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17 それぞれの心のうち
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「お手伝いありがとう」
「助かったよー。また来てね」
十三時、最後まで残っていた子どもが帰ると、玩具の片付けをしながら優子先生と昌江先生が言った。
「はい、また来ます」
玩具の片付けを手伝いながら一太が言う。
子どもたちの抱っこを堪能して、ずっとにこにこと笑顔だった一太は、笑い疲れた頬をむにむにと触りながら頭を下げた。
「楽しかったです」
そんな一太に、ずっと笑顔だった優子先生が少し表情を引き締める。
「一太先生、ちゃんと水分を取ってご飯を食べるのよ」
「そうよー。この仕事、体力勝負なんだからね」
「はい」
昌江先生にも笑顔のまま念を押されて、一太は神妙に頷いた。
二人は、飲み物を持たずに来た一太と松島に、託児の人数が減って昼寝の子が増えたタイミングで、自販機で飲み物を買っておいでと言ってくれたのだ。自販機で買うなんて贅沢がどうしてもできなくて、大丈夫ですと固辞した一太を、心配してくれているのだろう。
結局、松島が買ったお茶を分けあって事なきを得たが、ぽつぽつと一太と話していた昌江先生は何か察するものがあったらしい。
巧みな話術に乗ってしまい、一太が朝食を食べていないことを白状すると、昨夜食べたもの、その前の昼ごはんまで根掘り葉掘り聞いてきた。じっと一太を見る昌江先生の目は、預かった子どもたちに向けられるものと同じで、嘘など吐けない一太が食事を蔑ろにしていることはすぐにバレてしまった。
とりあえず、空のペットボトルか、百円均一ショップで水を入れられる水筒を手に入れよう。流石に、水分を取らないといけない季節だというのは一太にも分かる。
「晃先生もお疲れ様」
「はい」
ブロックを丁寧に重ねて片付けていた松島に、優子先生が声をかける。
「あの、僕、全然お役に立てなくてすみませんでした」
元気なく頭を下げる松島は、僕は何もできていない、と飲み物休憩の時から落ち込んでいた。
「何言ってるの。助かったわよー。けいとくん、お昼寝から起きた後は晃先生ばかり見てたよ。きっと自分の担当の先生だって、覚えたんだわ」
「でもけいとくん、誰が抱っこしても泣くわけじゃないから。きっと先生方が抱っこしてたら、もっと居心地が良かったと思います。それに、とものりくんとかしゅんくんとか近寄っただけで泣かれてしまって……」
「あはは。あの子達は、ママ以外は誰が近寄っても泣くのよ。パパも駄目な時期かもよ? けいとくんは晃先生が大好きだったのは間違いないから、自信持って」
「はい……」
明るい優子先生の声にも、松島はしゅんとしたままだ。
「それじゃ、お疲れ様」
松島のブロックの片付けが終わるのを待って、昌江先生が部屋の電気を消す。
「あー、お腹空いた。二人とも、ちゃんとお昼ご飯食べるのよ。晃先生、一太先生と一緒に食べてあげてね」
え? と振り返る一太の肩を昌江先生はぽんぽんと叩く。ふ、と真顔になって、今度は両手で一太の両肩を掴んだ。目を見開く一太の顔をまじまじと見てから、また先ほどまでの笑顔に戻る。
「絶対に食べて帰りなさい。何なら、夜ご飯も二人で食べてからお家に帰して」
「助かったよー。また来てね」
十三時、最後まで残っていた子どもが帰ると、玩具の片付けをしながら優子先生と昌江先生が言った。
「はい、また来ます」
玩具の片付けを手伝いながら一太が言う。
子どもたちの抱っこを堪能して、ずっとにこにこと笑顔だった一太は、笑い疲れた頬をむにむにと触りながら頭を下げた。
「楽しかったです」
そんな一太に、ずっと笑顔だった優子先生が少し表情を引き締める。
「一太先生、ちゃんと水分を取ってご飯を食べるのよ」
「そうよー。この仕事、体力勝負なんだからね」
「はい」
昌江先生にも笑顔のまま念を押されて、一太は神妙に頷いた。
二人は、飲み物を持たずに来た一太と松島に、託児の人数が減って昼寝の子が増えたタイミングで、自販機で飲み物を買っておいでと言ってくれたのだ。自販機で買うなんて贅沢がどうしてもできなくて、大丈夫ですと固辞した一太を、心配してくれているのだろう。
結局、松島が買ったお茶を分けあって事なきを得たが、ぽつぽつと一太と話していた昌江先生は何か察するものがあったらしい。
巧みな話術に乗ってしまい、一太が朝食を食べていないことを白状すると、昨夜食べたもの、その前の昼ごはんまで根掘り葉掘り聞いてきた。じっと一太を見る昌江先生の目は、預かった子どもたちに向けられるものと同じで、嘘など吐けない一太が食事を蔑ろにしていることはすぐにバレてしまった。
とりあえず、空のペットボトルか、百円均一ショップで水を入れられる水筒を手に入れよう。流石に、水分を取らないといけない季節だというのは一太にも分かる。
「晃先生もお疲れ様」
「はい」
ブロックを丁寧に重ねて片付けていた松島に、優子先生が声をかける。
「あの、僕、全然お役に立てなくてすみませんでした」
元気なく頭を下げる松島は、僕は何もできていない、と飲み物休憩の時から落ち込んでいた。
「何言ってるの。助かったわよー。けいとくん、お昼寝から起きた後は晃先生ばかり見てたよ。きっと自分の担当の先生だって、覚えたんだわ」
「でもけいとくん、誰が抱っこしても泣くわけじゃないから。きっと先生方が抱っこしてたら、もっと居心地が良かったと思います。それに、とものりくんとかしゅんくんとか近寄っただけで泣かれてしまって……」
「あはは。あの子達は、ママ以外は誰が近寄っても泣くのよ。パパも駄目な時期かもよ? けいとくんは晃先生が大好きだったのは間違いないから、自信持って」
「はい……」
明るい優子先生の声にも、松島はしゅんとしたままだ。
「それじゃ、お疲れ様」
松島のブロックの片付けが終わるのを待って、昌江先生が部屋の電気を消す。
「あー、お腹空いた。二人とも、ちゃんとお昼ご飯食べるのよ。晃先生、一太先生と一緒に食べてあげてね」
え? と振り返る一太の肩を昌江先生はぽんぽんと叩く。ふ、と真顔になって、今度は両手で一太の両肩を掴んだ。目を見開く一太の顔をまじまじと見てから、また先ほどまでの笑顔に戻る。
「絶対に食べて帰りなさい。何なら、夜ご飯も二人で食べてからお家に帰して」
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