落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

文字の大きさ
105 / 125

第107話 王都震撼、Cランクの凱旋

しおりを挟む
夜明け前の薄明かりが、王都の古い下水道の出口を照らし出す。
そこから、泥と血と、そして尋常ではない疲労にまみれた三人の冒険者が、おぼつかない、しかし確かな足取りで地上へと姿を現した。

アルト、ノエル、ゴルドー。
彼らは、王都の暗部に巣食う闇ギルド「黒蛇の牙」のアジトを壊滅させ、その首領格であるジャドウを討ち取ったのだ。

下宿屋に戻り、女将さんの温かい心遣いに感謝しつつ、三人はまず傷の手当てと、仮眠を取った。
極度の緊張と疲労から解放され、彼らは文字通り泥のように眠った。

目覚めた後、アルトたちは今回の戦いで手に入れたものを改めて確認した。
ジャドウが遺した、明らかに魔力を帯びた黒い長剣と、蛇の紋章が刻まれた禍々しいペンダント。

そして、アジトの隠し棚から発見された、マルコム男爵と闇ギルドの繋がりを示すさらなる証拠書類や、闇ギルドの他の活動拠点、構成員に関する情報が記された地図など。
これらは、男爵を追い詰め、そして王都の闇をさらに深く探るための、決定的な手がかりとなるだろう。

体力をある程度回復させた三人は、ギルド本部へと向かった。
彼らがカウンターに姿を現し、ジャドウの黒剣やペンダント、そして関連書類などを証拠として提示し、冷静に、しかし詳細に任務の完了を報告した時、ギルドマスターは言葉を失い、ただただ目を見開いていた。

アルトは報告の最後に付け加えた。
「…そして、首領格のジャドウは、討伐した後、黒い霧となって消滅しました。おそらく…普通の人間ではなかったのかもしれません」

「なんと……霧に……!?」
ギルドマスターは絶句し、深く考え込むような仕草を見せた。
「やはり、ただの暗殺ギルドの長ではなかったというわけか…。情報感謝する。それはギルドとしても、詳しく調査する必要があるだろう」

そして、マスターはアルトたち三人の顔を改めて見渡し、深い感嘆と共に、そして強い敬意を込めて言った。

「……アルト君、ノエル君、ゴルドー君。君たちは、本当にやり遂げたのだな。王都の平和を脅かす大きな脅威を、その手で打ち砕いた。ギルドとして、いや、王都に住まう者として、心から感謝する」

マスターの声には、抑えきれないほどの称賛がこもっていた。

「Cランクパーティによる、闇ギルド『黒蛇の牙』アジトの壊滅、及び首領格ジャドウの討伐。これは、ギルドの記録においても、特筆すべき偉業だ!」

マスターは、依頼達成の基本報酬に加え、危険な任務の完遂、闇ギルド壊滅への多大な貢献、そして貴重な情報提供に対する特別功労金として、金貨を多数含む、破格の報酬を三人に手渡した。

「これは君たちの勇気と、卓越した実力に対する正当な対価だ。胸を張って受け取るがいい。そしてアルト君、君のCランク昇格は、この功績をもって、ギルドの誰もが認めるところだ!」

ギルド内からは、アルトたちパーティの偉業と、アルトのCランク昇格を称える、大きな拍手と賞賛の声が上がった。
もはや彼らを単なる「運のいい新人」と見る者はいない。
彼らは、王都ギルドにおいて、誰もが認める実力派Cランクパーティとしての地位を、確固たるものにしたのだ。

ギルドでの報告を終えた後、アルトはエリアーヌの研究室を訪れた。
ジャドウ討伐の経緯、彼が霧となって消滅したという不可解な現象、そして戦闘中にギフトの麻痺効果が明確に発動したことを、詳しく報告する。
回収してきたジャドウのペンダントも、分析のために彼女に託した。

エリアーヌは、アルトの話を聞き、ペンダントを受け取ると、研究者としての興奮を隠しきれない様子だった。

「まあ!まあ!まあ!ついに完全な覚醒が!しかもジャドウは霧に!?このペンダントには…確かに、古代の闇の呪詛に似た、非常に禍々しい魔力が残留していますわ!素晴らしいサンプルです!これで研究が一気に進みます!」

彼女は目を輝かせ、すぐにペンダントの分析と、アルトのギフトに関する考察に取り掛かり始めた。

「ギフトの麻痺効果…やはり、アルトさん自身の強い『守護意志』と、生命の危機に瀕するほどの『極限状態』が、複合的なトリガーとなっている可能性が極めて高いですわね!制御方法の解明にはまだ時間がかかりますが、必ず、必ず突き止めてみせますから!」

エリアーヌの力強い言葉に、アルトはギフトの謎解明への希望を、さらに強くした。

大きな依頼を終え、Cランク冒険者としての地位を確立し、ギフトの覚醒という大きな収穫も得たアルト。
彼は、下宿屋に戻り、再び休息を取りながら、今後のことを考え始めた。

仲間であるゴルドーとノエルとは、今回の依頼達成後、一旦それぞれの活動に戻ることになった。
しかし、彼らの間に生まれた絆は固く、「また何か面白いことがあったら声をかけろ」という言葉を交わし、再会を約束している。

アルトは、当面の間、王都に留まり、冒険者としての実力をさらに高めつつ、エリアーヌと協力してギフトの研究を進めることを決めた。

王都でのアルトの評判は、日増しに高まっていた。
「Cランクに昇格したばかりのパーティが、闇ギルドのアジトを壊滅させたらしい」
「アルトとかいう反射使いは、とんでもない力を持っているそうだ」
そんな噂が、冒険者だけでなく、商人や貴族たちの間にも広まり始めていた。

バーンスタイン子爵からは、改めて多大な感謝の意と共に、今後の協力関係を望む丁寧な書状が届いた。
シルヴィからも、「面白い話、詳しく聞かせてもらうわよ」という、期待のこもった?伝言があった。

王都での彼の存在感は確固たるものとなり、多くの可能性と挑戦が、彼の前に広がっている。
しかし、彼は決して驕ることはない。
自身の未熟さを自覚し、さらなる成長への渇望を胸に秘めている。

マルコム男爵の悪事はまだ裁かれておらず、闇ギルドの残党も完全に消えたわけではない。

そして、ギフトの謎も、まだ解き明かされてはいない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...