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番外編(その後のお話)
②取引は計画的に(デリック&アリス&スフレ)
しおりを挟む「ねぇ、ちょっと君達……!」
聞き覚えのある声に呼び止められて、アリスとスフレは顔を顰めながら振り返る。
「……うわぁ」
「悪魔よ……!」
スフレの初恋を木っ端微塵に踏み潰した張本人。
ユーリンとの恋路を邪魔していた天敵。
この国の第二王子であるデリックが人当たりの良さそうな笑みを浮かべて近づいてくる。
天敵であるデリックが果たして何をしに来たのか……アリスは眉間に皺を寄せながら、スフレはガンを飛ばしながら警戒していた。
「何をしに来たんですの?」
「まさか、またアリス様の邪魔を……?」
「そんな酷いことをする訳ないじゃないか」
「「…………はあ?」」
今、アリスはというと順調にユーリンとの関係を進めていた。
リオノーラがスフレが更生したきっかけを作ったアリスのために動いたことで、デリックは手出しが出来なくなった。
ユーリンも最近はアリスにしっかりと向き合って、自分の気持ちを少しずつ少しずつ伝えている。
まだ時間は掛かるだろうが、ユーリンとアリスが婚約できる日も遠くはないだろう。
そしてスフレはアリスとリオノーラの力を借りながら、淑女としてのマナーと常識を身につけた。
王城にリーベとして別人のようなスフレが舞い戻って来た時にはデリックはびっくりだったが、それがアリスと共に自分を見返す(ぶっ潰す)為だというから、二重の驚きだった。
「よく私達の前に顔を出せるわね!」
「本当だわ、図太すぎて笑っちゃうわ!潰されたいのかしら……」
「ははっ……まぁね」
それでもデリックには解決しなければならない問題があった。
そのための最善策は二人の力を借りること。
そうでなければ自ら燃え盛る業火の中に自ら進んで飛び込んだりしないだろう。
「今日は、君達にお願いがあって来たんだ」
「「…………」」
アリスとスフレはその言葉に顔を思いきり歪めた。
不満だと言わんばかりのオーラがこれでもかと滲み出ている。
「俺の婚約者、ジュリエット嬢のことなんだけど、学園ではスフレ嬢と同じクラスだろ?」
「はい、まぁ……そうですね」
「……様子は、どうかな?」
スフレとジュリエットは王立学園の一年生でデリックやリオノーラは最高学年である。
ジュリエットと同じクラスではあるが、仲は良くもなければ悪くもない。
スフレから見たジュリエットはパッとしないし、印象にもないそうだ。
そんなジュリエットは、いつも誰とも連む事なく自分の席で本を読んでいた。
「いつも一人で本を読んでますけど……」
「……そうか」
デリックは心配そうに声のトーンを落とした。
「俺と婚約しているせいで……不自由していると聞いてね」
「「…………」」
しおらしいデリックは、どうやらジュリエットの事を心配をしているようだった。
そういえば、と思い出したように口を開いた。
「一部の御令嬢から嫌がらせを受けていると聞いたことがあるわ」
「本当か!?」
デリックは珍しく声を荒らげた。
外面だけは良いデリックは、王太子でなくなったとしても、婚約者が居たとしても令嬢達からの人気は高い。
表立ってジュリエットが何かをされているのを見たことはないが、不穏な噂をいくつか耳にしたことがあった。
思い悩む自分を見て、アリスが悪い笑みを浮かべた。
「あぁ……ジュリエット様ったら、お可哀想に。こんな悪魔みたいな腹黒王子の婚約者になってしまったせいで苦労なさって」
そこにスフレも迷うことなく参戦する。
「本当よね……こんな裏表の激しい王子の婚約者だなんて、私だったら絶対にごめんだわ」
「…………」
「乙女の恋路を平気で邪魔するような奴だもの。リオノーラ様に振られて当然よね」
「そうね、お姉様に振られるのもわかる気がするわ。フェリクス兄様は、こんな私にも変わらず優しく接してくれるもの!この間は"沢山頑張ったんだね"って、笑顔で褒めて下さったわ」
ナイフのような言葉が次々に突き刺さる。全て的を射ているから反論もしづらい。
「君達の怒りはわからなくはないから、俺に対しての暴言は別にいいんだけど……」
「「当たり前よ!」」
まるで双子並みに息のあったアリスとスフレに笑うしかなかった。
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