推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

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番外編(その後のお話)

①面倒な事になりました(リオノーラ&メーア&メメ)

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「───もう、メーアなんて大っ嫌い!」

『ッ、リオノーラ……待って!』


走り去っていく背中を見ながら、メーアはポカンと口を開けた。


『あーあ、メーア様』

『メメ……』

『あんなにメーア様が大好きなリオノーラに、何を言ったら嫌われるんですか?』

『嫌われっ……!?』


あんなに晴れていた空に暗雲が垂れ込める。
暫くすると、急な大雨が降り出して外は大騒ぎである。


『だって姫、"大嫌い"って言ってましたよ?』

『なんでリオノーラが怒ったのか、僕にも分からないんだ』

『メーア様でも分からないことってあるんですね』

『うん……初めて』


とても……いや、かなりしょんぼりしているメーアを見てメメは溜息を吐いた。
そして、このままリオノーラとメーアを放っておくわけにもいかないだろう。


『理由……聞いてきましょうか?』

『………………。うん』


これはまた重症である。
そして窓の外でザーザーと降る雨を見て、メメは人型の姿になると、去っていったリオノーラの後を追いかけた。



* * *



『姫……!姫っ、待ってください……!』

「メメちゃん……!」


こちらの世界では未だにメメは子供の姿のままだ。
メメはリオノーラの顔を見上げながら様子を窺っていた。
瞳に涙を溜めたリオノーラに抱きしめられてギョッとしてしまう。
そのまま部屋に引き摺られるようにして中に入る。


『姫、一体どうしたんですか?』

「……っ」

『メーア様、心配してますし……』


思いきり抱きつきながら鼻を啜るリオノーラを見て、メメは首を傾げた。

(本当にメーア様、何したんだろう……)

疑問に思いつつ、リオノーラが落ち着くのをひたすら待っていた。
外では轟々と風と雨が吹き荒れている。
もはや暴風雨……いや台風だろうか。
あ、これメーア様、相当キテんな……と思いながら窓を見ていた。


「…………メメちゃん、聞いて」

『何があったんですか……?』

「メーアが、メーアがね…………っ!」

『はい』


だんだんと服が引きちぎれそうな程、リオノーラの力が強くなっていくことに気づく。
そしてリオノーラが顔を上げた瞬間、血走っている目が見えた。



「───自分よりもかっこよくて綺麗な精霊なんてたくさんいるし、リオノーラだって目移りしちゃうんじゃないって、わたくしにそう言ったのよッ!!??」



メメは凄まじい勢いに体をのけぞらせていた。
しかしリオノーラの気は収まらない。


「ずっっっっっとずっっっっとメーアの顔が死ぬほど好きだって言ってんのに他の精霊の方がカッコいいですって!?信じられないわっ!!わたくしの推しはメーアただ一人だし浮気も摘み食いもした事ないのにっ!!!!はぁ?目移り?意味分かんない!!わたくしはメーアしか推していないのにッ!!!!」

『…………』

「メーアしか勝たんんんッ!!!」



つまり『リオノーラも僕以外にも推せる人いるんじゃない?』と軽い気持ちで言ったメーアに対して、リオノーラは「わたくしはメーアしか推していないのに!」と怒っているのだろうか。

(あ、これ……凄くめんどくさいやつ)

スン、としているメメに気づかずにリオノーラはひたすらベッドを叩いて自分の気持ちをぶつけている。
そしてリオノーラの乱れに乱れた髪を直しながら、ピカピカに晴れている窓の外を見つめていた。
もっと深刻かと思っていたメメは深い深い溜息を吐いた。
リオノーラは変な方向に愛が重くて面倒である。


『……ほらメーア様、こっそり聞いてたんでしょう?早く出てきて下さいよ』

「!?!?」

『リオノーラ……』


ひょっこりドアの隙間から顔を出すメーアをリオノーラは鋭く睨み付ける。


『ご、ごめんね。リオノーラがそんなに僕のこと、考えてくれるなんて思わなくて……』

「ッ!!!?」

『…………許して?』


メーアが子犬のようにこちらを見つめながら、コテンと首を傾げる。
先程まで般若のような顔をしていたリオノーラは、メーアの顔を見て口元を押さえながらワナワナと震えている。


『あの……リオノーラ?』

「そ、それ以上近づかないでっ!」

『!?』


リオノーラに拒否されたメーアの瞳が潤む。


「……は、鼻血でるからっ!その顔、あざといッ!!あざといメーアがっわ゛い゛い゛」

『『え……?』』

「はあぁぁ……メーア可愛いぃい!」


((…………ブレない))

リオノーラのメーアへの態度はずっと変わらないままである。


「ねぇメーア……猫耳つけてきてくれない?」

『猫の耳……?別にいいけど、なんで?』

「心の栄養よッ!!!」

『分かった。今日のお詫びにつけるよ』

「ハァァ……楽しみ!!」

『……僕に猫耳って需要あるの?』

「あるわッ!!!!」

『なるほど、そっか!』

『………………』


メメは伸びかけた服を手で整えながら、二人を冷ややかな目で見ていた。

(俺……何でこの二人に仕えてるんだろう)






end

出会った頃の可愛い男の子の姿で猫耳を装着したメーアを見たリオノーラは鼻血を出して倒れましたとさ……
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