黄昏の国家

旅里 茂

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厳戒態勢の風

黄昏の国家10

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「私たちが操作するわ。三日後、午前八時過ぎ、八人の力で防いで見せる」
高沢はその言葉を信じる訳にはいかなかった。「サキナ、先程君は、炎に包まれると言った。しかし、今の言葉と矛盾がある。それは、どう解釈すればいいんだ?」
サキナは天井を見つめてから、おもむろに高沢を凝視し発した。
「ニュートリノ・レーザーは効果を発揮するわ。核二発を同時に迎撃出来る」
直感というか予知なのか。高沢はこのサキナを始めとする八人が、実は思った以上に想像を超えた特異点かも知れないと考えた。
「わかった。詳細をデータ化してくれ。それから…。」一呼吸入れて高沢は、多田の方を見ながら、「彼女に何をしたんだ?」
「心配いらない。眠っているだけ。あと一時間もしたら目覚めるわ」
保安部のメンバーが彼女を担架に乗せて、メディカル室に運んでいく。
それを見届けてから、防衛ビッグ・マーカーの監視室に連絡を入れる。
応答は直ぐに入った。「現在、北朝鮮にて、その手の動きはありません。但し、政府の衛星を使っているので、詳細サーチを以てしても確認は出来ません」
オーイックスはまだ、衛星を上げる状況に来ていない。衛星においては日本政府のものを拝借するしか手段がない。
ここで日本政府に状況を打診するべきか、いや、万が一のことがあればビッグ・ワンの被害だけでは済まない。
高沢は防衛ビッグ・マーカーよりレーザー回線にて、総理へ連絡を取った。
中越総理への緊急通知回線。「高沢君、何かあるのか?」
「はい、総理。実は北朝鮮より核弾頭の発射が予見されます。破壊措置命令を!」
中越は驚きを隠さなかった。「まてまて!高沢君。北朝鮮には既に中国が干渉している。それは無理なのでは?そもそも何処からのソースかね?」
ギークの事は口外出来ぬ。
「ソースはオーイックスの防衛施設からの返答です。三日後、時間は午前八時過ぎです。我々が把握しているのは添ういう状況です」
緊急性があることを中越は悟ったのか、「よし、信じよう。国防大臣に破壊処置命令を通達しよう」
「有難う御座います、総理。オーイックスも自衛軍のサポート体制に入ります」
「うむ、宜しく頼む」
これで何もなければ、オーイックスの評価はかなり厳しいものになる。
だが、本当なら、どれぐらいの破壊力を持つ核か分からないが、下手をすれば近畿を中心に、致命的な被害を被る。
高沢は軍需コントール室から防衛ビッグ・マーカーに移動する。
サキナたちには、軍需コントルール室にて、ニュートリノ・レーザーを動かす為に指示をする。
「分かっているわ、ここは私たちで十分よ」今は、このギークたちを信用し、尚且つ監視する必要がある。
スタッフ十五人が、有事の際に訓練した通りの配置に就く。
その間、中越総理が内田海斗外務大臣と佐名木達也国防大臣にそれぞれに指示を飛ばした。
「内田外務大臣には北朝鮮と中国の窓口役を頼む。佐名木国防大臣には各自衛軍に指揮を!」
北朝鮮には専用の回線がない。しかし、暴君続きで合ったキム一族の統制が崩れて久しい。その間に、民主化を謳う北朝鮮民主同盟なる組織が、キム一族を滅ぼした。これで、北朝鮮にも春を告げる鳥が鳴いたと喜んでいた。
勿論、そのバックで支えたのはアメリカである。
しかし、喜びも束の間、中国共産党による人民解放軍がなだれ込み、アメリカ軍と対峙することになった。
結局、アメリカが引かなければ、日本と韓国に核を打ち込むと凄まれた。
だが、それで当時のアメリカは軍を撤収させてしまった。
この裏には、日本と韓国の強い要望がアメリカに届いたという噂である。
それでも現状は変わらなかった。現にそれから二十四年後の現在に再び、核の脅威が迫っている。
しかし、北朝鮮は完全に黙殺、中国においても、その事実はないと一蹴された。
日本政府においても、オーイックスの総裁である、高沢からの一報である。
反発は強かった。
いくら何でも、何の前触れもなく核ミサイルを撃ち込んでくるとは思えないと…。
世代が変われば考え方も、また変わる。
既に過去、日本海、挙句の果ては日本列島を飛び越して、太平洋までミサイルが着弾したことも忘れ去っていた。
佐々木国防大臣は、日本海で展開中のイージス艦、巡洋艦に攻撃型原水潜水艦をそれぞれ弾道ミサイルの防衛命令を出した。
陸上自衛軍には、51式特務レーザー砲車両を配備させた。これは出力350Kwの射程距離が450Kmという代物である。只、弾道ミサイルが何処から来るのか全く指示がないので、解析コンピューターでのシュミレーション配置で構えるしかなかった。
航空自衛軍には、早期警戒機を二機飛ばし、対応させる。
三日後というキーワードを元に、軍関係が神経を尖らせた。
もし核ミサイルが飛来するとなれば、Jアラートを発信する。
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