転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
13 / 117

第11話 夜更けの冒険

しおりを挟む

 夕食を食べ終えたルーテ達は、お風呂に入った後、シスターに促されて寝室へと戻った。

 そして、皆一斉にベッドの中へ潜り込む。

 ――孤児院の消灯時間は非常に早い。

「早寝遅起き」がシスターのモットーなのである。

「それでは皆さん、おやすみなさい」

 シスターの言葉と共に、寝室の明かりが消された。

(今日も良い一日でした!)

 ルーテは満足げに目を閉じる。

「………………………………」

 しかし、魔法で意識を失わない訓練を続けた彼は、副次的に眠くなりにくい体質を獲得していた。

(……ぜんぜん眠くありません! 退屈すぎます!)

 ベッドの中で一人悶々とするルーテ。

(…………この時間は無駄ですね!)

 結局、こっそりとベッドから起き上がって孤児院を抜け出すことにした。

(遺跡へ行きましょう!)

 【隠密】スキルによる洗練された動きで寝室を後にし、堂々と歩きながらも一切足音を立てずに玄関へと辿り着くルーテ。

 ゆっくりと扉を開けて外へ出たその時。

「――あ」

 懐にしまっていたアレスノヴァが飛び出し、地面へと落ちる。

 そして、青白い光を放ちながら空中に球体を投影し始めた。

〈目的地を選択してください〉

 ほぼ同時に、無機質な声がルーテの脳内に響く。

「こ、これは……?」

 突然のことに、ルーテは困惑した。

(原作にない挙動をするなら、せめてチュートリアルくらいは欲しいのですが……)

 そう思いながら、彼の目の前に投影された大きな球体を観察する。

「…………なるほど」

 どうやら、アレスノヴァは世界地図である自分自身をそのまま空中に投影していたようだ。

(さっきの声を聞いた感じだと、おそらくこれがワープ先を選択する為のメニュー画面のようなものなのでしょう)

 前世がゲーマーだったおかげで、UIの理解は早い。

「でもこれ……どうやって閉じれば良いんでしょうか……?」

 ルーテはそんな疑問を口にしながら、空中の球体に触れてみる。

 すると、今度はゆっくりと回転し始めた。

「なんだか地球儀みたいですね! ええと……僕の住んでる孤児院は確か……」
〈選択完了〉
「え?」
〈間もなく目的地へ転送します〉

 刹那、空中の球体が消え去り、同時にルーテの体が光り始める。

 適当に操作をした際に誤って目的地を選択してしまったようだ。

(すでにワープ先が登録されていたんですか……?!)

 青ざめるルーテ。

 もしこの近くの遺跡がワープ先として登録されていなかった場合、どこか遠くへ飛ばされたまま二度と孤児院へ帰って来れなくなってしまう可能性がある。

「ま、待って! ストップ! キャンセルですっ!」

 しかし、ルーテの声が聞き届けられることはなかった。

「わああああああ――――」

 かくして、ルーテは跡形もなく姿を消してしまったのである。

 *

「あああっ……………」

 気がつくと、ルーテは周囲をガラスで囲まれた円形の部屋の中に立っていた。

 それから程なくして正面のガラスが自動的に開き、外へ出られるようになる。

「…………やってしまいました」

 ワープが完了してしまったことを悟り、頭を抱えるルーテ。

「ど、どうにかして戻れないでしょうか……?」

 アレスノヴァを取り出してもう一度メニュー画面を開こうとするが、反応はない。

〈現在充電中につき使用不可です〉

 代わりに、そんな声が聞こえてくる。

 どうやらもう一度使用できるようになるまで時間がかかるらしい。

(また原作に無い仕様です……! アーティファクト関連は注意して扱った方が良さそうですね……僕とあろうものが迂闊《うかつ》でした)

 ルーテは肩を落とす。

(これからどうしましょうか……)

 今の彼に出来ることといえば、アレスノヴァが再び使用可能になるまで待つことだけだ。

(今までにないピンチです……! 最悪、この遺跡の外が絶海の孤島で、おまけにワープ先がここ以外登録されていない可能性だってあります。そんな状況になったら……)

 どんどんと最悪な方向へ妄想を膨らませていくルーテ。

(……楽しすぎませんか?! ゲームの製作者も想定していないような状況に陥ってしまった時ほどワクワクすることは有りませんよね! 詰みセーブみたいな状況から運良く抜け出せた時なんて絶頂すら覚えます! ああ、むしろそうならないかなぁ!)

 しかし、彼はいつもの残念な子ルーテだった。

(ふぅ……一人で興奮しすぎました。……ピンチを自分で望むなんてちょっと変です。プレイヤーである僕自身は、あくまで最善を尽くすべきですからね!)

 彼は、自らを侵食する異常者の魂ゲーマーズソウルと常にせめぎ合っているのである。

(――とにかく外へ出ましょう)

 落ち着いたルーテは、現在地を把握する為にひとまず外へ出ることにした。

 機能を消失した半開きの自動ドアを通り、朽ち果てた研究施設のような場所へ移動するルーテ。

 『レジェンド・オブ・アレス』の世界には、高度な技術を有していた古代文明が存在している。

 その為、「遺跡」のデザインはファンタジーというよりSFに近い。

 ルーテは、壊れた電子機器らしき物が床に散乱した通路を進み、外からの光が差し込んでいる場所を遠くに発見する。

「やりました! 出口です!」

 すぐさま走り出すルーテ。

 やがて、遺跡を抜けた先に待っていたのは、静かな竹林だった。

 孤児院の方は夜だったのにも関わらず、こちらは空に日が登っている。

「ここは……!」

 その光景を見て、ルーテはここがどこであるのかをすぐに理解した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...