【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第二章 人として生きる

58 十三 6

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 俺は、目を閉じていたいのに、緋色ひいろ殿下は絶対にそれを許さなかった。
 頭が調子悪いです、とも言えない。
 頑張って目を開けてたら、頭がぐるぐるしてきてさっきの美味しいジュースが出てきそう。
 慌てて目も口も閉じる。

「なるひと!  寝るな」

 寝てない、寝ないから、お願い。
 う、うえ、と嘔吐えずくと、

「殿下、少し休ませてあげてください。大丈夫、私がずっと側にいますから」

 白衣の人が助けてくれた。本当に、目を開けてると目が回るから、助かった。はあ、と息を吐くとぐい、と抱き上げられる。
 
「どこにも行かないでくれ。頼む……」

 祈るような呟き。
 俺は動けもしないのに、どこへ行くと言うのだろう。
 目を閉じて体を預けていると、ばたばたと騒がしくなってきた。

「殿下。俺のピアスは置いてありますか?」
「いや、研究機関に渡した」
「そうですか。指令なら、俺を拘束してピアスを付けたら確認できるかと思ったのですが」 
「指令がきているか?」
「可能性が高いです。頭が痛そうな様子なら、逆らっているのでしょう。ほら、あの時、陸軍大将を殴った時のように」
「命令を拒否している、ということか」
「指令が届いても拒否しなければ、こんなに不調になったりしません。成人なるひとは頑張っているんだと思います」

 部屋に入ってきた男の人と緋色ひいろ殿下が話している。
 目を閉じていたら目眩は収まってきた。人の腕の中は、あったかいなあ。
 起きてるか、とたびたび聞かれるから、うとうと、としては覚醒する。
 どのくらい経ったのか、

「殿下。研究者が来ました」

 との声でベッドに置かれた。思わず緋色ひいろ殿下の服を掴んでしまって、自分に驚く。
 
「ちゃんといるから」

 緋色ひいろ殿下の声にほっとしている。混乱してきた。俺は、今、なにをすればいい?

「ちっ。お前らか」

 研究者を見た緋色ひいろ殿下が舌打ちしたらしい。俺は目を開ける気はないので、耳を澄ませる。

緋色ひいろ殿下。お怒りはごもっともでございます。けれど、手助けさせてください」
「仕方ない。早く診ろ」

 頭にひんやりした丸いものが幾つか付けられた。

「ああ、これはいけない。危ない状態です」
「何とかしろ」
「します。常陸丸ひたちまるさま、殿下を押さえていてください。何があっても邪魔しないで頂きたい。睦峯むつみね、やるぞ」

 ぶつん、と音がしたようだった。その後は、真っ暗。
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