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183 酒飲みの歌のように
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十一月、安倍の誕生日会もとても楽しかった。一太と岸田の二人で作ったチーズケーキにろうそくを二十本立ててひと息で吹き消すチャレンジは、大成功した。
「来年も成功させてやるから見てろよ」
「え? 来年もここで誕生日会するの?」
「そりゃあするだろ」
「いいけど。来るの?」
「おう」
安倍は当たり前のように笑って、チーズケーキを切らずに食べた。丸い大きなケーキに皆でフォークを直に突き刺して食べるのは、ちょっと良くないことをしているみたいでドキドキした。いつもより美味しいような気がした。
あっという間に十二月になった。四人とも、就職先が内定しており、卒業に必要な単位や論文は着々と準備できている。日々は淡々と過ぎていった。もうすぐ、安倍くんと岸田さんに簡単には会えなくなるんだなあ、と思うと一太は寂しかった。
色んなことを一緒にした。勉強も遊びも買い物も。一太には晃が一番大切だけれど、安倍と岸田のこともものすごく大切で、ずっとこんな風に一緒にいたかったなあ、と思ってしまう。人生で初めてできた友だち。
いつも、次の約束は当然してあって、でも約束がなくても、ひょいと、美味しいものを食べに行こう、とか買い物に行こう、という予定が入ったりする。この先も、十二月には晃の誕生日会、一月には、皆でお酒を飲もうという約束がある。全員が二十歳を迎えた記念。誰がどのくらい飲めるのか全く分からないので、おうちで試してみることになった。おうちなら、うっかり酔い潰れてもそのまま寝ることができるので安心だ。
一太は、お酒を飲んでいる大人にいい思い出がないので、積極的に飲みたいとは思えない。けれど、誰が酒に強いか弱いか、どんな種類のお酒を味見しようか、と楽しそうに話す三人を見ていると、この人たちとなら飲んでみてもいいなあ、と思えた。
二月には、卒業旅行をするらしい。とにかくどこかへ行こう、と安倍が張り切っていて、一太も楽しみで仕方ない。行ってみたい所あるか、と聞かれて、その言葉にもわくわくした。動物園とか、水族館とか、何かの工場、なんてものが思い浮かんだけれど、子どもの時に行けなかった遠足の場所に行きたい、というのは子どもっぽいかもしれない、と思って、まだ安倍には伝えられていない。
三月は、卒業パーティ。この家で集まって、卒業を祝うのだそうだ。一月に飲んでみたお酒が美味しかったら、またお酒ありでご馳走を食べる。
なんて楽しい学生生活。
一太は思う。
大学へ行こうと思った俺へ、俺は一生感謝しよう。
「来年も成功させてやるから見てろよ」
「え? 来年もここで誕生日会するの?」
「そりゃあするだろ」
「いいけど。来るの?」
「おう」
安倍は当たり前のように笑って、チーズケーキを切らずに食べた。丸い大きなケーキに皆でフォークを直に突き刺して食べるのは、ちょっと良くないことをしているみたいでドキドキした。いつもより美味しいような気がした。
あっという間に十二月になった。四人とも、就職先が内定しており、卒業に必要な単位や論文は着々と準備できている。日々は淡々と過ぎていった。もうすぐ、安倍くんと岸田さんに簡単には会えなくなるんだなあ、と思うと一太は寂しかった。
色んなことを一緒にした。勉強も遊びも買い物も。一太には晃が一番大切だけれど、安倍と岸田のこともものすごく大切で、ずっとこんな風に一緒にいたかったなあ、と思ってしまう。人生で初めてできた友だち。
いつも、次の約束は当然してあって、でも約束がなくても、ひょいと、美味しいものを食べに行こう、とか買い物に行こう、という予定が入ったりする。この先も、十二月には晃の誕生日会、一月には、皆でお酒を飲もうという約束がある。全員が二十歳を迎えた記念。誰がどのくらい飲めるのか全く分からないので、おうちで試してみることになった。おうちなら、うっかり酔い潰れてもそのまま寝ることができるので安心だ。
一太は、お酒を飲んでいる大人にいい思い出がないので、積極的に飲みたいとは思えない。けれど、誰が酒に強いか弱いか、どんな種類のお酒を味見しようか、と楽しそうに話す三人を見ていると、この人たちとなら飲んでみてもいいなあ、と思えた。
二月には、卒業旅行をするらしい。とにかくどこかへ行こう、と安倍が張り切っていて、一太も楽しみで仕方ない。行ってみたい所あるか、と聞かれて、その言葉にもわくわくした。動物園とか、水族館とか、何かの工場、なんてものが思い浮かんだけれど、子どもの時に行けなかった遠足の場所に行きたい、というのは子どもっぽいかもしれない、と思って、まだ安倍には伝えられていない。
三月は、卒業パーティ。この家で集まって、卒業を祝うのだそうだ。一月に飲んでみたお酒が美味しかったら、またお酒ありでご馳走を食べる。
なんて楽しい学生生活。
一太は思う。
大学へ行こうと思った俺へ、俺は一生感謝しよう。
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