黄昏の国家

旅里 茂

文字の大きさ
39 / 48
日本政府の陰謀

黄昏の国家39

しおりを挟む
今回は可成りのダメージを受けたことになる。
また、オーイックスが関与したと、猛抗議を受けるだろう。
しかしながら、ネットワークの修正とアップデートは完了済みである。
緊急会議に呼び出されるのは明白だ。
其処で、しらを最後まで押し通すか、それともオーイックスを巻き込んで、その資産を摂取する事を既に掴んでいる事を表ざたにするか。
これを公表すれば、日本政府はどう判断するだろうか。
どちらにしても、会議が開かれれば大荒れは間違いない。
兎に角、今回の件でどちらも死者が出ている。
この件においても責任追及が、双方でおおいに揉めるであろう。
遺族の対応もしなくてはならない。
IRの状況が、日本政府の軍事部門をオーイックスから吸収するのは、既に録画済みだ。
これを出すのに躊躇はしない。日本政府もこれがおおやけになれば、国民からの批判は免れない。
繰り返しになるが、沢崎の言葉が極めて大きいのは判ったことである。
半壊した首相官邸は、事もなく再建された。
一部の団体からは、官邸の事案を明確にしろと、シュプレヒコールを上げている。
しかし、殆どそれらを無視し、強行した政府に関してどのメディアも批判的だ。
だが一か月も経つと何もなかったかのように沈痛した。
一種のマインドコントロールが働いたと唱えるコメンテータが言っていたが、それもつゆとして消えて行った。
画して、日本政府によるオーイックスを叩くであろう緊急特別会議は開かれず、有耶無耶の影に収まっていった。
それでもシコリは残る。今後の体制を双方が整え、まずないであろう衝突だけは、収めたい処である。
例の事案から三日が過ぎた。
沢崎から高沢に電子メモに連絡が入る。さて、来たな、と内心思った。
「高沢さん、この間は大変でしたね、いえ、私どももそうでしたが…」
高沢はその白々しさに辟易へきえきしたが、官邸の状況を今一度確認する意味で聞いてみた。
「沢崎さん、官邸での軍事ヘリ、あれは如何な事でした?」
「そう、あれは首相を守る訓練でした。処がどうでしょう?二機とも不具合を起こして官邸に激突。貴重な隊員を四人失いました。痛烈ですよ」
「そちらは、どうでした?」
あくまでも惚とぼけるつもりなのか、話を曖昧にしたいのか、沢崎の人を喰ったような発言に苛立ちを感じた。
「私は緊急速報でその事件を確認致しました。我がオーイックスとしましては、もしお役に立てることがありましたら、苦労は厭いとわないですよ」
これも最大の皮肉だが、果たしてどうでるか。
「ははは、流石高沢さんだ、肝が据わっておられる。私たちはオーイックスに対して何の義解義解ぎげもありませんよ。お互いに外部の人たちから批判を受けたことは、痛切ですね」
これは、これで幕引きをしようとしているのか。
「処でIRの運用は如何ですか?沢崎さん」
一瞬間が空いたが「それはもう順調です。日本も米国同様、イリーガルとは違って本会ですから…」
「そうですか、それは何よりです」裏で鍔迫鍔迫つばぜり合いが続く。
沢崎はワザとらしく、「おっと、私たちのミーティングの時間です。それではご機嫌用」電子メモが切れた。
どこまでも食えぬ奴と思うも、これで終われば痛み分けであるが、果たして…。
機密隊の隊員一人の犠牲に置いては、オーイックス内で式を挙げた。
表ざって開示する事は出来ないので、遺族もそうだが他の部署においても箝口令かんこうれいを敷いた。
ギークたちもかなり精神を消耗している。
三日の休息を与えて今回の事案を其々処理してもらう事にした。
高沢は緊急会議を開き、オーイックスと日本政府とも距離感と、資産運用の開示をしない旨を伝えた。
これでは、堂々巡りではないかという意見も散見した。
しかしながら、オーイックスはそもそも日本政府から離脱した完全な独立組織だ。
本来なら互いにサポートしながら運営していくのが、正式な形だ。
それが、今は崩れかけている。
トップ同士の会談という意見も出たが、総理本人が出てくるのか、それは余りに重質な問題なので多分無理だろう。
では、川崎内閣副総理ではどうだろうか。川崎は気性が荒い。話になるか。
色んな思いが巡るが、オーイックスの存続は絶対に譲れない。
頃合いを見計らって電子メモで連絡を取る。
「おお!高沢くん、久しぶりだね」妙に機嫌がいい。何か裏があるのか、と感潜る。
「ご無沙汰しております、内閣副総理殿」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...