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第74話 新たなる階梯、3割の力
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忘れられた神殿での死闘を終え、アルトは疲労困憊の体を引きずりながらも、確かな達成感を胸に王都へと帰還した。
彼の足は、迷うことなく冒険者ギルド本部へと向かう。
Cランク昇格を賭けた試練。
その結果を、一刻も早く報告したかった。
ギルドの扉を開け、カウンターへと進む。
その姿は、ワイトとの激戦を物語るように、革鎧には無数の傷が刻まれ、所々が凍気によって白く変色していた。
しかし、その瞳には、困難を乗り越えた者だけが持つ、強い光が宿っている。
カウンターに、討伐の証拠としてワイトの剣の破片数個と、神殿で見つけた邪悪な紋様のスケッチ(もし描いていれば)を置いた。
「ギルドマスター。依頼『忘れられた神殿・調査及び浄化』、完了しました」
アルトの静かな、しかし自信に満ちた報告に、ギルドマスターは目を見張った。
「……アルト君、無事だったか!その様子、まさか……」
「はい。内部に潜んでいたワイト3体を討伐。そして、アンデッド発生の原因と思われる祭壇裏の邪悪な紋様も、破壊してきました。これで、神殿の穢れは浄化されたはずです」
ワイト3体討伐、そして原因の浄化。
その報告内容は、ギルドマスターの予想を遥かに超えるものだった。
マスターは、提出された証拠を入念に確認し、そしてアルトの顔を改めて見つめた。
その目には、驚きと共に、深い感嘆と、そして確かな信頼の色が浮かんでいた。
「……信じられん。ワイト3体を相手取り、発生源まで突き止め、浄化まで成し遂げるとは……。アルト君、君は、もはや疑いようもなく、Cランクにふさわしい実力を持っている」
マスターは、厳粛な面持ちで立ち上がると、ギルド内に響き渡る声で高らかに宣言した。
「冒険者アルト!これまでの数々の功績、および今回の極めて困難な任務の達成を認め、本日付をもって、君を【Cランク】冒険者へと、正式に昇格させる!」
その瞬間、ギルドホール全体から、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「うおお!アルト、Cランク昇格おめでとう!」
「すげえ!Dランクになってから、あっという間じゃないか!」
「やっぱり、あいつは本物だったんだ!」
多くの冒険者たちが、アルトの偉業を心から祝福している。
アルトは、差し出された真新しい、鉄の光沢を放つ【Cランク】プレートを、ギルドマスターから受け取った。
Eランクの銀色、Dランクの青銅、そしてCランクの鉄。
そのプレートの重みが、アルトが歩んできた道のりと、乗り越えてきた試練の数々を物語っているようだった。
胸に込み上げてくる熱い思いに、アルトは深く頭を下げた。
昇格の興奮が少し落ち着いた頃、アルトの心には新たな疑問が浮かんでいた。
(Cランクにはなれた。でも、俺のギフト【ダメージ反射】は、今、どれくらいの力なんだろう?)
ホブゴブリン戦での麻痺効果。
ワイト戦での確かな手応え。
ギフトが成長している感覚は確かにある。
だが、その具体的なレベル、反射できるダメージの割合を知りたかった。
自分の力を正確に把握することは、今後の戦いにおいて極めて重要だ。
故郷アッシュフォード村の教会の石板。
あれなら分かるのかもしれないが、王都から戻るのは現実的ではない。
王都には、あの壮麗な大神殿がある。
あそこなら、何か知る手がかりがあるかもしれない。
アルトはまず、ギフト研究家であるエリアーヌに相談してみることにした。
彼女の研究室を訪ね、単刀直入に尋ねる。
「エリアーヌさん、俺のギフトの今の反射率って、やっぱり測定するのは難しいですか?」
エリアーヌは、丸眼鏡の奥の瞳でアルトを見つめ、少し考え込んだ。
「うーん、やはり難しい質問ですわねぇ。わたくしの魔道具で測定できるのは、あくまで反射エネルギーの『特性』や『強度の変化』まで。それが元のダメージの『何割』に相当するか、という定量的な測定となると…ギフトの根源的な力は、神の領域に属する部分も多いですから、科学的なアプローチだけでは限界がありますの」
しかし、エリアーヌはすぐに明るい表情になり、続けた。
「ですが、アルトさん!諦めるのは早計ですわよ!王都の大神殿には、『神託の水晶』と呼ばれる、ギフトの力を映し出すと言われる聖遺物がある、と古文書に記されていますの。あるいは、大神殿の高位の神官様の中には、特別な儀式によってギフトの状態を読み取る力を持つ方もいらっしゃるとか。大神殿を訪ねてみる価値は、大いにあると思いますわ!」
エリアーヌの的確なアドバイスに、アルトは感謝し、大神殿へと向かう決意を固めた。
王都の中央地区にそびえ立つ大神殿は、王城にも劣らない威容を誇っていた。
純白の大理石で築かれたその建物は、神聖なオーラを放ち、訪れる者を圧倒する。
アルトは、少し緊張しながらも、その荘厳な門をくぐり、内部へと足を踏み入れた。
高く、美しいアーチを描く天井。
壁一面に嵌め込まれた、色鮮やかなステンドグラスからは、柔らかな光が差し込んでいる。
奥からは、厳かなパイプオルガンの音色が流れ、静謐で神聖な空気が満ちていた。
受付にいた若い修道士に、アルトは事情を話し、ギフトレベルの確認をお願いした。
最初は怪訝な顔をされたものの、アルトの真摯な態度と、胸に輝くCランクのプレート(中堅冒険者の証だ)を見ると、修道士は「少々お待ちください」と言って、奥へと取り次いでくれた。
しばらくして現れたのは、白金の装飾が施された純白の法衣を身にまとった、穏やかな、しかし深い叡智をたたえた瞳を持つ、高位の神官だった。
「あなたが、ギフトレベルの確認を希望されるアルト殿ですな。ギルドマスター殿からも、あなたの稀有なギフトと、目覚ましい活躍については、かねてより伺っております。…よろしい、こちらへ」
神官に導かれ、アルトは神殿のさらに奥深く、一般の信者は立ち入ることのできない、特別な祈りの間へと通された。
部屋の中央には、柔らかな光を放つ台座の上に、人の頭ほどの大きさの、完璧なまでに透明で美しい水晶が安置されていた。
あれが「神託の水晶」に違いない。
「では、水晶に両手を触れ、心を無にして、自身の内に秘められたギフトに意識を集中なさい。私が祈りを捧げ、神託を乞いましょう」
神官が厳かに告げる。
アルトは言われた通り、深呼吸をして心を鎮め、水晶にそっと両手を触れた。
ひんやりとした、しかし不思議と温かみのある清浄な感触が、手のひらを通して伝わってくる。
神官が、古の言葉で祈りの言葉を唱え始めると、神託の水晶は、内側から淡く、そして力強い光を放ち始めた。
その光は、アルトの手を通して、彼の全身へと流れ込んでくるような、不思議で心地よい感覚をもたらす。
そして、彼の脳裏に、直接、鮮明な情報が流れ込んできた。
『ギフト:ダメージ反射』
『現在の反射率:3割』
『特殊効果:特定条件下において、精神干渉(対象の行動阻害)を伴う副次効果発現の可能性。条件・詳細は未解明。制御困難』
(……3割!!やっぱり、成長してたんだ!そして、あの力も……!)
アルトは、驚きと共に、心の底から湧き上がる確かな喜びを噛みしめた。
アッシュフォード村の教会で授かった時、わずか1割だった反射率が、これまでの数々の厳しい戦いと経験を経て、ついに3割まで成長していたのだ!
そして、ホブゴブリン戦で発現したあの麻痺効果も、幻ではなかった。
まだ謎が多く、自在に操ることはできないものの、確かに存在する、ギフトの隠された側面。
その可能性が示されたことは、アルトにとって何よりも大きな収穫だった。
光が収まり、水晶が元の透明さを取り戻すと、神官はアルトに向き直り、穏やかに告げた。
「…確認できましたかな?あなたのギフトは、まだ大きな可能性を秘めているようですな。その力を、正しきことのために用いられるよう、これからも精進なさい」
「はい!ありがとうございます!」
アルトは、神官に深く一礼した。
ギフトレベルが3割になった。
その事実は、アルトに新たな自信と、そして明確な目標を与えてくれた。
目指すべきは、10割反射。
道はまだ遠く、険しいだろう。
だが、自分は着実に、その頂きへと近づいているのだ。
そして、謎に包まれた追加効果。
いつか必ず、この力を解き明かし、自分のものにしてみせる。
Cランク冒険者として、そして3割反射のギフト使いとして。
アルトは、王都アステリアで、さらなる飛躍を誓った。
エリアーヌにもこの結果を報告し、ギフト研究をさらに進めていこう。
彼の冒険は、確かな成長と、深まる謎と共に、新たな章へと、力強く歩みを進めていく。
アルトは、大神殿の荘厳な空間の中で、未来への希望と決意に、胸を熱くするのだった。
彼の足は、迷うことなく冒険者ギルド本部へと向かう。
Cランク昇格を賭けた試練。
その結果を、一刻も早く報告したかった。
ギルドの扉を開け、カウンターへと進む。
その姿は、ワイトとの激戦を物語るように、革鎧には無数の傷が刻まれ、所々が凍気によって白く変色していた。
しかし、その瞳には、困難を乗り越えた者だけが持つ、強い光が宿っている。
カウンターに、討伐の証拠としてワイトの剣の破片数個と、神殿で見つけた邪悪な紋様のスケッチ(もし描いていれば)を置いた。
「ギルドマスター。依頼『忘れられた神殿・調査及び浄化』、完了しました」
アルトの静かな、しかし自信に満ちた報告に、ギルドマスターは目を見張った。
「……アルト君、無事だったか!その様子、まさか……」
「はい。内部に潜んでいたワイト3体を討伐。そして、アンデッド発生の原因と思われる祭壇裏の邪悪な紋様も、破壊してきました。これで、神殿の穢れは浄化されたはずです」
ワイト3体討伐、そして原因の浄化。
その報告内容は、ギルドマスターの予想を遥かに超えるものだった。
マスターは、提出された証拠を入念に確認し、そしてアルトの顔を改めて見つめた。
その目には、驚きと共に、深い感嘆と、そして確かな信頼の色が浮かんでいた。
「……信じられん。ワイト3体を相手取り、発生源まで突き止め、浄化まで成し遂げるとは……。アルト君、君は、もはや疑いようもなく、Cランクにふさわしい実力を持っている」
マスターは、厳粛な面持ちで立ち上がると、ギルド内に響き渡る声で高らかに宣言した。
「冒険者アルト!これまでの数々の功績、および今回の極めて困難な任務の達成を認め、本日付をもって、君を【Cランク】冒険者へと、正式に昇格させる!」
その瞬間、ギルドホール全体から、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「うおお!アルト、Cランク昇格おめでとう!」
「すげえ!Dランクになってから、あっという間じゃないか!」
「やっぱり、あいつは本物だったんだ!」
多くの冒険者たちが、アルトの偉業を心から祝福している。
アルトは、差し出された真新しい、鉄の光沢を放つ【Cランク】プレートを、ギルドマスターから受け取った。
Eランクの銀色、Dランクの青銅、そしてCランクの鉄。
そのプレートの重みが、アルトが歩んできた道のりと、乗り越えてきた試練の数々を物語っているようだった。
胸に込み上げてくる熱い思いに、アルトは深く頭を下げた。
昇格の興奮が少し落ち着いた頃、アルトの心には新たな疑問が浮かんでいた。
(Cランクにはなれた。でも、俺のギフト【ダメージ反射】は、今、どれくらいの力なんだろう?)
ホブゴブリン戦での麻痺効果。
ワイト戦での確かな手応え。
ギフトが成長している感覚は確かにある。
だが、その具体的なレベル、反射できるダメージの割合を知りたかった。
自分の力を正確に把握することは、今後の戦いにおいて極めて重要だ。
故郷アッシュフォード村の教会の石板。
あれなら分かるのかもしれないが、王都から戻るのは現実的ではない。
王都には、あの壮麗な大神殿がある。
あそこなら、何か知る手がかりがあるかもしれない。
アルトはまず、ギフト研究家であるエリアーヌに相談してみることにした。
彼女の研究室を訪ね、単刀直入に尋ねる。
「エリアーヌさん、俺のギフトの今の反射率って、やっぱり測定するのは難しいですか?」
エリアーヌは、丸眼鏡の奥の瞳でアルトを見つめ、少し考え込んだ。
「うーん、やはり難しい質問ですわねぇ。わたくしの魔道具で測定できるのは、あくまで反射エネルギーの『特性』や『強度の変化』まで。それが元のダメージの『何割』に相当するか、という定量的な測定となると…ギフトの根源的な力は、神の領域に属する部分も多いですから、科学的なアプローチだけでは限界がありますの」
しかし、エリアーヌはすぐに明るい表情になり、続けた。
「ですが、アルトさん!諦めるのは早計ですわよ!王都の大神殿には、『神託の水晶』と呼ばれる、ギフトの力を映し出すと言われる聖遺物がある、と古文書に記されていますの。あるいは、大神殿の高位の神官様の中には、特別な儀式によってギフトの状態を読み取る力を持つ方もいらっしゃるとか。大神殿を訪ねてみる価値は、大いにあると思いますわ!」
エリアーヌの的確なアドバイスに、アルトは感謝し、大神殿へと向かう決意を固めた。
王都の中央地区にそびえ立つ大神殿は、王城にも劣らない威容を誇っていた。
純白の大理石で築かれたその建物は、神聖なオーラを放ち、訪れる者を圧倒する。
アルトは、少し緊張しながらも、その荘厳な門をくぐり、内部へと足を踏み入れた。
高く、美しいアーチを描く天井。
壁一面に嵌め込まれた、色鮮やかなステンドグラスからは、柔らかな光が差し込んでいる。
奥からは、厳かなパイプオルガンの音色が流れ、静謐で神聖な空気が満ちていた。
受付にいた若い修道士に、アルトは事情を話し、ギフトレベルの確認をお願いした。
最初は怪訝な顔をされたものの、アルトの真摯な態度と、胸に輝くCランクのプレート(中堅冒険者の証だ)を見ると、修道士は「少々お待ちください」と言って、奥へと取り次いでくれた。
しばらくして現れたのは、白金の装飾が施された純白の法衣を身にまとった、穏やかな、しかし深い叡智をたたえた瞳を持つ、高位の神官だった。
「あなたが、ギフトレベルの確認を希望されるアルト殿ですな。ギルドマスター殿からも、あなたの稀有なギフトと、目覚ましい活躍については、かねてより伺っております。…よろしい、こちらへ」
神官に導かれ、アルトは神殿のさらに奥深く、一般の信者は立ち入ることのできない、特別な祈りの間へと通された。
部屋の中央には、柔らかな光を放つ台座の上に、人の頭ほどの大きさの、完璧なまでに透明で美しい水晶が安置されていた。
あれが「神託の水晶」に違いない。
「では、水晶に両手を触れ、心を無にして、自身の内に秘められたギフトに意識を集中なさい。私が祈りを捧げ、神託を乞いましょう」
神官が厳かに告げる。
アルトは言われた通り、深呼吸をして心を鎮め、水晶にそっと両手を触れた。
ひんやりとした、しかし不思議と温かみのある清浄な感触が、手のひらを通して伝わってくる。
神官が、古の言葉で祈りの言葉を唱え始めると、神託の水晶は、内側から淡く、そして力強い光を放ち始めた。
その光は、アルトの手を通して、彼の全身へと流れ込んでくるような、不思議で心地よい感覚をもたらす。
そして、彼の脳裏に、直接、鮮明な情報が流れ込んできた。
『ギフト:ダメージ反射』
『現在の反射率:3割』
『特殊効果:特定条件下において、精神干渉(対象の行動阻害)を伴う副次効果発現の可能性。条件・詳細は未解明。制御困難』
(……3割!!やっぱり、成長してたんだ!そして、あの力も……!)
アルトは、驚きと共に、心の底から湧き上がる確かな喜びを噛みしめた。
アッシュフォード村の教会で授かった時、わずか1割だった反射率が、これまでの数々の厳しい戦いと経験を経て、ついに3割まで成長していたのだ!
そして、ホブゴブリン戦で発現したあの麻痺効果も、幻ではなかった。
まだ謎が多く、自在に操ることはできないものの、確かに存在する、ギフトの隠された側面。
その可能性が示されたことは、アルトにとって何よりも大きな収穫だった。
光が収まり、水晶が元の透明さを取り戻すと、神官はアルトに向き直り、穏やかに告げた。
「…確認できましたかな?あなたのギフトは、まだ大きな可能性を秘めているようですな。その力を、正しきことのために用いられるよう、これからも精進なさい」
「はい!ありがとうございます!」
アルトは、神官に深く一礼した。
ギフトレベルが3割になった。
その事実は、アルトに新たな自信と、そして明確な目標を与えてくれた。
目指すべきは、10割反射。
道はまだ遠く、険しいだろう。
だが、自分は着実に、その頂きへと近づいているのだ。
そして、謎に包まれた追加効果。
いつか必ず、この力を解き明かし、自分のものにしてみせる。
Cランク冒険者として、そして3割反射のギフト使いとして。
アルトは、王都アステリアで、さらなる飛躍を誓った。
エリアーヌにもこの結果を報告し、ギフト研究をさらに進めていこう。
彼の冒険は、確かな成長と、深まる謎と共に、新たな章へと、力強く歩みを進めていく。
アルトは、大神殿の荘厳な空間の中で、未来への希望と決意に、胸を熱くするのだった。
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