【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

21 任された仕事  成人

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「貴方のこれからが決まった上で、聞きたい。九鬼くき家への返信をどうするのが正解か。」
「うちに追っ手をかけとるのは一二三ひふみ、というかその母親と母親の実家です。その前からもずっと。うちとしては迷惑をかけとうない。弐角にかくに跡を継いでもらうんが良いかと。そちらの為人ひととなりもよお知りませんけど。」
「成る程。現当主殿も弐角にかく殿を今回の名代みょうだいに指名している。そういうことだな。一二三ひふみとやらをつついてみるか。」

 緋色ひいろが俺を背中からぎゅう、と抱いた。これ、好き。

成人なるひとは何で呼ばれてんだ?」
「あ、そうだった。拾った怪我人が西の方の言葉遣いらしいって生松いくまつが言ってたんだけど、基本的に成人なるひととしか話さないんだって?あれは、今回の件の関係者かな?」
半助はんすけ?」
「それは怪我人の名前?」
「うん。」
半助はんすけは西の人?」
半助はんすけはうちの……。」

 壱臣いちおみは言いかけて止まった。皆の目が壱臣いちおみを見ている。口を開いたり閉じたりするのを、じっと待った。

「か、関係者です。」
「そう。」

 朱実あけみ殿下は、一言だけ言った。壱臣いちおみが話すのを待っているんだ。

「……保護してもろて、ありがとうございます。」
「あの怪我は?」
「うちを守って……。」
「怪我したから置いてきたの?」
「……そ、そうです。足手まといやから。」

 痛そうな顔で壱臣いちおみが話す。どこが痛い?

半助はんすけは、おみが無事か知りたいって。」
「それは壱臣いちおみのこと?」

 俺は黙って壱臣いちおみを見る。壱臣いちおみは、うつ向くようにして頷いた。

「無事だって伝えたの?」
「んーん。だって……。」

 俺は、ええんです、の意味を分かってないから。

半助はんすけが、おみが無事ならええんですって言うから。」
「ええんです?」
「もう、それでいいって。」

 俺には分からない。
 おみが無事だと言ったら、半助はんすけはどうなる?

壱臣いちおみも、半助はんすけが無事ならええんですって言う。」

 なんで?会いたくないの?

「俺には難しい。」
「そうか。」

 朱実あけみ殿下はちょっと笑いながら立ち上がった。

壱臣いちおみ殿と半助はんすけとやらの話は成人なるひとに任せようかな。じゃ、私たちは帰るよ。」

 一緒に立ち上がった赤璃あかりさまも笑っていた。

「なる。それはちっとも良くないわ。」

 やっぱり?
 
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