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こぼれ話
誓いの日 赤璃
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客のほとんど来ない離宮にも応接室というものは存在していて、そこに案内してもらった。ソファに腰を落ち着けると、音もなく近寄ってきた使用人の女の子が、一人一人に温かいお茶とどら焼きを真ん中に置いて下がっていく。私の持ってきた手土産も、なるの部屋から運び出されてきたようだ。どら焼きは、城の料理人が新しく作った自信のおやつだからなるに食べさせたかったのに。
溜め息をこらえて、横に座る寧子ちゃんに視線を向けた。
「ごめんね。あまり良くない結果になっちゃって。」
「いえ、私は特に。」
「姉上はいい加減に、思い付きで行動するのを改めた方がいい。」
つい先程まで真っ赤になってしおれていたくせに、緋椀が厳しい口調で言ってくる。
「反省してるって言ったじゃない。」
「もう皇太子妃なんだから、もう少し考えて行動しなよ。」
「考えてるわよ。……言わせてもらうけど、あんたは考えすぎ。いい加減にきちんと返事をしないと三雲さんに失礼じゃない。」
「何の話?関係ないだろ?」
緋椀の赤くなる顔を見つめる。答えはとうに出ているはずなのに、三雲の優しさにつけこんで!
「七条に、子どもが作れないから男同士は駄目だとか言う人間がいると思うの?三雲さんは、とうにうちに挨拶に来てるわよ。緋椀との未来しか考えられないから、緋椀が嫌がらない限り傍に居させてほしいって。」
緋椀の目が見開かれて、隣に座る男を見つめる。三雲は、困ったように眉を下げながら少しだけ笑った。
「緋椀。俺は生涯お前の傍に居たい。駄目かな。」
「あ……う…。その、俺は、俺も…、居たいかも……。」
最後の方は、俯いてごにょごにょと。我が弟ながら、何とも情けない。
「これが、成人さまの言う結婚の誓いですね。」
興味深そうに寧子ちゃんが呟いて、緋椀は俯いたまま顔を手で覆ってしまった。
「我々は部屋へ戻ります。七条家へは日を選んで、二人で挨拶に参ります。」
三雲は幸せそうに微笑んで立ち上がった。緋椀の手を持って立ち上がらせ、肩を抱いて一礼すると応接室を出ていく。
「私も、赤虎さまと話くらいはしっかりしてみようと思います。」
「いいことだと思うわ。」
珍しく頬を緩めた寧子ちゃんは、ふと思い付いたように言った。
「成人さまは、大丈夫でしょうか。」
「知らない感情をどう処理していいか分からず混乱しているだけだと思う。緋色がいるから大丈夫。」
「……なるほど。」
万感の呟きを残して寧子ちゃんは帰っていった。
私は緋色の説教待ちよ……。
待ち時間が退屈過ぎて、広末を呼んでどら焼きを自慢した。
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つい先程まで真っ赤になってしおれていたくせに、緋椀が厳しい口調で言ってくる。
「反省してるって言ったじゃない。」
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「あ……う…。その、俺は、俺も…、居たいかも……。」
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「……なるほど。」
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待ち時間が退屈過ぎて、広末を呼んでどら焼きを自慢した。
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