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192 そんな仕事は初めて聞いた
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頭が痛い。
これは一番困るやつだ、と一太は思った。素早く動けない。体がしんどい時よりも、無理がきかないのだ。どんな動きをしても頭は動いてしまって、痛みはずっと引かない。それを堪えて動こうとすると、目の前が真っ白になって何も見えなくなってしまったり、目が開けられなくなってしまったりする。見えないと、仕事ができない。
起きた後の手順を余程しっかりと考えなくてはいけない、と一太は思った。そうして痛む頭で考えて、今日の日付けや曜日が分からないことに愕然とした。
曜日が分からなければ、ごみ出しの日かどうかが分からない。曜日を忘れるなんて、一太は今まで一度も無かった。覚えていて、可燃ごみの日だから可燃ごみをまとめなければいけないな、などと考えながら起きるのがいつもの朝だったから。不燃ごみの日は、少し離れた集積所まで持っていくのに時間がかかるから、早起きしないといけない。今日、学校はあったっけ? 仕事は?
そうした、起きてすぐの行動に直結する情報が今、一太の頭に何も入っていなかった。
なんで?
なんで、なんで、なんで?
熱い息を吐きながら必死で考えるけれど、頭がずきずきと痛むばかり。
昨日の行動を思い出そうとするが、もやがかかったようによく思い出せなかった。
とりあえず、このままベッドにいても何も進まない。
一太は、痛む頭をこれ以上刺激しないように気をつけながら、ゆっくりゆっくり起き上がった。体までだるい。どうやら、今日は最悪の体調らしい。何か体調を崩すようなことをしただろうか、と考えるが、昨日の行動がよく思い出せなかった。
目を使うと頭痛が酷くなることは経験から知っているので、体を起こすまで目は閉じていた。本当に困ったことになったぞ、と気持ちは焦る。素早く動きそうになっては酷くなる頭痛に苛まれ、だいぶ時間をかけて体を起こした。そっと目を開け、また愕然とした。
曜日が分からないのは痛手だが、とりあえず洗濯、それから朝食の準備、風呂洗い、部屋の掃除、それらの手順は変わらない。一太は、ずっとずっと、そうしてきた。動かず考えていても何も終わらないのだから、とりあえず動きながら、今日の予定と昨日の行動を思い出すしか無い。
そう思って、やっと起きる体勢に入ったというのに。なのに、カーテンの引かれた薄暗い部屋が、どこなのか分からない。
「え?」
きょろ、と頭を動かして、痛みの強さに頭を抱えて呻く。
ああ。本当に、自分はどうしてしまったのだろう。
朝の仕事をしなければ、と最後にはそればかりが一太の頭を占めていた。
「いっちゃん? どうしたの? 頭痛い? トイレ行っておく? 寝てなきゃ駄目だよ」
看病セットを持って部屋に戻った晃に無理やりベッドに戻されるまでずっと、一太は痛む頭を抱えて、朝の仕事の手順ばかり考えていた。
寝た姿勢に戻されると、くたりと体の力が抜ける。これでは、もう一度起き上がるのに大変な力がいる。なんてことをしてくれたんだ、と一太は少しいらいらした。
仕事が進まない……。
「いっちゃん。ちょっと電気付けるね」
部屋の電気がついて、一太は眩しさにまた目を閉じた。ああ。頭が痛い……。
「頭痛い? あれかな? 熱が高いから痛いのかな。熱冷ましの薬も持ってきたんだけど、これで痛いのも止まるかな。ご飯とか食べてない時間に飲んでもいいんだっけ?」
ぶつぶつと声がする。
「いっちゃん。とりあえず、熱を測ろう。これ、脇の下に……って、あ、目はつぶってていいよ。僕がやるから、じっとしてて」
横になった一太の腕が持ち上げられて、体温計が挟まれた。入院している時に、毎朝測らされたものと同じものだ。入院……。いや、まさか。でもそういえば、床に敷いた布団ではなく高さのある寝具にいるような……。
まさか、また?
二十年生きてきて、病院のお世話になることなど一度も無かったのに。まあ、体調を崩しても病院に連れて行ってもらえなかったのだけれども。それにしても、この一年半で一体何度……。
あれ?
いや、でも今……。
「あきら……くん?」
「うん?」
その時、こんこんとノックの音がした。
「晃? いっちゃん? 何かあった?」
女の人の声が言う。一太の頭にずっと響いていた、あの嫌な甲高い声ではない。抑えた声は、いっちゃん、と優しく一太を呼んだ。
「あ……」
「開けるわよ」
一太が目を開けると、パジャマの上に上着を羽織った陽子が部屋の中に入ってくるのが見えた。
陽子さん。陽子さんがいる。なんで?
ピピッと体温計の音がした。
「まあ。いっちゃん?」
近寄ってきた陽子が、晃の手に移った体温計を覗き見て声を上げた。
「三十九・六度……」
「うわ……」
顔を見合わせた二人は、ばたばたと動き出した。
「晃。なんですぐに母さんを呼ばないの。体温計の他は何を持ってきたの? 飲み物は?」
「あ、飲み物。持ってきてない……。薬箱から薬と冷却シートと体温計探してきて」
「そういう時は、薬箱ごと持ってくるのよ。ここで、いっちゃんの様子を見ながら探せるでしょ」
「そうか……」
「とりあえず、晃。あなた、上着を羽織りなさい。こんな寒い時に、寝起きのパジャマでうろうろして。あなたまで風邪を引いたら、いっちゃんが気にしちゃうでしょ。上着着て、スポーツドリンクを冷蔵庫から持ってきて。寝たまま飲みやすいように、ストローを取り付けるのよ。覚えてる?」
陽子が言いながら、部屋の暖房のスイッチを入れた。
「覚えてる」
返事をした晃が、勉強机の前の椅子に掛けていた上着を羽織り、部屋を出ていく。
「ベッドに寝かしててくれたのは正解だったわ。お世話しやすいし、足音が頭痛に響きにくいしね。いっちゃん、今、寒い? 暑い?」
あれ? と一太は布団の中で考える。俺は、今から起きて洗濯機を回して、朝食を準備して……。
「いっちゃん? 聞こえてるかな? 今、寒い? 暑い?」
ごう、という暖房の音。暖かくて柔らかい生地のパジャマ。軽くて暖かい布団。
「あ、あつい、です……」
「ん、そうか」
陽子は、冷却シートをぴたりと一太のおでこに貼ってくれた。ひんやりとして、気持ちいい……。少しだけ、頭痛がマシになったような気がする。
陽子は、一太の上に掛かっていた毛布を抜いて、タオルケットと冬布団だけをかけ直した。
暑すぎて苦しかった体が楽になった。
「あ。俺、あの、洗濯……」
「何言ってんの、いっちゃん。体調悪い時に動いてたら、治るものも治らないわよ」
「でも。でも、仕事、しないと……」
「今は、寝るのが仕事」
一太は、陽子の言葉に衝撃を受ける。
「寝るのが、仕事……」
「そうよ」
陽子は、当たり前のように言い切った。
一太が驚いているうちに、晃の持ってきた口当たりの良い飲み物と、薬を一つ口に入れられる。飲み込んだら、よくできました、と頭を撫でられた。
一太は、俺は、何がよくできたんだろう……と首を傾げつつ、撫でられる手が気持ち良くて、思わずうっとりと目を閉じた。そのまま、もう一度目を開けることはできなかった。
これは一番困るやつだ、と一太は思った。素早く動けない。体がしんどい時よりも、無理がきかないのだ。どんな動きをしても頭は動いてしまって、痛みはずっと引かない。それを堪えて動こうとすると、目の前が真っ白になって何も見えなくなってしまったり、目が開けられなくなってしまったりする。見えないと、仕事ができない。
起きた後の手順を余程しっかりと考えなくてはいけない、と一太は思った。そうして痛む頭で考えて、今日の日付けや曜日が分からないことに愕然とした。
曜日が分からなければ、ごみ出しの日かどうかが分からない。曜日を忘れるなんて、一太は今まで一度も無かった。覚えていて、可燃ごみの日だから可燃ごみをまとめなければいけないな、などと考えながら起きるのがいつもの朝だったから。不燃ごみの日は、少し離れた集積所まで持っていくのに時間がかかるから、早起きしないといけない。今日、学校はあったっけ? 仕事は?
そうした、起きてすぐの行動に直結する情報が今、一太の頭に何も入っていなかった。
なんで?
なんで、なんで、なんで?
熱い息を吐きながら必死で考えるけれど、頭がずきずきと痛むばかり。
昨日の行動を思い出そうとするが、もやがかかったようによく思い出せなかった。
とりあえず、このままベッドにいても何も進まない。
一太は、痛む頭をこれ以上刺激しないように気をつけながら、ゆっくりゆっくり起き上がった。体までだるい。どうやら、今日は最悪の体調らしい。何か体調を崩すようなことをしただろうか、と考えるが、昨日の行動がよく思い出せなかった。
目を使うと頭痛が酷くなることは経験から知っているので、体を起こすまで目は閉じていた。本当に困ったことになったぞ、と気持ちは焦る。素早く動きそうになっては酷くなる頭痛に苛まれ、だいぶ時間をかけて体を起こした。そっと目を開け、また愕然とした。
曜日が分からないのは痛手だが、とりあえず洗濯、それから朝食の準備、風呂洗い、部屋の掃除、それらの手順は変わらない。一太は、ずっとずっと、そうしてきた。動かず考えていても何も終わらないのだから、とりあえず動きながら、今日の予定と昨日の行動を思い出すしか無い。
そう思って、やっと起きる体勢に入ったというのに。なのに、カーテンの引かれた薄暗い部屋が、どこなのか分からない。
「え?」
きょろ、と頭を動かして、痛みの強さに頭を抱えて呻く。
ああ。本当に、自分はどうしてしまったのだろう。
朝の仕事をしなければ、と最後にはそればかりが一太の頭を占めていた。
「いっちゃん? どうしたの? 頭痛い? トイレ行っておく? 寝てなきゃ駄目だよ」
看病セットを持って部屋に戻った晃に無理やりベッドに戻されるまでずっと、一太は痛む頭を抱えて、朝の仕事の手順ばかり考えていた。
寝た姿勢に戻されると、くたりと体の力が抜ける。これでは、もう一度起き上がるのに大変な力がいる。なんてことをしてくれたんだ、と一太は少しいらいらした。
仕事が進まない……。
「いっちゃん。ちょっと電気付けるね」
部屋の電気がついて、一太は眩しさにまた目を閉じた。ああ。頭が痛い……。
「頭痛い? あれかな? 熱が高いから痛いのかな。熱冷ましの薬も持ってきたんだけど、これで痛いのも止まるかな。ご飯とか食べてない時間に飲んでもいいんだっけ?」
ぶつぶつと声がする。
「いっちゃん。とりあえず、熱を測ろう。これ、脇の下に……って、あ、目はつぶってていいよ。僕がやるから、じっとしてて」
横になった一太の腕が持ち上げられて、体温計が挟まれた。入院している時に、毎朝測らされたものと同じものだ。入院……。いや、まさか。でもそういえば、床に敷いた布団ではなく高さのある寝具にいるような……。
まさか、また?
二十年生きてきて、病院のお世話になることなど一度も無かったのに。まあ、体調を崩しても病院に連れて行ってもらえなかったのだけれども。それにしても、この一年半で一体何度……。
あれ?
いや、でも今……。
「あきら……くん?」
「うん?」
その時、こんこんとノックの音がした。
「晃? いっちゃん? 何かあった?」
女の人の声が言う。一太の頭にずっと響いていた、あの嫌な甲高い声ではない。抑えた声は、いっちゃん、と優しく一太を呼んだ。
「あ……」
「開けるわよ」
一太が目を開けると、パジャマの上に上着を羽織った陽子が部屋の中に入ってくるのが見えた。
陽子さん。陽子さんがいる。なんで?
ピピッと体温計の音がした。
「まあ。いっちゃん?」
近寄ってきた陽子が、晃の手に移った体温計を覗き見て声を上げた。
「三十九・六度……」
「うわ……」
顔を見合わせた二人は、ばたばたと動き出した。
「晃。なんですぐに母さんを呼ばないの。体温計の他は何を持ってきたの? 飲み物は?」
「あ、飲み物。持ってきてない……。薬箱から薬と冷却シートと体温計探してきて」
「そういう時は、薬箱ごと持ってくるのよ。ここで、いっちゃんの様子を見ながら探せるでしょ」
「そうか……」
「とりあえず、晃。あなた、上着を羽織りなさい。こんな寒い時に、寝起きのパジャマでうろうろして。あなたまで風邪を引いたら、いっちゃんが気にしちゃうでしょ。上着着て、スポーツドリンクを冷蔵庫から持ってきて。寝たまま飲みやすいように、ストローを取り付けるのよ。覚えてる?」
陽子が言いながら、部屋の暖房のスイッチを入れた。
「覚えてる」
返事をした晃が、勉強机の前の椅子に掛けていた上着を羽織り、部屋を出ていく。
「ベッドに寝かしててくれたのは正解だったわ。お世話しやすいし、足音が頭痛に響きにくいしね。いっちゃん、今、寒い? 暑い?」
あれ? と一太は布団の中で考える。俺は、今から起きて洗濯機を回して、朝食を準備して……。
「いっちゃん? 聞こえてるかな? 今、寒い? 暑い?」
ごう、という暖房の音。暖かくて柔らかい生地のパジャマ。軽くて暖かい布団。
「あ、あつい、です……」
「ん、そうか」
陽子は、冷却シートをぴたりと一太のおでこに貼ってくれた。ひんやりとして、気持ちいい……。少しだけ、頭痛がマシになったような気がする。
陽子は、一太の上に掛かっていた毛布を抜いて、タオルケットと冬布団だけをかけ直した。
暑すぎて苦しかった体が楽になった。
「あ。俺、あの、洗濯……」
「何言ってんの、いっちゃん。体調悪い時に動いてたら、治るものも治らないわよ」
「でも。でも、仕事、しないと……」
「今は、寝るのが仕事」
一太は、陽子の言葉に衝撃を受ける。
「寝るのが、仕事……」
「そうよ」
陽子は、当たり前のように言い切った。
一太が驚いているうちに、晃の持ってきた口当たりの良い飲み物と、薬を一つ口に入れられる。飲み込んだら、よくできました、と頭を撫でられた。
一太は、俺は、何がよくできたんだろう……と首を傾げつつ、撫でられる手が気持ち良くて、思わずうっとりと目を閉じた。そのまま、もう一度目を開けることはできなかった。
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