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第83話 決着
しおりを挟む「くらえ!」
「ぐおおおおおおおお!」
「や、やめるのです!」
ルーテの放った爆炎が直撃し、苦しむベヒーモスとリヴァイアサン。
「相手が怯んでいます! 皆さんも一斉に攻撃を――」
ルーテが言い終わる前に、パーティメンバー達は飛び出し、体を変化させて攻撃を仕掛ける。
「獣ごときがアタシに逆らうんじゃねええええええッ!」
猟豹《チーター》の姿でベヒーモスに飛びつき、背中の肉を噛みちぎるトワイライト。
「こ、小癪なああァァッ!」
「……うめぇ!」
どうやら、爆炎で焼けたベヒーモスの肉は美味しかったらしい。
トワイライトのHPが回復した。
「ふふふ、ふふふふッ! もうどうにでもなぁれ……!」
一方、自棄になったジェリーは、クラゲの姿でリヴァイアサンに纏わり付き、神経毒を流し込む。
「ぐぅっ……そ、その程度の毒で私を倒せるとでも……?」
刹那、兎の姿になったホワイトが縦横無尽に飛び回り、大鎌で手当たり次第に二体の身体を切り裂いた。
「ぐああああああああああああッ!」
「ぎゃああああああああああああ?!」
「もっと、もっといっぱいお化粧しようねえええええッ! まずは胴体を捨てて軽くなろう!」
そう言って、ベヒーモスの首へ鎌を突き立てるホワイト。
「漆黒のリンチ」
「兎さんって、怖い生き物だったんですね……! 知りませんでした……!」
ルーテは今後一生、兎は首を刈る生物だと勘違いしたまま過ごす事になるだろう。
「お、おのれぇ……よくも……よくもやってくれたなあああッ!」
「下等生物の分際でええええええッ!」
追い詰められ、激しく暴れるベヒーモスとリヴァイアサン。
「漆黒の連射」
スクイードは、二体の両目を墨で撃ち抜き、盲目状態にする。
しかし、これだけ追い詰めても尚、ルーテが攻撃の手を緩めることは無い。
「いい感じです! 皆さん一度離れてください!」
ルーテは皆が二体の側を離れたタイミングを見計らって、再び爆炎を放つ。
「があああああああああああッ!」
「うぎいいいいいいいいいいッ!」
ベヒーモスとリヴァイアサンの巨体は、それによって吹き飛ばされ、広間の天井に叩きつけられた。
それから、二体は互いに折り重なるようにして地面へ倒れ伏す。
「――まだまだです!」
「ま、待て!……こ、降参だ! もうやめてくれ!」
「わ、我々の負けです……!」
追い込まれたベヒーモスとリヴァイアサンは、一度敗北を認めたふりをし、傷が完治するのを待つ作戦にでる。
「あれ……? 今からサメちゃんとワニちゃんを呼んでもう一度一斉に攻撃するつもりだったのですが……意外とあっさり終わってしまいました」
「も、もう終わり? もう戦わなくていいのっ?」
「はい、ジェリーさん。どうやらそうみたいです。……討伐完了ですね!」
ルーテはそう言うと、懐から『友情の首輪』を取り出して、倒れている二体へ近づいていく。
「そ、それは一体……?」
「貴様……何をするつもりだ……!」
「あなた達を捕獲します!」
ベヒーモスとリヴァイアサンは人間として判定されていないので、一切慈悲はない。
彼らの作戦は失敗に終わったのだ。
「ちゃんと住む場所は用意してあるので、これからはそこで暮らしてください!」
ルーテは二体にそう説明しながら、首輪を装着していく。
「か、体が……動かないだとォ……ッ?!」
「い、今すぐこれを外しなさいッ!」
「ごめんなさい。それはできません!」
――ベヒーモスとリヴァイアサンは、戦闘終了後に経験値を入手できないタイプのボスだ。
そのため、ルーテは彼らに別の役目を用意している。抜かりはない。
「とりあえず、生命の雫を入手してくるので、しばらくの間ここで待っていてください」
二体を連れて帰る準備が整ったルーテは、目的の『生命の雫』を手に入れる為、広間のさらに奥へ進んでいく。
するとその先には、屍や血で汚されていない綺麗な泉があった。
これこそが、ベヒーモスとリヴァイアサンが独占し続けて来た生命の泉である。
かつて研究所であったこの遺跡から流出したキマイラの培養液が、最下層であるこの一箇所に溜まり、濃縮されているのだ。
ルーテはそれを両手ですくって飲もうとしたが、思いとどまる。
「……せっかくですし、みんなで一緒に飲むべきですよね! 入口まで戻ったら、サメちゃんとワニちゃんを呼んでもう一度おやつタイムにしましょう!」
かくして、ルーテは目標を達成し、ひとまずダンジョン攻略を終えた。
「それからは、念願のレベルアップタイムです! 聖なる森の魔物を沢山倒して……日が暮れたら解散ですね!」
しかし、ピクニックはこれで終わりではない。まだ始まったばかりだ。
「僕達の戦いはこれからです!」
――ちなみに、広間に積み上がっていた生ける屍達はこの後、順次正気を取り戻していき、永遠の苦痛から救ってくれたルーテ達を神として崇めるようになる。
そうして最強の不死ゾンビ軍団が生まれるのだが、そうなるのはずっと先の話だ。
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