゼストは枕元に水差しを用意してから部屋を出ていった。
「レスター、抱きたい」
「え? メレディス様、大丈夫なんですか?」
呼吸はまだ荒いが、虚ろだった目はむしろ血走っており、僕の腕を掴んだ手の力も強い。これは、やはり酒を飲まされすぎたのではなく媚薬なんだろうと思った。
メレディス様は僕が着衣を脱ぐのも待てない様子で、僕の寝衣に手をかけて力任せに引きちぎったから、ボタンはいくつか飛んでいったし、寝衣も破れた。
いつものメレディス様じゃない荒々しいキス、触れた手も、温かいけど優しくなくて、すぐに僕の中に指を突っ込んで掻き回した。
「ぁ……待って……痛っ……ぁ、メレディス様……待って……」
そしてメレディス様は本当に待てないみたいに僕をひっくり返してうつ伏せにすると、一気に奥まで貫いた。
「くぅぁ……やぁぁぁ……、うぐっ……」
そこで待ってくれるわけもなく、奥をガツガツと激しく突いてくる。僕は枕を手繰り寄せてギュッと掴んで耐えていたんだけど、それでも少し苦しかった。
「あぁ……めれりすさま……あぁ……んん……、やぁ……くぅ……」
「レスター、レスター、体が……おかしいんだ……」
僕の名前を呼ぶメレディス様の声は震えていた。
「めれりすさま……だいじょぶ……ぼくはここにいる……あぁ……」
「レスター、レスター……」
メレディス様の声は切なくて、苦しそうで、僕まで苦しくなる。僕にできることは何かないか、僕にできることは……。苦しむメレディス様を抱きしめてあげることくらいしか。
僕は無理矢理仰向けに向き直ると、メレディス様をギュッと抱きしめた。
「ここにいます、メレディス様、僕はここにいます」
「レスター、あぁ、レスター、愛している」
「ぼくも、あいしてます」
ギュッと抱きしめていても、メレディス様の腰の動きは止まってくれなくて、僕も息が絶え絶えになりながら答える。
「レスターが欲しい。愛してるんだ」
「ぼくは、めれりすさまのものです……ぜんぶあげます……あいして、ください……」
ずっとそんな会話をしながら、求め合っていたと思う。何時間か経つと、薬の効果が切れたのか、メレディス様の動きが急に止まって僕のことをギュッと抱きしめたまま眠ってしまった。
え? まだ繋がっているのに、寝れるものなの? 僕は寝れないと思う。
戸惑っていたけど、何だか抜け出してしまうのが勿体無くて、そのままでいることにした。
絶対寝れないと思ってたのに、いつも以上に激しく求められたせいか、僕もいつの間にか眠ってしまったみたい。
僕の中でメレディス様が大きくなってきて、その内側からの圧迫感で僕は目が覚めた。
「ぁ……んぅ……メレディス様……」
「レスター、ごめん。夜のこと、何となく覚えている。自分勝手に酷くしたことも覚えている。ごめん」
「大丈夫。僕はメレディス様が僕を愛して求めてくれるのが嬉しくて幸せだったから。それよりも僕の方が、苦しむメレディス様に何もしてあげられることがなくて……」
「レスターが抱きしめてくれたことを覚えている。ここにいるから大丈夫だと、声をかけてくれたのも覚えている。ありがとう。優しくするから、抱いていいか?」
「はい」
メレディス様は僕を労るように、そっと触れて、僕のことを抱きしめたまま優しく抱いてくれた。
「めれりすさま……あぁ……気持ちいい……あぁ……めれりすさま……あぁ……」
メレディス様のせいじゃないんだから気にすることないのに。最初は少し苦しかったけど、僕は激しいメレディス様も好き。わけがわからなくなるくらい僕だけを見て、僕だけを求めてくれるのが、すごく幸せだから。
でも、苦しそうなメレディス様は見たくないから、もう媚薬は嫌だな。
ちゃんと毒だけじゃなく媚薬にも効果を発揮する異物排除の魔法陣を研究しよう。
僕たちには必要ない。だっていつだってメレディス様は僕のことを情熱的に愛してくれるから。
-----
「メレディス様、あつい……中が熱くて苦しい……もっとして……もっと……ぁああ……」
「レスター、すぐに楽にしてやるからな」
「もっとして……もっと……めれりすさま、おねがい……もっと愛して、僕だけ愛して……ぁああ……」
「レスター、愛しているよ。心配しなくていい、私はレスターだけを愛している」
隣で疲れて眠るメレディス様を見て、僕は頭を抱えた。
やってしまった……
効果を確かめるために、誰かに試してもらうわけにもいかなくて、自分で媚薬を飲んだら、まだ研究段階の魔法陣では媚薬を排除しきれなかったというわけだ。
無理させた。性欲がアップしてしまう角度を間違えた魔法陣どころではなかった。
お酒を飲みすぎたみたいに記憶を無くしてしまえたらいいのに。全部覚えているんだ。僕がメレディス様を煽って、もっともっとと乱れたことがとても恥ずかしい。
穴があったら入りたい。メレディス様が正気に戻った時にとても申し訳なさそうにして落ち込んでいた時の気持ちがよく分かる。
僕も落ち込みたい。メレディス様の前にどんな顔をして立てばいいのか分からない。
「レスター、おはよう」
「お、おはよう、ございます」
目が覚めたメレディス様の顔が見れなくて、僕は布団を頭まで被った。
「レスター、大好きだよ。愛してるよ」
「僕も。愛してます」
「なぜ隠れてるんだ? 私の愛しいレスター」
「昨日のこと、恥ずかしくて……」
「レスターが情熱的に求めてくれて、私は嬉しかったよ。出ておいで。顔を見せて」
「はい」
恥ずかしくて、顔は見せたけど目を見ることはできなかった。
するとメレディス様は僕の頬に手を添えて、額に頬に鼻に顎に、顔中にキスをしてくれた。
「レスターは可愛いな。とても勇敢で頼りになる男でもあるし、私が守ってやらなければならないと思うような脆い部分もある。その全てを愛しているよ」
「僕も、メレディス様の全てを愛しています」
恥ずかしいけど、分かってしまった。全て愛しているという意味が。どんなメレディス様も受け止めてみせると思っているのは僕だけじゃないってこと。同じように、メレディス様もどんな僕であっても受け止めてみせると思ってるんだってこと。
あぁ、ダメだ。薬は切れているのに、メレディス様が愛しくて、欲しくなってしまった。
「メレディス様、愛し合いたくなってしまいました」
「いいよ。私もレスターと愛し合いたいと思っていたところだ」
メレディス様も同じ気持ちだったなんて嬉しい。僕たちはいつも仲良しです。
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純粋で素直で有能で閨事にうとい主人公が可愛すぎて大好物です。
素晴らしい作品を有難うございます!
感想をいただきありがとうございます🥰
面白かったと言っていただけるなんて嬉しいです😆
この作品は初めて10万字以上の長編を書いた作品だったので、長編って難しいなと思いながら苦労した記憶があります😅
今でも長編は苦労してますけどね笑
感想ありがとうございます🥰
最後まで読んでいただき嬉しいです😊
エイミー様の正体予想できましたか?メレディス様が名前を聞いても驚いていない、庭にお花がある、後をついて回る、ヒント少なかったですかね?
身内感は出してみたんですが、バレバレでも面白くないし、完全に想い人でも嫌な人感が出てしまうので難しかったです😅
完結したんですねー!!
寂しいですがお疲れ様でした!!
2人のイチャイチャ番外編
もしあれば楽しみにしてます!!
感想ありがとうございます🥰
最後まで読んでいただきありがとうございました。嬉しいです😊
二人のイチャラブ番外編、考えてみます💖