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外伝3 新たなる経験値
しおりを挟む「ンーっ! ンーっ!」
少女は、頭に袋を被せられた状態で地面に転がされていた。
哀れな少女の周りを、二人の怪しげな人間が取り囲んでいる。
「……もう良いぞトワイライト。取ってやれ」
黒衣を身に纏った男が隣に居るシスターに向かって言った。
「……ッたく、なんでアタシがガキのお守りなんてしなきゃなンねェーんだよクソッ!」
聖職者としてあるまじき悪態をつきながら、シスター――通称黄昏は、少女が被っていた袋を引き剥がす。
すると、茶色い髪を後ろで一つに結んだ少女の素顔が露わになった。
「んーッ! んんんーッ!」
「……目隠しと口枷もだ。外せ」
男は続けて指示を出す。
「チッ、めんどくせェなァ!」
トワイライトは、乱暴な手つきでそれらを解いた。
「んぐっ、けほっ、けほっ! ……あんた達……一体何なのよ! わたしにこんなことしてただで済むと思ってるのッ?!」
言いながら二人のことを睨み付ける少女。しかし、その目には涙が浮かんでいた。
「こいつは驚いた。随分と気の強え嬢ちゃんだ。昔のお前みたいだな、トワ――」
「うぜェ。黙ってろノックス」
トワイライトは、男――通称暗夜の股座を蹴り上げた後、少女に近づき髪を引っ掴む。
「な、何よ! 言っておくけどわたしのパパは――」
そして、思い切り顔を殴り付けた。鈍い音が鳴り響き、地面に血が飛び散る。
「ぇ…………?」
「うっせえンだよッ!」
鼻血を出している少女の首元に、短剣の刃先が押し当てられた。
「ひ…………っ!」
一筋の血が流れ落ち、さらに地面を汚す。
「ぁ……ぃや…………!」
「泣き喚いたら今すぐその首掻っ切って大好きなパパの隣でおねんねさせてやるよ。それが嫌だったら大人しくしてやがれッ!」
「…………ぁ!」
少女は、痛みと恐怖で何も話せなくなっていた。
「……待て、そこまでだ……クソアマ」
暴走するトワイライトを止めたのは、痛みから立ち直ったノックスである。
「……ンだよクソッ!」
「もう俺達の目的を忘れたのか? 身代金を受け取る前に人質を殺してどうする。クールに行こうぜ兄妹《きょうだい》」
「……テメェの妹《シスター》になった覚えはねェぞ。気持ち悪りぃこと言うな」
女は腹立たしげにノックスのことを払い除ける。
「と、いうわけだ。悪かったな嬢ちゃん。――だが、大人しく俺達に協力してくれりゃ無事…………かどうかは分からねぇが、生かしたままパパのところに帰してやる」
「ひっ……ひっ、ひぐっ……」
「…………おい、やりすぎだ。テメェの奇跡で治療してやれ」
そう言われたトワイライトは舌打ちをした後、少女の傷を治し始めるのだった。
「あーあ! せっかく綺麗だったのに治してしまうのかい?」
するとその時、そんな声と共に白衣姿の青年が現れる。
「……どこに行ってやがったホワイト」
通称白夜、二人の仲間である。
「見回りをしていただけさ。大事なことだろう?」
「こんな場所に人なんか来やしねェよ。勝手な行動は慎んでくれ」
「そうかい? それは悪かったね」
ホワイトはあっけらかんとして答えた。
「――そんな事よりトワイライト。その子の傷を治しちゃうなんてもったいないよ!」
「……あ? アタシだって好きでやってるワケじゃねェんだよ。殺すぞ」
そう答える女だったが、青年は止まらない。
「僕はね、その子の天使みたいに白い肌には、生命力溢れるとびきり鮮やかな赤が似合うと思うんだ。せっかく美しく生まれたのに、綺麗にお化粧しないだなんて罪だよ。……トワイライト、君もそう思うだろう?」
「――死ね」
「酷いなぁ。死んでしまったら命は輝かないよ。何でもすぐ死んだり殺したりしようとする奴には美学がないね」
そう言いながら大きめのナイフを取り出し、ゆっくりと少女へ近づいていくホワイト。
「い、いやぁ…………!」
「怖がらないで。殺しはしないさ。見違えるくらい綺麗にしてあげる……!」
その時、ノックスが背後から飛びかかりホワイトのことを取り押さえる。
「クソ……まったく嫌になるぜ。どうして俺はこんなクソどもと組んでるんだろうな」
そして、うんざりした様子で呟くのだった。
*
盗賊団の首領『ノックス』
常夜《ニクス》を始めとする様々な盗賊団を統べる裏の存在であり、その出自は謎に包まれている。
白衣の殺し屋『ホワイト』
凄腕の殺し屋でありながら人を殺す事を好まず、生かしたまま出来る限り多くの血を流させることに心血を注ぐ異常者。
慈悲なきシスター『トワイライト』
拷問のスペシャリストであり、相手が殺して欲しいと懇願するようになるまで何度も奇跡の力で治療し、苦痛を与え続ける。
――『レジェンド・オブ・アレス』モンスター図鑑より引用。
彼ら三人は、ゲーム本編開始時に史上最悪の犯罪者として各国から指名手配されている賞金首達だ。
決まった拠点を持たないが、現在は『メラス地下坑道跡』を中心に活動している。
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