推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)

命の炎3

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第三王子のユーリンと公爵令嬢のリオノーラが現れ、診療所は一時騒然となった。

ユーリンは普段は影のように目立たないが、自分の得意分野になると堂々としていて積極的だ。
顔立ちはデリックと同じで美形な為、一見すると誰か分からないほどにいつもとテンションが上がる。

廊下を歩いていると、少しやつれた料理長が心底驚いた顔で固まっていた。


「……料理長!」

「お嬢様ッ!?まさか……どうしてこんな所に!?」


チャイ医師が料理長と奥さんに事情を説明すると、料理長は複雑な表情を浮かべていた。
連れてきたチャイ医師は大変優秀な医師で、ユーリンは王子でありながらも多大な功績を残す研究者だ。
だが、料理長は悲しげに目を伏せている。


「……お嬢様、ありがとうございます」

「ワルフに聞いて、お見舞いに来たのだけれど……」

「お気持ちが嬉しいですが……でも、もう医者はいつ命を落としてもおかしくないと」

「そんな……!」


料理長と共に重い足取りで病室に入る。
栗毛の少女がベッドに横たわっていた。
漂う空気に違和感を覚えながらも、苦しそうに呼吸をするモニカの元へ駆け寄った。


「ユーリン……これって」

「うん……チャイ、少し診てみてくれ」

「かしこまりました」


チャイ医師が診察する間、モニカの周囲を確認する。
ユーリンの手の中にいるマリクソンは鼻を利かせて、メメも辺りを見回っている。


「こんなに衰弱しているのに……何故、呼吸が出来ているのか不思議なくらいです」

「……料理長、モニカの担当のお医者様はなんて?」

「皆、チャイ医師と同じ事を言うんです」


ユーリンと目を合わせて頷いた。
どうやら思っている事は同じようだ。


「……マリクソン、見つけたか?」


マリクソンは小さく首を振る。


「メメちゃんは……?何かわかる?」


するとメメはモニカの胸元の周りを小さく泳いで見せた。


「ユーリン殿下、リオノーラ様、何かお分かりですか……?」

「えぇ……モニカはリーベかもしれないわ」

「何だって!?」

「力が弱まっているから姿が見えない……メメは胸元を指しているね」

モニカの精霊が胸元に居る事は分かるのだが、姿を認識する事が出来なかった。
もし精霊がモニカと繋がっているのなら、精霊にコンタクトを取りたい。
小型と中型精霊は、こちらの世界では話が出来ないが精霊同士ならば会話が出来るのではないだろうか。
以前、メメとスグルイドが会話していたように。
逸る気持ちを抑えながらユーリンに問いかけた。


「ユーリン、どうする……?」

「モニカの精霊と話すのが一番いいと思う。僕はマリクソンとは、夢渡りでしか話せないから」

「わかったわ、メメちゃんはモニカの精霊と話せない……?」


メメはクルリと回った後に、皆の頭の上を泳いでいく。
それからドアの前で止まった。
どうやら人型の姿を見られたく無いという意思表示のようだ。
メメを見てコクリと頷いた。


「モニカの精霊と話をしてみます。申し訳ありませんが一時退出を願えますか?」


その言葉を聞いて、チャイ医師と料理長、料理長の奥さんが心配そうに部屋を出る。


「……ゴホッ、ゴホッ!」


モニカが激しく咳き込んだ。
ヒューヒューと鳴る喉に、焦りを感じていた。


「メメちゃん、お願い……!」


メメはその言葉で人型になると、モニカの胸元に耳を当てる。


『……姫、火の精霊がこの子を懸命に生かそうと頑張ってる』

「わたくし達に何か出来ることはない?」

『……』

「メメちゃん…?」

『それで、本当に良いのか?』


どうやらメメは火の精霊と会話をしているようだった。
祈るように手を合わせながら会話が終わるのを待っていた。
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