落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

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第96話 黒き核の守護者、決死の突撃

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西の森、その最奥部にひっそりと佇む古い祠。

その周囲は、生命力を吸い尽くされ黒く変色した大地と、そこを蠢くおびただしい数の漆黒のスライム、そして祠の入り口を守るかのように立つ、スライムに侵された不気味なアンデッドの兵士によって、まさに死の領域と化していた。
中央の祠の中では、元凶である「黒き核」が、禍々しい脈動を続けている。

「数が多すぎるわい…!だが、やるしかないようじゃな!」

ゴルドーが巨大な戦斧を握り締め、低く唸る。
ノエルも、腰の短剣を抜き放ち、その小柄な体に似合わぬ鋭い殺気を漂わせている。
アルトもまた、黒曜の剣とバックラーを構え、覚悟を決めた。
この邪悪な存在を放置すれば、いずれこの領地全体が、この森と同じ運命を辿ることになるだろう。

「作戦通り、行くぞ!ゴルドーさん、前衛をお願いします!ノエル、アンデッドの足止めと、スライムの核を!」

アルトの掛け声と共に、三人は動き出した。

「任せろォォ!」

ゴルドーが雄叫びを上げ、まるで突進する猪のように、スライムの群れへと突っ込んでいく!
巨大な戦斧が横薙ぎに振るわれ、数体のスライムが弾け飛び、黒い粘液を撒き散らす。
彼はパーティの頑強な壁となり、敵の攻撃を一手に引き受ける。
アンデッドの兵士が錆びた剣で斬りかかってきても、ゴルドーはその分厚い鎧で受け止め、戦斧の一撃で骨ごと粉砕しようとする。

アルトは、ゴルドーの側面と背後を固めるように動いた。
ゴルドーを狙って押し寄せるスライムの波を、バックラーでの防御とカウンター反射で押し返す。
漆黒のスライムの体当たりは、それ自体に大きな威力はない。
しかし、触れるたびにじわりじわりと生命力が吸い取られていくような、不快な感覚がある。
アルトは極力直接触れないように立ち回りつつ、反射ダメージで確実に数を減らしていく。

アンデッド兵士の攻撃に対しては、黒曜の剣で受け流し、あるいはカウンター反射で腕や脚の骨を砕く。
スケルトン戦での経験が活きていた。
さらに、囲まれそうになった時には、「インパクト・パルス!」と叫び、衝撃波を放って周囲のスライムを吹き飛ばし、味方のためのスペースを確保する。
ギフトの応用技も、着実に彼の戦術の一部となっていた。

ノエルは、影のように戦場を舞っていた。
彼女の主な標的は、二体のアンデッド兵士だ。
ゴルドーが正面から打ち合っている隙に、音もなく背後や側面に回り込み、短剣で関節部分や、スライムに覆われていない骨の隙間を的確に突いていく。
その動きは素早く、正確で、アンデッドの動きを確実に阻害していた。

さらに、ノエルは時折、腰のポーチから取り出した、以前村で確保したスライムの「核」(黒い欠片)を、まるで手裏剣のようにスライムの群れへと投げつけた。
核が漆黒のスライムに命中すると、対象は激しく泡を立てて消滅する。
これは極めて有効な攻撃手段だが、手持ちの核の数には限りがある。
無駄撃ちはできない。

三人の連携は、見事だった。
ゴルドーが壁となり敵を引きつけ、アルトが広範囲をカバーしつつダメージを与え、ノエルがトリッキーな動きで敵を翻弄し、弱点を突く。
しかし、敵の数はあまりにも多かった。
倒しても倒しても、祠の中にある黒き核からか、あるいは地面からか、新たな漆黒のスライムが湧き出してくるような感覚さえある。

そして、スライムに侵されたアンデッド兵士も、異常なまでにしぶとかった。
腕を砕かれても、脚を破壊されても、赤い光を宿した眼窩でアルトたちを睨みつけ、残った体を引きずるようにして襲いかかってくる。
倒れたかと思っても、近くのスライムがその骸に取り付き、再び動き出そうとするような、不気味な光景も見られた。

「ちぃっ、キリがないぞ、これでは!」
ゴルドーの額にも、焦りの汗が浮かび始める。
アルトもノエルも、じわじわと生命力を吸われ続け、疲労の色が濃くなっていた。
回復薬を飲むが、その効果も限定的だ。

(このままじゃ、押し切られる…!やはり、狙うべきは…!)

アルトは決断した。
「ゴルドーさん、ノエル!このままじゃダメだ!雑魚は無視して、祠の中の核を直接叩く!」

「ふん、ようやく決心がついたか、若造!」
ゴルドーが応える。

「…了解。…道、作る」
ノエルも短く頷いた。

作戦は変更された。
目標はただ一つ、祠の中の、脈打つ黒き核。
三人は、最後の力を振り絞り、祠への突撃を開始した。

「道を空けろォォ!」
ゴルドーが先頭に立ち、戦斧を凄まじい勢いで振り回し、スライムとアンデッドの壁を強引にこじ開けていく。
彼の切り開いた道を、アルトが続く。
バックラーと反射、そしてインパクト・パルスを駆使し、左右から迫る敵を必死に食い止め、ノエルのための突撃路を確保する。

「ノエル、今だ!」
アルトが叫ぶ。

ノエルは、アルトとゴルドーが作った一瞬の隙間を、矢のように駆け抜けた!
彼女の目標は、祠の中の祭壇、そしてその上に鎮座する黒き核だ!

しかし、三人が祠の目前まで迫った、その瞬間だった。
祠の中から、これまでとは比較にならないほど強大で、そして禍々しい気配が、まるで噴出するかのように溢れ出した!
祠の入り口が、まるで巨大な口のように、さらに大きく歪み、その奥から、漆黒の闇そのものが凝縮したかのような、巨大な何かが姿を現そうとしていた。
脈打っていた黒き核が、自己防衛のために、あるいは最後の守護者を呼び覚ましたかのように、激しく脈動を始めている!

「な、なんだ、あれは!?」
ゴルドーが、思わず足を止めて叫ぶ。

決戦の第二ラウンド。
いや、本当の戦いは、これから始まるのかもしれない。
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