転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
46 / 117

第40話 エンチャント強制無効化

しおりを挟む

 翌日の昼、ルーテは孤児院の地下室にマルスとゾラを招集していた。

「……かくかくしかじかというわけで、二人には明丸を助ける手伝いをして欲しいのです!」

 そして簡単に事情を説明した後、お願いをする。

「え……? じゃあ、あの気取った明丸が今は女の子になってお花柄の服着てるの?」
「はい」
「……あははっ、なにそれめっちゃ見たい!」

 身も心も女の子になって慌てふためく明丸の姿を想像し、意地悪な笑みを浮かべるゾラ。

「ゾラ! そんな風に笑ったらいけませんよ!」
「ご、ごめん……っ!」

 ルーテに咎められ、ゾラは必死に笑いをこらえた。

「あと、今は明丸じゃなくて花丸ちゃんです!」
「ぶはっ!」

 しかし、追加の情報で堪えきれずに再び噴き出す。

「まったく……」
「そ、それは無しでしょ……! 花丸ちゃんって……っ!」
「僕が名付けました」
「……ルーテが一番馬鹿にしてるよね?」
「してません!」

 ゾラに言われたルーテは、きっぱりと否定した。

「そんな風に言われるなんて心外です!」
「――なあルーテ。事情は大体分かったけど……それ、俺達が行ってどうにかなるのか……?」

 マルスは、そんなゾラを横目にしながら問いかける。

「もちろんです! というか、先生から【魔力制御】を教わった二人が居ないとできません!」
「…………………………」
「…………………………」

 ルーテの言葉を聞いた瞬間、マルスとゾラは急に静かになった。

「……どうかしましたか?」
「いやー……そういえばそんなことも教わったような……? 気がするね!」
「お、俺は一応できるぞ! たぶん! まりょくせいぎょ? のことなら任せておけ!」
「………………二人ともちゃんと勉強しなかったことは分かりました」

 ――前途は多難である。

 *

 その日の夜、ルーテ達は全員が寝静まった頃にこっそりと寝室を抜け出した。

 そして孤児院の外で集合し、アレスノヴァを起動して鳴子ノ国にある遺跡へとワープする。

「ほら! 二人とも早くしなよ!」

 先頭を走っているのはゾラだ。真っ先に遺跡の外へ出て、竹藪を突っ切っていく。

「待てよゾラ……!」
「こうしてる間にもは苦しんでるんだよっ! かわいそうだと思わないのっ!?」
「お前は……女の子になった明丸を早く見たいだけだろっ!」
「うん」

 ゾラは即答した。

「マルスだって可愛い花丸ちゃん見たいでしょ?」
「べ、別に見たくねーし! ぜんっぜん見たくねーし! ぜったい可愛いとか思わねーし!」
(もしかすると……人選を間違えてしまったかもしれません!)

 密かにそう思い始めるルーテだったが、現時点で【魔力制御】を覚えているのは二人だけなので他にどうしようもない。

(どうにか二人に頑張ってもらうしかありませんね……!)

 それから、三人は竹藪を抜けて、老人と明丸が暮らす民家の庭へ飛び出した。

 家の縁側には、黒髪の美少女――明丸が裸足で座っている。

 彼女は、ぼんやりと青空を眺めて物思いにふけっていた。

「……………………っ!」

 その姿に、ゾラは心を撃ち抜かれる。
 
「か、かわいいな……!」
「あ、あれが……明丸なのか……?」
「花丸! 助っ人を連れて来ました!」

 ルーテの呼びかけによって、明丸はこちらに気付き裸足のまま駆け寄って来る。

「気分の方は大丈夫ですか? 乙女心に侵食されていませんか?」
「……ああ。この程度のことで私の信念は揺るがん」

 明丸はそう言いながら、女の子っぽい仕草で髪をかき上げた。

「思ったより深刻です! 急ぎましょう!」

 一連の動作を見逃さなかったルーテは、二人にそう指示をする。

「……そなた達はゾラとマルスか。久しいな」
「その話し方……やっぱりお前が明丸なのか……!」
「花丸ちゃん可愛いねぇ……ぐへへ……! 生意気なんだよぉッ! ボクに対する当てつけか?!」
「な、何なのだお前は……」

 予想を超えた美少女の姿を目撃したゾラは、暴走していた。

 ――ともかく、こうして四人は無事に合流することが出来たのである。

「……それで。俺たちはどうすれば良いんだ?」

 マルスは、暴れるゾラを押さえ込みながら聞いた。

「は、離してよマルス! ボクはコイツに分からせてやるんだっ! ここまで可愛いのはむしろ許せないっ!」
「いいからお前は落ち着け」
「はーっ、はーっ……!」

 ゾラが鎮静化したのを見計らって、ルーテは作戦の概要を話し始める。

「二人は、【魔力制御】を使って明丸の魔力を完全回復させてください!」
「…………え? それだけで良いのか?」
「はい! 問題ありません!」
「確かに、それくらいなら俺とゾラでもできると思うけど……」

 ルーテの考えていることはこうだ。

 まず前提として、【魔力制御】のスキルを習得すると、主に二つのことが出来るようになる。

 一つ目は、魔法の威力を調整し消費魔力を減らすこと。

 そして二つ目が、味方同士で魔力を受け渡すことだ。

 この力を使い、呪いによる魔力吸収の効果が発動する前に明丸の魔力を完全回復させ、性別を男に戻そうというのがルーテの作戦である。

「お、おいルーテ。本当に私が男に戻るだけで、この服まで脱げるようになるのか?」
「僕の仮説が正しければ……おそらく大丈夫なはずです!」

 このゲームには、男性専用の装備と女性専用の装備が一部存在している。

 本来の仕様であれば対象外の装備はそもそも身に付けられないが、ルーテの居るこの世界では「装備できない」という事象は起こらない。

 その為、身につけるだけなら誰でも自由に出来るのだ。

 しかしその代わりに、対象外の装備を身に付けると、装備品に付与された様々な効果は一切受けられなくなってしまう。

 今回はそれを逆手に取ろうとしているのである。

(明丸が着ている花柄の着物は、おそらく女性専用の装備です。ですから、明丸を一瞬でも男の子に戻せば、その時点で呪いの装備が装備不可と判定され、一切の影響を及ぼさなくなるはずなのです!)

 ちなみにこれらの事実は、ルーテが夜中にこっそり女性専用の装備であるシスターの服を持ち出し、装備品に関する検証を重ねたことで発見した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...