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しおりを挟む「ただいまー………」
既に暗い家の中。
(春馬は……もう寝たのかな……)
静かに部屋の扉を開けてみると、春馬はまだパソコン作業をしている。
(その資料……期限近いんだっけ……手伝いたいけど部署が違うから何もできない……)
こんな状態じゃ春馬に話しかけれない。
(仕方ないから風呂にでも入って、あとで春馬に今日のこと話そ……)
静かに扉を閉めた後に浴室へ向かうと、タオルの上に春馬のスマホがある。
「えっ……?」
どうしてここにあるのか疑問に思う。
だって、普通スマホって自分の部屋とか目の届くところに置くよな?
(置き忘れかな……)
とりあえず、春馬がわかりやすいところに置いておくか……
………
……………
(…………)
少し、スマホの中身が気になる。
(春馬は社内の女に人気だから変な虫が湧いてそうで嫌だ……)
それで……毎日DMを送り合ってる仲だったらどうしよう………
俺だって、結衣と話したりしてるけど……俺は春馬が世界で1番大好きだから問題はない。
春馬は?
春馬は……俺のこと好きっていう保証はないし、浮気しててもおかしないよな?
「っ……はるまっ……ううっ……」
そんなことを考えてしまう俺が醜くて、何故か涙が溢れてしまう。
(春馬は何もしてないのに……俺が嫉妬してどうするんだよ……)
もう0時をまわっている。
早くて寝たほうがいいって分かってるのに、俺は春馬のことが信用できなくて、春馬のスマホの中身を見ようか躊躇している。
(恋人だし……確認ってするものだよな?でもでも、勝手にみるのはさすがに春馬に嫌われるよな……)
春馬に嫌われるくらいならスマホの中身を見ない。
……だけど、春馬は俺のことを好きじゃない可能性だってある。
もう、すでに嫌われているならスマホの中身を見たって問題はないよな?
(…………)
ロック画面は俺と春馬の幼少期の写真。
これは小学生の時、一緒にスキーをした写真だ。
(懐かしい……まだ、俺との写真を残してくれてるんだ……)
それだけでも想いでいっぱいになる。
だけど……まだ俺の心配は消えない。
まだ、俺の気持ちは安心で溢れない。
(春馬のパスワード……)
こんなのは簡単だ。
いつも春馬のパスワードは春馬が操作する手ごと暗記している。
ほら、簡単に開いた。
(それに……パスワードも俺の誕生日だし……)
ほんとうに……俺のこと好きなのかな……?
なんか、変に頬の筋肉が緩む………
(というか……本当に好きなら、恋人を不安にさせるほうが悪くね?)
そうだ。
休日にパソコンばっかり見て、俺に構わない春馬が悪い。
だから、俺のこの行為は間違っていない。
なので……
(DMを開いてみよう………)
『私も大好きです♡』
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