転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

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第44話 秘密結社あんこなんとか

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 魔物はルーテの脅しと暴力に屈し、周辺を覆っていた呪いを解除した。

 それから、体を簀巻きにされて地面へ転がされる。

「ふふ、ざっこ!」
「あァ?」

 その哀れな姿を見て、ゾラは思わず吹き出した。

「てめぇ……ぶっ殺すぞッ!」
「それが出来なかったから、こうなってるんだよね? やーい、ざーこざーこ!」
「ああああああああああああああああッ!」

 うるさい方の頭は、煽り合いにも敗北し憤慨する。

「まったく……野蛮な単細胞同士の会話は聞くに堪えませんね」

 一連のやり取りを聞いていた冷静な方の頭は、ため息混じりに呟いた。

「あ? それボクに言ってんの?」
「死にてぇのかてめぇ?」

 額に青筋を立てるゾラとうるさい方の頭。

(やはり、盗賊見習いとしてモンスター図鑑に登録されているゾラは、魔物と波長が合うのでしょうか?)

 ルーテは心の中で思った。

「……それでは、準備が済みましたので質問に答えてください」

 それから、冷静な方の頭のたてがみを掴んで持ち上げる。

「風よ象《かたど》れ、ラミナ」
「………………ッ!」

 皆が固唾を飲んで事の成り行きを見守る中、ルーテは魔法で作り出した風の刃を、魔物の首元へあてがった。

「クソッ! クソクソクソッ! 離しやがれえええええええええッ!」

 すると、何もされていないはずの、うるさい方の頭が騒いで暴れ始める。

「……こっちの頭は邪魔ですね。かわいそうですが、もう切り落としてしまいましょうか」
「ま、待ちなさい! 我々は一心同体! よって、片方を切り落とせばもう片方も死んでしまいます! 情報を聞き出したいのであればそのような蛮行は止めるのです!」

 慌ててうるさい方の頭を庇う、冷静な方の頭。

「……分かりました。では、今度騒いだ場合は何かしらの罰を与えるので大人しくしていてくださいね」
「うッぜえんだよクソガキがよおぉッ! 誰がてめぇの言うことなんか聞くかよ! バーカ!」
「…………………………」

 程なくして、うるさい方の頭はルーテにたてがみを剃られた。

「うぅ、ひっぐ……ずびばぜんでじだ……おどなじぐじまず……っ!」
「最初からそうしてください」

 ルーテは冷たく言い放った後、続ける。

「それでは質問です。――あなた達は、どういった種類の魔物なのですか?」
「…………我々は……魔物ではありません。人間と魔物を超越した……至高の存在です」
「なるほど……」

 意味不明な話だが、ルーテには思い当たることがあった。

(そんな主張をしていた集団が原作にも存在していましたね……確か名前は……)

「……それ以上のことは話せません。我々はまだ表に出るべきでは無い……と言いつけられていますからね」
「――アンタレス」

 ルーテの言葉に、魔物は大きく反応する。

「……ッ! どうして知ってやがるッ?」「……おやおや、隠していても無意味でしたか。……それでは、むしろこちらから名乗って差し上げましょう」

 そう言って不敵に笑う獅子の頭。

 ここに来て、ようやく彼らの正体が明かされる。

「――は秘密結社アンタレスの特務機関紅蝠血ヴェスペルティリオ第八位オクタヴム、“敬愛”のレオ・オクルスでございます」
「……序列八位《オクタヴム》。――これがどういう意味だか分かるよなぁ?」

 即ち、彼らと同等かそれ以上の力を持った存在が、最低でも七人は存在するということだ。

 その言葉を聞いたルーテ達は、深い絶望に……

「あ、あんこべーす……? なんだって?」

 陥るはずがなかった。全く苦戦していないので当然である。

「……分かんないから変な言葉を使うなよ! カッコいいと思ってるのか? そういうの!」

 そもそもゾラに至っては、魔物――レオ・オクルスの言っていることを、一単語も聞き取ることができなかった。

「あんこか……私は好きだぞ! こしあん派だ! ……しかし、それがどうかしたのか?」
「だから、コイツの正体は秘密結社あんこレタスだって言ってただろ? お前ら、人の話はちゃんと聞けよな!」

 明丸とマルスも、話の内容を一切理解していない。

「アンタレスだこの馬鹿者どもが。……チッ、我々はこんな奴らに負けたのか……!」「秘密結社アンタレス、特務機関紅蝠血ヴェスペルティリオだぞ! カッコいいだろクソがよおおおおぉッ! 気取ってんじゃねえぞガキいぃぃッ!」

 悔しそうに歯軋りするレオ・オクルス達。

「お、俺はカッコいいと思うぜ! あんこレタス秘密のべーすぼーるくらぶ!」
「だったら名前覚えろよクソがああああああぁぁッ!」
「えっと……何だっけ?」
「秘密結社アンタレス、紅蝠血ヴェスペルティリオ第八位オクタヴム、“敬愛”のレオ・オクルスだ! ここで覚えろッ!」

 彼らはもはや、正体を隠すどころか名前を覚え込ませようとしていた。

「いいえ、違います!」

 しかしその時、ルーテが言う。

「…………あ?」
「確か、秘密結社アンタレスの第八オクタヴス紅蝠血ヴェスペルティリオは“親愛”のピリエラウアだったはずです!」
「は?」
「――よって、あなた達は偽物ですね!」
「……は、はい?」

 自分達の存在を自信満々に否定され、困惑するレオ・オクルス。

「……ねえマルス。あいつとルーテはさっきから何言ってるの?」
「…………さあ?」
「ルーテの言うことはいつも分からんが、今回はいつにも増して分からんな」

 その会話を聞いていた三人は完全に置いてけぼりにされ、揃って首を傾げるのだった。
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