【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ

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126 ◇楽しいクリスマス

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 一太が、幸せ……と言いながら笑っている夢を見た。晃は、可愛くて嬉しくて、ぎゅう、と抱きしめた……。
 そこまではいい夢だった。だがその後、何故か抱きしめた一太が卵になっていて、段々熱を持ち始めたのだ。あつい、と思うけれども、手を離したら孵らないから手を離しちゃ駄目、と頭のどこかで考えていて手を離せない。
 そのうち、卵がもぞ、もぞ、と動き始めて、やっと孵るのか、とほっとしたところで目が覚めた。
 暖房が動いている音がする。扉の向こうから、洗濯機も。もう、六時過ぎ?
 いっちゃんは相変わらず朝が早い、とスマホの時計を見ようとして晃は、何かを抱えていることに気付いた。顎に髪の毛が触れている。

「いっちゃん……?」

 布団をそっと持ち上げると、一太がすっぽりと収まっていた。すう、すう、と寝息が聞こえる。
 
「ええ、と……?」

 暖房も洗濯機も動いているから、一太は一度起きたのだ。起きて、当たり前に洗濯機を回した。暖房は、晃が何度言っても一太が自分でスイッチを押さないので、毎朝六時に作動するように予約してある。それなら、部屋が勝手に暖まってくれる、と設定してようやく晃は安心した。目を覚ました時に、寒さに震えながら家事をする一太が見えた時は、少々の物音では目を覚まさない自分に腹が立ったから。
 寒くなってからも、一太の起きる時間は変わらない。いや、季節や気候など関係ない。学校がある日、ない日でも変わらず、仕事が早朝出勤ではない日にも変わらなかった。いつも、六時には起きて動いている。休日くらいのんびり寝ていたらいいのに、と不思議に思いつつ、いっちゃんの目が覚めてしまうのなら仕方ない、せめて風邪をひかない様に、と暖房の予約設定だけしておいたのだ。
 とりあえず一太が腕の中で寝てくれているのは嬉しい。嬉しいが、暖房がきいてきて少々暑い、と少しづつ掛布団をずらした。

「はっ」

 一太が目を覚まして、慌てて起き上がる。そっと動いたつもりなのに起きちゃったか、と晃はがっくりした。

「う……」

 頭を押さえて動きの止まった一太を、もう一度布団の中に倒す。

「急に動くから……。大丈夫? 頭痛い?」

 寝起きで声が出にくい。

「あ、晃くん。おはよう……」
「おはよう。今日も早起きだね」
「あ、うるさくしてごめん。今日、いつもより早く布団から出てしまって……」

 一太は、寝起きからすぐ動けるところがすごい、と思っていたが違うのだろうか。

「いつもは、六時になるまで待ってるんだけど……。そ、そうだ、晃くん。プレゼント、プレゼントが……」

 六時になるまで待っている……? 本当は、もっと早くから目が覚めていたのか……。一太の睡眠時間はどのくらい取れているんだろう。

「ふふ。いっちゃんが良い子だからサンタさんが来たんじゃない?」

 晃は、とりあえず一太の睡眠時間については頭の片隅に追いやり、サプライズが成功したらしいことを喜んだ。

「え? え? でも、サンタさんが来るのは子どもだけで、本当はお父さんとお母さんで……」
「恋人もサンタクロースらしいよ?」

 最近のスーパーで良く流れていた歌の歌詞を思い出して、晃は機嫌よく笑った。一太をぎゅっと抱きしめて、恋人のいるクリスマスを朝から堪能する。
 プレゼント、こんなに驚いてもらえたのなら、枕元に置いて良かったなあ。物音に割と敏感な一太を起こさずに置けたのは大成功だ。

「恋人……」
「うん」

 晃は、抱きしめた手を少し緩めて、ちゅ、ちゅと一太の額にキスをした。プレゼント選びも、楽しかった。

「どうしよう、晃くん……」
「ん?」
「俺、何にも用意してない……」

 なんだ、そんなこと。
 別にいい。一太は晃に、あんなに見事な誕生日パーティをしてくれたのだ。
 そのお返しと思ってもらったら構わない。

「僕が、したかっただけ。だから、気にしないで」
「でも……」

 クリスマスも、楽しいものだなあ。
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