131 / 252
131 家庭の味
しおりを挟む
晃の部屋には、ベッドの横にすでに布団が一つ敷かれていて、いつでも寝られるようになっていた。狭い部屋は冬のふかふかの布団で埋め尽くされて足の踏み場もない。
「すぐに降りてこいってことだな」
荷物を部屋の端に置いた晃が、少し笑いながら言った。
「え?」
「この部屋は寝る時だけ入れってことだよ。ここに僕たちが閉じこもってしまわないようにしてるんじゃない? 居間に降りてこいって」
「へえ」
一太は、布団を半分にたたんで座ってもいいんじゃないかな、と思いながら、晃と一緒にいたい陽子の思いを見て笑ってしまった。母親ってそういうものなのか。
そういえば、託児室や幼稚園に迎えに来るお母さんたちも、数時間ぶりに会う子どもと熱烈な抱擁を交わしていた。
子どもの方も、それまでご機嫌で遊んでいたのが嘘のようにお母さんを見て泣き出したりする。そして、あの、うちの子ずっと泣いてましたか? とお母さんを心配させてしまうのだ。
いいええ、楽しく遊んでいましたよ。ずっとにこにこでしたけどねえ。お母さんを見てほっとしたのかな、あはは、なんて先生たちは苦笑いする。
預かる時もそうだ。まるで、この世の終わりみたいに泣く子がいる。しくしくと静かに泣いてしがみついてくる子がいる。親しい人と離れるのが怖くて悲しい気持ちは一太には分からないけれど、普通はそうなんだなってことは分かった。離れるのが不安なのは、子どもの方だけじゃないんだなってことも。
「温かい飲み物が入ったわよー」
階下から声がかかる。
晃が、くすと笑った。
「行こう、いっちゃん。寒いし」
「うん」
陽子さんは晃くんが帰ってくるのをとても楽しみにしていた。たぶん、他の家族たちも。
せめて、邪魔にならないように過ごそう、と一太は決意する。手伝えることは手伝って、それからどこか邪魔にならない端っこで過ごさせてもらえたら……。
「いっちゃん、こっちこっち。この紅茶ね、いつものと違うんだけどなかなか香りが良くて、最近お気に入りなの。どう?」
「え、あ、はい。えと、美味しい、です」
「でしょー? 少し持ってく? 袋に半分分けとくね。忘れないように持ち帰り袋に入れておくから。あ、今ね、ストレートティだから好きに牛乳入れてミルクティにしてね。いっちゃん、ミルクティ好きだもんね。砂糖はいらなかったよね?」
「は、はい……」
「私と好み一緒。飲み物は、あんまり甘くない方がいいよね」
「はい」
暖かいリビングダイニングに入るなり陽子に手招きされて、端っこどころかダイニングテーブルの真ん中の席に一太は着席している。
もちろん紅茶の好みは陽子さんの言う通りだ。何故、こんなに詳しく覚えているのだろう。この家にお邪魔して紅茶を頂いたのは一回だけなのに。紅茶を知ったのも、その時なのに。
そして当たり前に、この新しい香りとやらの紅茶パックも持ち帰ることになっているみたいだ。……持ち帰り袋とは何だろう。
「ね、本当に飲み物だけでいいの? お茶菓子出そうか?」
「母さん。いっちゃんのお腹が壊れる」
「ああ。そうね。うん、そうだった。いっちゃん、無理に食べちゃ駄目よ。残してもいいから丁度いい量を食べるのよ?」
「ええ、と。はい……?」
たくさん掛けてもらえる言葉たちにろくな返事はできていないけれど、陽子が気にした様子はなかった。にこにこと一太が紅茶を飲むのを見ている。
もう、本当に母さんがうるさくてごめんね、と隣に座った晃くんは呆れているけれど。
何だろう。温かい紅茶が喉を通ったからだろうか。胸がぽかぽかと温かかった。
*
「手伝います」
「座ってていいのに」
そんなやり取りの後の昼食準備。エビフライは揚げるだけ、レタスはちぎるだけだと言う陽子と二人でキッチンに入る。
いざキッチンに立ってみれば、チキンライスも作るらしい。量が多いので、具を炒めて味をつけたら大きなボウルに入れたご飯に具を混ぜ込んだ。
「おお」
「別にご飯炒めなくていいもんね、チキンライスは」
言われてみればその通り。量が多い家の工夫かあ、と一太は頷く。とはいえ、これから先、一太がその技を使う場面というのは想像ができなかった。結婚して、子どもが生まれて……といった未来が全く思い浮かばないからだ。家庭、というものに縁が薄いからか。家族の普通を知らないからか。
母と弟の二人分の料理を作らされてきたが、ただの仕事だった。作らなければならないから作っていた。その対価に、一太は住む場所を得ていたのだ。作ることで何とか食材の余りを食べることができた。慣れてきたら、かさ増しなどして僅かな自分の分を確保した。生きるための仕事。
やっとの思いで一人になったら、全くキッチンに立つ気になれなかった。一太は、二十年生きてきて、料理を作ってあげたくて作ったのは晃にだけだ。ただ一人だけ。
「卵で包もうか。いっちゃん、どんなオムライスがいい?」
「どんな……?」
オムライスに種類があったとは知らなかった。
「くるっと包んじゃうか、上にふわふわの卵乗せて真ん中で割ってふわって落とすか」
「ええ、と」
何それ。見てみたい。
けれど、もしかして他の人がくるっと包む方を選んだら、陽子さんは一太のためだけにふわっをしなければならなくなる。一太のためだけに、そんな手間は掛けられない。
「くるっと包むのなら卵は何個?」
そんな所にまで選択肢が? 一太が家で晃にオムライスを作る時、何も聞かずに卵一つで包んでいた。
そういえば昔、作り方を調べようと図書室で読んだ本には、卵二個と書いてあったかもしれない。やってみたら卵一個でも充分チキンライスを包むことができたから、節約で一個にしたのだった。そうしたら、弟におかわりと言われた時に対応できるし、上手くいけば自分の分を確保できるから。
「一個……です」
「あら、おんなじ。うちも一個。薄焼き卵はチキンライスの味を邪魔しなくて好きなのよ。ま、節約でもあるけどね。一人二個づつ使ってたら一パック無くなっちゃうもんね」
ほっとした。一太のオムライスは、晃のいつもの形になっていたようだ。
オムライス一つとっても、こんなに様々な各家庭の味や形があるんだなあ、と一太は驚いた。オムライスはたまたま同じような形だったが、これから何か作る時は細かく晃に確認した方がいいのかもしれない。陽子さんにもたくさん教えてもらえたら、晃の好みの料理を作ることができる。
これから。そう、これから。
そう考えて一太の頬が緩む。これからも、俺は晃くんに料理を作るんだなあ、と思って。
そして、ほんの少しだけ思い出した。
最後に会った時に、お前の料理が食べたいって言った弟のこと。何年も、ほとんど毎日作って出して、一度も美味しいと言わなかった。一太も心を込めて作っていた訳ではないけれど。
それでも、一太の料理が弟にとって家の味だったのだ。久しぶりに一太に会って、作ってほしいと願うくらいには。
弟は、望は、一太の作るオムライスの卵が一個であることを知らない。だから、いつか誰かに作ってもらう時、一個で作ってほしいと伝えることはできない。
共に暮らしてきた。でも、知っていることなんて本当に少ない。やっぱり自分たちは、よく言われていた通り、家族ではなかったんだろう。
「すぐに降りてこいってことだな」
荷物を部屋の端に置いた晃が、少し笑いながら言った。
「え?」
「この部屋は寝る時だけ入れってことだよ。ここに僕たちが閉じこもってしまわないようにしてるんじゃない? 居間に降りてこいって」
「へえ」
一太は、布団を半分にたたんで座ってもいいんじゃないかな、と思いながら、晃と一緒にいたい陽子の思いを見て笑ってしまった。母親ってそういうものなのか。
そういえば、託児室や幼稚園に迎えに来るお母さんたちも、数時間ぶりに会う子どもと熱烈な抱擁を交わしていた。
子どもの方も、それまでご機嫌で遊んでいたのが嘘のようにお母さんを見て泣き出したりする。そして、あの、うちの子ずっと泣いてましたか? とお母さんを心配させてしまうのだ。
いいええ、楽しく遊んでいましたよ。ずっとにこにこでしたけどねえ。お母さんを見てほっとしたのかな、あはは、なんて先生たちは苦笑いする。
預かる時もそうだ。まるで、この世の終わりみたいに泣く子がいる。しくしくと静かに泣いてしがみついてくる子がいる。親しい人と離れるのが怖くて悲しい気持ちは一太には分からないけれど、普通はそうなんだなってことは分かった。離れるのが不安なのは、子どもの方だけじゃないんだなってことも。
「温かい飲み物が入ったわよー」
階下から声がかかる。
晃が、くすと笑った。
「行こう、いっちゃん。寒いし」
「うん」
陽子さんは晃くんが帰ってくるのをとても楽しみにしていた。たぶん、他の家族たちも。
せめて、邪魔にならないように過ごそう、と一太は決意する。手伝えることは手伝って、それからどこか邪魔にならない端っこで過ごさせてもらえたら……。
「いっちゃん、こっちこっち。この紅茶ね、いつものと違うんだけどなかなか香りが良くて、最近お気に入りなの。どう?」
「え、あ、はい。えと、美味しい、です」
「でしょー? 少し持ってく? 袋に半分分けとくね。忘れないように持ち帰り袋に入れておくから。あ、今ね、ストレートティだから好きに牛乳入れてミルクティにしてね。いっちゃん、ミルクティ好きだもんね。砂糖はいらなかったよね?」
「は、はい……」
「私と好み一緒。飲み物は、あんまり甘くない方がいいよね」
「はい」
暖かいリビングダイニングに入るなり陽子に手招きされて、端っこどころかダイニングテーブルの真ん中の席に一太は着席している。
もちろん紅茶の好みは陽子さんの言う通りだ。何故、こんなに詳しく覚えているのだろう。この家にお邪魔して紅茶を頂いたのは一回だけなのに。紅茶を知ったのも、その時なのに。
そして当たり前に、この新しい香りとやらの紅茶パックも持ち帰ることになっているみたいだ。……持ち帰り袋とは何だろう。
「ね、本当に飲み物だけでいいの? お茶菓子出そうか?」
「母さん。いっちゃんのお腹が壊れる」
「ああ。そうね。うん、そうだった。いっちゃん、無理に食べちゃ駄目よ。残してもいいから丁度いい量を食べるのよ?」
「ええ、と。はい……?」
たくさん掛けてもらえる言葉たちにろくな返事はできていないけれど、陽子が気にした様子はなかった。にこにこと一太が紅茶を飲むのを見ている。
もう、本当に母さんがうるさくてごめんね、と隣に座った晃くんは呆れているけれど。
何だろう。温かい紅茶が喉を通ったからだろうか。胸がぽかぽかと温かかった。
*
「手伝います」
「座ってていいのに」
そんなやり取りの後の昼食準備。エビフライは揚げるだけ、レタスはちぎるだけだと言う陽子と二人でキッチンに入る。
いざキッチンに立ってみれば、チキンライスも作るらしい。量が多いので、具を炒めて味をつけたら大きなボウルに入れたご飯に具を混ぜ込んだ。
「おお」
「別にご飯炒めなくていいもんね、チキンライスは」
言われてみればその通り。量が多い家の工夫かあ、と一太は頷く。とはいえ、これから先、一太がその技を使う場面というのは想像ができなかった。結婚して、子どもが生まれて……といった未来が全く思い浮かばないからだ。家庭、というものに縁が薄いからか。家族の普通を知らないからか。
母と弟の二人分の料理を作らされてきたが、ただの仕事だった。作らなければならないから作っていた。その対価に、一太は住む場所を得ていたのだ。作ることで何とか食材の余りを食べることができた。慣れてきたら、かさ増しなどして僅かな自分の分を確保した。生きるための仕事。
やっとの思いで一人になったら、全くキッチンに立つ気になれなかった。一太は、二十年生きてきて、料理を作ってあげたくて作ったのは晃にだけだ。ただ一人だけ。
「卵で包もうか。いっちゃん、どんなオムライスがいい?」
「どんな……?」
オムライスに種類があったとは知らなかった。
「くるっと包んじゃうか、上にふわふわの卵乗せて真ん中で割ってふわって落とすか」
「ええ、と」
何それ。見てみたい。
けれど、もしかして他の人がくるっと包む方を選んだら、陽子さんは一太のためだけにふわっをしなければならなくなる。一太のためだけに、そんな手間は掛けられない。
「くるっと包むのなら卵は何個?」
そんな所にまで選択肢が? 一太が家で晃にオムライスを作る時、何も聞かずに卵一つで包んでいた。
そういえば昔、作り方を調べようと図書室で読んだ本には、卵二個と書いてあったかもしれない。やってみたら卵一個でも充分チキンライスを包むことができたから、節約で一個にしたのだった。そうしたら、弟におかわりと言われた時に対応できるし、上手くいけば自分の分を確保できるから。
「一個……です」
「あら、おんなじ。うちも一個。薄焼き卵はチキンライスの味を邪魔しなくて好きなのよ。ま、節約でもあるけどね。一人二個づつ使ってたら一パック無くなっちゃうもんね」
ほっとした。一太のオムライスは、晃のいつもの形になっていたようだ。
オムライス一つとっても、こんなに様々な各家庭の味や形があるんだなあ、と一太は驚いた。オムライスはたまたま同じような形だったが、これから何か作る時は細かく晃に確認した方がいいのかもしれない。陽子さんにもたくさん教えてもらえたら、晃の好みの料理を作ることができる。
これから。そう、これから。
そう考えて一太の頬が緩む。これからも、俺は晃くんに料理を作るんだなあ、と思って。
そして、ほんの少しだけ思い出した。
最後に会った時に、お前の料理が食べたいって言った弟のこと。何年も、ほとんど毎日作って出して、一度も美味しいと言わなかった。一太も心を込めて作っていた訳ではないけれど。
それでも、一太の料理が弟にとって家の味だったのだ。久しぶりに一太に会って、作ってほしいと願うくらいには。
弟は、望は、一太の作るオムライスの卵が一個であることを知らない。だから、いつか誰かに作ってもらう時、一個で作ってほしいと伝えることはできない。
共に暮らしてきた。でも、知っていることなんて本当に少ない。やっぱり自分たちは、よく言われていた通り、家族ではなかったんだろう。
655
あなたにおすすめの小説
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】言えない言葉
未希かずは(Miki)
BL
双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。
同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。
ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。
兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。
すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。
第1回青春BLカップ参加作品です。
1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。
2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる