30 / 117
第26話 ゴーレムで金策!
しおりを挟むルーテ達は町外れにある坑道跡の入口まで来ていた。
「着きました!」
「ねえルーテ……ここって本当に入っていい場所なの……?」
恐る恐る中を覗き込みながら問いかけるイリア。
「はい! ダンジョンなので自由に探索可能です! 早速入りましょう!」
ルーテはそう答え、入口に設置された木の柵を乗り越えようとする。
「面白そうなのです! ミネルヴァも行くです!」
「――ま、待って二人とも。どう見ても入ってはいけないと思うわ……!」
一人だけ取り残されそうになったイリアは、慌てて二人の進行を止めた。
「……何を言っているんですかイリア。入ってはいけないダンジョンなんて存在するはずがないでしょう?」
「ときどきあなたの言うことが分からなくなるわ……」
だが、ダンジョンを目の前にしたルーテに諦めさせることなど不可能である。
「不安ならやはりここで待っていますか?」
「うぅ……そ、それは……」
「ダンジョン探索は楽しんでするものです。無理をして僕に付いてくる必要はありません。――ああ……待っていてください経験値の皆さん!」
興奮した様子で話すルーテ。完全に自分の世界へ入り込んでしまっていた。
「…………おっといけない。今日の目的はお金稼ぎでしたね」
「いっぱいお金を稼ぐです! 世の中は金なのです!」
「ミネルヴァ……あなた、どこでそんな言葉を覚えてきたの……? はしたないからやめなさい」
イリアは呆れた様子でミネルヴァのことを諫める。
「自信を持ってください。今のイリアはイリアが考えている以上に強くなっていますよ!」
「そういうことを言っているわけじゃないのだけれど……」
「それに、いざという時は僕が守りますしね」
「るーちゃん…………!」
結局イリアはあっさりと陥落し、三人でダンジョンへ挑むことになるのだった。
ちなみに、『メラス地下坑道跡』は現在立ち入り禁止である。
*
――それから少しして。
「ふんふふんふふーん」
「声を出すとモンスターに気付かれて襲われますよ?」
「………………………………」
鼻歌交じりに先頭を歩いていたミネルヴァは、慌てて口を塞いでルーテの後ろに隠れる。
「近くに魔物がいるの……?」
緊張した面持ちで問いかけるイリア。
「はい。…………見てください。あそこに『ジュエルゴーレム』達が居ます」
ルーテは通路の先にある広間を指さして説明する。
そこは薄暗い坑道の中であるというのにも関わらず、鮮やかに光り輝いていた。
「キラキラしていて綺麗ね…………」
「あの光は全てジュエルゴーレムの身体から発せられているものなんです」
「え……? あれが……全部……?」
「はい。ジュエルゴーレムは、身体を構成する宝石によって色が変わるんです。――分類上は全て同じモンスターとして扱われますが、ドロップアイテムがそれぞれ違います」
「……なるほど。色々いるってことは分かったわ」
「ちなみにここから確認できるのは…………ダイヤモンド、ルビー、トパーズ、サファイア、アメジスト、エメラルドの六種類ですね。――ドロップアイテムの値打ちが一番高いのはあそこに居るダイヤモンドの個体ですが、偶に出現する『シルバーゴーレム』と『ゴールドゴーレム』の二種はそれを更に上回ります。――見つけ次第、優先的に狩ってください」
「……分かった、頑張るわ」
「お金の匂いがしてきましたね……! ふふふふ……!」
「お、落ち着いてルーテ」
説明しているうちに気持ちが高ぶり、目を光らせながらモンスター達の前へ飛び出そうとしたルーテだったが、イリアに服の袖を掴まれる。
「あなた、そんなにお金好きだったかしら……?」
「いえ……僕が好きなのは稼ぐことです! お金に関しては、必要な分以外イリアにあげても問題ありませんよ!」
「それはそれで危ういわね……」
ルーテは、ゲームでお金や経験値を稼いでいる時に至上の喜びを感じることができるのだ。
「ごーれむ……なんかピカピカしてて美味しそうなのです!」
「…………止まりなさい。あれは宝石だから絶対に食べちゃだめよミネルヴァ」
待ちきれなくなったミネルヴァは、よだれを垂らしながらゴーレム達に向かって行こうとするが、イリアは彼女の子とも首根っこを掴んで引き止める。
「えー? キラキラのお菓子じゃないですか……?」
「まったく……あなたは一体何を聞いていたの……? お願いだから二人とも冷静になってちょうだい」
暴走する二人を相手にしていたイリアは、戦闘前であるというのにも関わらずやや疲れ気味だ。
「相手は魔物なのよ? せめて役割分担とか、作戦くらいは決めて欲しいわ」
「――ごめんなさい。そういえば伝え忘れていましたね。……とりあえずミネルヴァの実力を見たいので、イリアと僕はサポートに徹しましょう!」
「あの……そもそもミネルヴァって戦えるのかしら……?」
「もちろんです! ラスボスですからね!」
「らすぼす……?」
「はい! 最強であると言っても過言ではありません!」
「………………?」
いまいち腑に落ちない様子のイリア。
「さいきょーのミネルヴァに任せるです!」
「あ! 待ちなさいっ!」
ミネルヴァはその手からすり抜け、嬉々としてモンスター達の方へ走っていくのだった。
「お金! 経験値! お金! 経験値! お金! 経験値!」
「る、るーちゃんも待ってっ!」
――かくして、ゴーレム狩りが幕を開ける。
*
「……あん? なんか騒がしくねェか?」
「気のせいだろ。ここに人なんか来やしねえさ」
「――やっぱり、僕が見回りしてこようか?」
「ひっぐ……ぐす……うぇぇぇん……」
そんなルーテ達のすぐ近くに、とある怪しげな集団が潜んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる