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第122話 新たな翼『夜鏡』、空の王者への挑戦
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アーマーライノとの死闘を乗り越え、Bランク冒険者として王都アステリアで確固たる地位を築き始めたアルト。
彼は休息期間を利用し、エリアーヌとのギフト研究を進め、リフレクト・ショック制御への糸口を探りつつ、頑鉄工房のボルガン親方による特製バックラー「夜鏡」の修理と強化の完了を、今か今かと待ちわびていた。
あのアーマーライノの突進ですら完全に砕け散ることはなかった夜闇鋼の盾。
それが、ボルガン親方の手によってどう生まれ変わるのか、期待は大きかった。
そしてついに、ボルガン親方から「夜鏡」が完成したとの連絡が入った。
アルトははやる気持ちを抑え、頑鉄工房へと駆けつけた。
「おう、来たか、小僧。ふん、少しは冒険者らしい顔つきになってきたじゃねえか」
ボルガンは、炉の火を背に、相変わらずのぶっきらぼうさでアルトを迎えた。
しかし、その目には確かな満足感と、自身の仕事への誇りが浮かんでいる。
「約束通り、お前さんの大事な『鏡』、ピカピカに…いや、前よりもっと頑丈に打ち直しておいたぞ。受け取るがいい」
ボルガンが、作業台の上に置かれていた布を厳かに取り払う。
そこに現れたのは、以前にも増して深い黒の輝きを放つバックラーだった。
新生「夜鏡」。
基本的な円形の形状は保たれているが、表面にはさらに細かい、複雑なドワーフの防御ルーンがびっしりと追加で刻み込まれている。
そして、縁の部分はより鋭利に、かつ衝撃を分散させるような巧妙な角度で補強されていた。
夜闇鋼の持つ神秘的な輝きと、ドワーフの卓越した技術が見事に融合した、まさに芸術品と呼んでも過言ではない逸品だ。
「前の戦いの教訓を活かしてな、衝撃吸収能力と、お前さんの妙な力(ギフト)との親和性をさらに高めておいた」
ボルガンは、自慢の作をアルトに手渡しながら説明する。
「物理的な防御力はもちろん、魔法的な攻撃に対する抵抗力も、前とは比べもんにならんはずだ。そして、反射の力…そのエネルギーを受け止め、ロスなく増幅し、効率よく相手に叩き返せるように、わしなりの工夫も凝らしておいた。まあ、これほどの業物、使いこなせるかどうかは、お前さん次第だがな」
ボルガンは最後に付け加えた。「今度こそ、二度と壊してくるんじゃねえぞ。こいつは、わしの魂の一部みてえなもんだからな」
アルトは、生まれ変わった「夜鏡」を、畏敬の念と共に受け取った。
腕に装着すると、驚くほどの軽さ、そして吸い付くような一体感。
黒曜の剣と並べて構えると、二つの夜闇鋼の武具が互いに共鳴し合うかのように、アルトの全身に力がみなぎるのを感じた。
これぞ、自分のための、最高の盾だ。
「ありがとうございます、ボルガン親方!必ず、この盾を使いこなしてみせます!」
アルトは、心の底からの感謝を込めて、深く頭を下げた。
早速、アルトはギルドの訓練場へ向かい、新生「夜鏡」の性能を試した。
黒曜の剣との連携は、もはや思考するまでもなく、体の一部のように自然に行える。
盾での防御から剣での反撃へ、あるいはその逆も、淀みなく、そして速い。
盾自体の防御力も桁違いだ。
訓練用の重い鉄球による打撃も、以前はかすかに感じた衝撃すら、ほとんど感じさせない。
そして、カウンター反射。
夜鏡は、受けた衝撃を寸分のロスもなくアルトのギフトへと伝え、そして増幅された反射エネルギーを、以前よりも明らかに強力に、そして指向性を持って相手へと叩き返す感覚があった。
訓練用の最も頑丈なダミーが、反射の一撃で、容易く粉砕されていく。
インパクト・パルスの威力も、夜鏡を通して放つことで、その収束率と威力が増しているのを明確に感じられた。
まさに、アルトのギフトのために、そしてこれからの彼の戦いのために、完璧に調整された究極の盾と言えるだろう。
(これなら…!)
アルトは、新たな力がもたらす無限の可能性に、胸を熱くしていた。
この剣と、この盾があれば、Bランクの強敵とも、互角以上に渡り合えるはずだ。
新たな相棒を得て、アルトはBランク冒険者としての本格的な初仕事に臨む時が来たと感じていた。
彼はギルドへ向かい、Bランク向けの依頼が並ぶ掲示板を、真剣な眼差しで見つめる。
以前よりも自信に満ちたその瞳は、より困難な挑戦を求めていた。
そして、アルトの目は、王都近郊の山岳地帯に関する、一枚の緊急討伐依頼に釘付けになった。
『緊急・グリフォン討伐:北部山岳地帯にて、凶暴化したグリフォン1体の目撃情報多数。家畜や旅人への被害発生。迅速な討伐を要す。危険度B+。報酬 金貨5枚。ランクB以上推奨(パーティ推奨)』
グリフォン。
鷲の上半身と翼、ライオンの下半身を持つ、空の王者とも呼ばれる誇り高き魔獣。
その飛行能力、鋭い爪とくちばしによる攻撃、そしてライオン譲りの圧倒的な膂力は、Bランク冒険者にとっても大きな脅威となる。
特に、空を自在に飛び回る相手との戦いは、アルトにとって未知の領域だった。
(空の敵か…ロックホークよりも、ずっと強いだろうな。俺の反射は、空を飛ぶ相手にどこまで通用する…?それに、あの速さに、この新しい盾は…)
アルトは一瞬ためらった。
しかし、すぐにその迷いを振り払う。
Bランクとして、そしてさらなる高みを目指すためには、避けては通れない相手だ。
そして何より、強化された「夜鏡」と、成長したギフトの力を試したいという気持ちが、彼の挑戦心を強く刺激していた。
「これに、挑戦します」
アルトは、この「グリフォン討伐」依頼を受けることを決意した。
今回も、あえて単独で挑む。
空の敵という、これまでにないタイプの強敵に対し、自分の限界がどこにあるのか、そして新たな装備と力がどこまで通用するのかを、この身で確かめたかったのだ。
依頼を受注すると、ギルドマスターはアルトの選択に驚きつつも、その決意に満ちた目を見て、静かに頷いた。
「……君なら、あるいは、と思ってしまうのが不思議だな。だが、相手はグリフォンだ。決して侮るなよ、アルト君」
マスターは、グリフォンの習性や弱点について、ギルドが持つ情報をアルトに提供した。
「奴らは空の王者だ。地上戦に持ち込めたとしても、そのパワーとスピードは脅威となる。弱点は、比較的防御の薄い翼の付け根や、心臓部だが、空を飛ばれては狙うことすら難しいだろう。何よりも、空中からの奇襲と、音もなく忍び寄る鋭い爪、そして岩をも砕くくちばしによる急降下攻撃には、最大限の警戒が必要だ」
エリアーヌにも報告すると、彼女は「まあ、グリフォンですって!?あの気高く美しい魔獣!素晴らしい!生態調査の絶好の機会ですわ!」と目を輝かせたが、すぐに真顔に戻り、「しかし、極めて危険な相手ですわ。彼らは非常に視覚が優れており、隠密行動はほぼ不可能でしょう。そして、風を読む能力にも長けています。風上からの奇襲や、逆に風を利用した回避行動には十分注意が必要ですわね」と警告した。
そして、一つの可能性を示唆した。
「あなたのインパクト・パルス…あれで、飛行中のグリフォンのバランスを崩させることができれば、あるいは大きなチャンスになるかもしれませんわよ?」
アルトは、これらの貴重な情報を元に、対グリフォン戦を想定した準備を進めた。
遠距離への牽制手段として、投擲用にバランス調整されたナイフを数本購入した。
そして、エリアーヌのアドバイスを元に、相手を地上に引きずり下ろすための、先端に重りと特殊な形状の鉤がついた、頑丈な投げ縄のような道具も用意した。
もちろん、新生「夜鏡」と黒曜の剣の手入れは、これまで以上に入念に行った。
Bランク冒険者として、そして強化された特製の盾「夜鏡」を手に。
アルトは、王都の北門を再びくぐった。
目指すは、空の猛者グリフォンが待つ、険しい山岳地帯。
地を駆ける強敵アーマーライノとは全く異なる、空を支配する敵。
アルトの剣と盾、そしてギフトは、この新たな脅威にどう立ち向かうのか。
そして、リフレクト・ショックの制御は、この戦いの中でさらなる進歩を見せるのだろうか。
彼は休息期間を利用し、エリアーヌとのギフト研究を進め、リフレクト・ショック制御への糸口を探りつつ、頑鉄工房のボルガン親方による特製バックラー「夜鏡」の修理と強化の完了を、今か今かと待ちわびていた。
あのアーマーライノの突進ですら完全に砕け散ることはなかった夜闇鋼の盾。
それが、ボルガン親方の手によってどう生まれ変わるのか、期待は大きかった。
そしてついに、ボルガン親方から「夜鏡」が完成したとの連絡が入った。
アルトははやる気持ちを抑え、頑鉄工房へと駆けつけた。
「おう、来たか、小僧。ふん、少しは冒険者らしい顔つきになってきたじゃねえか」
ボルガンは、炉の火を背に、相変わらずのぶっきらぼうさでアルトを迎えた。
しかし、その目には確かな満足感と、自身の仕事への誇りが浮かんでいる。
「約束通り、お前さんの大事な『鏡』、ピカピカに…いや、前よりもっと頑丈に打ち直しておいたぞ。受け取るがいい」
ボルガンが、作業台の上に置かれていた布を厳かに取り払う。
そこに現れたのは、以前にも増して深い黒の輝きを放つバックラーだった。
新生「夜鏡」。
基本的な円形の形状は保たれているが、表面にはさらに細かい、複雑なドワーフの防御ルーンがびっしりと追加で刻み込まれている。
そして、縁の部分はより鋭利に、かつ衝撃を分散させるような巧妙な角度で補強されていた。
夜闇鋼の持つ神秘的な輝きと、ドワーフの卓越した技術が見事に融合した、まさに芸術品と呼んでも過言ではない逸品だ。
「前の戦いの教訓を活かしてな、衝撃吸収能力と、お前さんの妙な力(ギフト)との親和性をさらに高めておいた」
ボルガンは、自慢の作をアルトに手渡しながら説明する。
「物理的な防御力はもちろん、魔法的な攻撃に対する抵抗力も、前とは比べもんにならんはずだ。そして、反射の力…そのエネルギーを受け止め、ロスなく増幅し、効率よく相手に叩き返せるように、わしなりの工夫も凝らしておいた。まあ、これほどの業物、使いこなせるかどうかは、お前さん次第だがな」
ボルガンは最後に付け加えた。「今度こそ、二度と壊してくるんじゃねえぞ。こいつは、わしの魂の一部みてえなもんだからな」
アルトは、生まれ変わった「夜鏡」を、畏敬の念と共に受け取った。
腕に装着すると、驚くほどの軽さ、そして吸い付くような一体感。
黒曜の剣と並べて構えると、二つの夜闇鋼の武具が互いに共鳴し合うかのように、アルトの全身に力がみなぎるのを感じた。
これぞ、自分のための、最高の盾だ。
「ありがとうございます、ボルガン親方!必ず、この盾を使いこなしてみせます!」
アルトは、心の底からの感謝を込めて、深く頭を下げた。
早速、アルトはギルドの訓練場へ向かい、新生「夜鏡」の性能を試した。
黒曜の剣との連携は、もはや思考するまでもなく、体の一部のように自然に行える。
盾での防御から剣での反撃へ、あるいはその逆も、淀みなく、そして速い。
盾自体の防御力も桁違いだ。
訓練用の重い鉄球による打撃も、以前はかすかに感じた衝撃すら、ほとんど感じさせない。
そして、カウンター反射。
夜鏡は、受けた衝撃を寸分のロスもなくアルトのギフトへと伝え、そして増幅された反射エネルギーを、以前よりも明らかに強力に、そして指向性を持って相手へと叩き返す感覚があった。
訓練用の最も頑丈なダミーが、反射の一撃で、容易く粉砕されていく。
インパクト・パルスの威力も、夜鏡を通して放つことで、その収束率と威力が増しているのを明確に感じられた。
まさに、アルトのギフトのために、そしてこれからの彼の戦いのために、完璧に調整された究極の盾と言えるだろう。
(これなら…!)
アルトは、新たな力がもたらす無限の可能性に、胸を熱くしていた。
この剣と、この盾があれば、Bランクの強敵とも、互角以上に渡り合えるはずだ。
新たな相棒を得て、アルトはBランク冒険者としての本格的な初仕事に臨む時が来たと感じていた。
彼はギルドへ向かい、Bランク向けの依頼が並ぶ掲示板を、真剣な眼差しで見つめる。
以前よりも自信に満ちたその瞳は、より困難な挑戦を求めていた。
そして、アルトの目は、王都近郊の山岳地帯に関する、一枚の緊急討伐依頼に釘付けになった。
『緊急・グリフォン討伐:北部山岳地帯にて、凶暴化したグリフォン1体の目撃情報多数。家畜や旅人への被害発生。迅速な討伐を要す。危険度B+。報酬 金貨5枚。ランクB以上推奨(パーティ推奨)』
グリフォン。
鷲の上半身と翼、ライオンの下半身を持つ、空の王者とも呼ばれる誇り高き魔獣。
その飛行能力、鋭い爪とくちばしによる攻撃、そしてライオン譲りの圧倒的な膂力は、Bランク冒険者にとっても大きな脅威となる。
特に、空を自在に飛び回る相手との戦いは、アルトにとって未知の領域だった。
(空の敵か…ロックホークよりも、ずっと強いだろうな。俺の反射は、空を飛ぶ相手にどこまで通用する…?それに、あの速さに、この新しい盾は…)
アルトは一瞬ためらった。
しかし、すぐにその迷いを振り払う。
Bランクとして、そしてさらなる高みを目指すためには、避けては通れない相手だ。
そして何より、強化された「夜鏡」と、成長したギフトの力を試したいという気持ちが、彼の挑戦心を強く刺激していた。
「これに、挑戦します」
アルトは、この「グリフォン討伐」依頼を受けることを決意した。
今回も、あえて単独で挑む。
空の敵という、これまでにないタイプの強敵に対し、自分の限界がどこにあるのか、そして新たな装備と力がどこまで通用するのかを、この身で確かめたかったのだ。
依頼を受注すると、ギルドマスターはアルトの選択に驚きつつも、その決意に満ちた目を見て、静かに頷いた。
「……君なら、あるいは、と思ってしまうのが不思議だな。だが、相手はグリフォンだ。決して侮るなよ、アルト君」
マスターは、グリフォンの習性や弱点について、ギルドが持つ情報をアルトに提供した。
「奴らは空の王者だ。地上戦に持ち込めたとしても、そのパワーとスピードは脅威となる。弱点は、比較的防御の薄い翼の付け根や、心臓部だが、空を飛ばれては狙うことすら難しいだろう。何よりも、空中からの奇襲と、音もなく忍び寄る鋭い爪、そして岩をも砕くくちばしによる急降下攻撃には、最大限の警戒が必要だ」
エリアーヌにも報告すると、彼女は「まあ、グリフォンですって!?あの気高く美しい魔獣!素晴らしい!生態調査の絶好の機会ですわ!」と目を輝かせたが、すぐに真顔に戻り、「しかし、極めて危険な相手ですわ。彼らは非常に視覚が優れており、隠密行動はほぼ不可能でしょう。そして、風を読む能力にも長けています。風上からの奇襲や、逆に風を利用した回避行動には十分注意が必要ですわね」と警告した。
そして、一つの可能性を示唆した。
「あなたのインパクト・パルス…あれで、飛行中のグリフォンのバランスを崩させることができれば、あるいは大きなチャンスになるかもしれませんわよ?」
アルトは、これらの貴重な情報を元に、対グリフォン戦を想定した準備を進めた。
遠距離への牽制手段として、投擲用にバランス調整されたナイフを数本購入した。
そして、エリアーヌのアドバイスを元に、相手を地上に引きずり下ろすための、先端に重りと特殊な形状の鉤がついた、頑丈な投げ縄のような道具も用意した。
もちろん、新生「夜鏡」と黒曜の剣の手入れは、これまで以上に入念に行った。
Bランク冒険者として、そして強化された特製の盾「夜鏡」を手に。
アルトは、王都の北門を再びくぐった。
目指すは、空の猛者グリフォンが待つ、険しい山岳地帯。
地を駆ける強敵アーマーライノとは全く異なる、空を支配する敵。
アルトの剣と盾、そしてギフトは、この新たな脅威にどう立ち向かうのか。
そして、リフレクト・ショックの制御は、この戦いの中でさらなる進歩を見せるのだろうか。
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