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第四章 西からの迷い人
67 御前会議 2 赤璃
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陛下のお言葉が終わると同時に、バーンと机を叩く音が大きく部屋に響いた。三条の当主である。隣の娘が、ひぃっ、と引きつった悲鳴を上げた。
流石に重鎮、会議の場で陛下の許可をもらう前に発言するような愚は犯さなかった。机を叩くのも、大概だけど。
なるの肩がびくり、と動く。寝てるのに、うるさいおじちゃんよねえ。
緋色がなるの頭を抱え込んで、背中を優しくぽん、ぽん、と叩く。その目は、優しくなるへ向けられていて、音のした方を一瞥もしなかった。
「三条嗣永、静かにせい。成人が寝ておる。さて、何か意見のある者は述べよ。発言を許そう。ただし、あまり大声は上げてくれるな。」
「そのような禁止令を、はいそうですかと受け入れられる訳がありません!」
「三条、大声を出すなと言うたは、聞こえなんだか?」
許可と共に声を張り上げた三条家当主。隣の娘からは、また悲鳴が上がる。
「すみません。三条様のお嬢様の具合が悪そうなので、別室で少しお休み頂いた方がよろしいかと思われます。わたくしが付き添ってもよろしいでしょうか?」
茉璃お義姉さまのおっとりとした声が、少し空気を和ませた。
「私も、三条様のお嬢様の顔色の悪さが気になっておりました。医師として、三条様のお嬢様に付き添ってもよろしいでしょうか?」
生松の提案は受け入れられて、三条の娘と茉璃お義姉さまと生松が三人で退室する。お義姉さまは、あの子の様子が気にかかって、この場に同席していたのだろう。
「三条嗣永。私が何度言えば、この言葉はお前の脳に届くのか。緋色はすでに伴侶がおる。そして我が国は、重婚は認めておらぬ。伴侶のおる緋色への、そなたの親族との婚約の打診を何度断れば納得がいくのだ?」
陛下は三人が退室したのを見計らい、口を開かれた。溜め息をこらえるかのように、一度言葉を切る。
「まだ、私に書類を送るくらいなら、そのうち分かってくれるかと目をつぶっておったが、先ほどの宴の席で目に余る行動があったとの報告を受けておる。よって、緋色の名による禁止令の発行を許可した。」
「陛下まで、そのような、戯言を……。」
握りしめた拳を机の上に置いて、唸るように三条は言った。
「伴侶、伴侶ですと?あの壊れた人形が?緋色殿下の?……そんなにも、三条と縁を繋げたくないと仰られるのか!」
「私は、戯言を言ったことなどない。それに、もともとあった縁を切ったのはそちらだ。確かに、繋げたくないと思っているがな。」
「本音が出られたな!手塩にかけて育てた初花は、七条の姉弟に名による縛りを発令され、緋色殿下から遠ざけられた。七条とばかり繋がりを深め、二条を潰し、次は三条を潰されるおつもりか!」
「うるさいと言うておるのが分からぬか。その頭は飾りか?」
んんー、と緋色の腕の中のなるから声がする。三条は、あまりにうるさいわ。起きてしまったかしら。
「陛下。三条殿に一つお聞きしたいことがあるのですが、よろしいか?」
六条の次期当主、寧子ちゃんの兄が発言した。
「好きに発言するとよい。話を円滑に終わらせたい。」
「ありがとうございます。では、三条殿にお聞きします。あの娘は三条殿の娘、とのことですが、親戚筋からのご養女でいらっしゃいますか?確か、三条殿には娘は初花さんだけだったと記憶しておるのですが。」
流石に重鎮、会議の場で陛下の許可をもらう前に発言するような愚は犯さなかった。机を叩くのも、大概だけど。
なるの肩がびくり、と動く。寝てるのに、うるさいおじちゃんよねえ。
緋色がなるの頭を抱え込んで、背中を優しくぽん、ぽん、と叩く。その目は、優しくなるへ向けられていて、音のした方を一瞥もしなかった。
「三条嗣永、静かにせい。成人が寝ておる。さて、何か意見のある者は述べよ。発言を許そう。ただし、あまり大声は上げてくれるな。」
「そのような禁止令を、はいそうですかと受け入れられる訳がありません!」
「三条、大声を出すなと言うたは、聞こえなんだか?」
許可と共に声を張り上げた三条家当主。隣の娘からは、また悲鳴が上がる。
「すみません。三条様のお嬢様の具合が悪そうなので、別室で少しお休み頂いた方がよろしいかと思われます。わたくしが付き添ってもよろしいでしょうか?」
茉璃お義姉さまのおっとりとした声が、少し空気を和ませた。
「私も、三条様のお嬢様の顔色の悪さが気になっておりました。医師として、三条様のお嬢様に付き添ってもよろしいでしょうか?」
生松の提案は受け入れられて、三条の娘と茉璃お義姉さまと生松が三人で退室する。お義姉さまは、あの子の様子が気にかかって、この場に同席していたのだろう。
「三条嗣永。私が何度言えば、この言葉はお前の脳に届くのか。緋色はすでに伴侶がおる。そして我が国は、重婚は認めておらぬ。伴侶のおる緋色への、そなたの親族との婚約の打診を何度断れば納得がいくのだ?」
陛下は三人が退室したのを見計らい、口を開かれた。溜め息をこらえるかのように、一度言葉を切る。
「まだ、私に書類を送るくらいなら、そのうち分かってくれるかと目をつぶっておったが、先ほどの宴の席で目に余る行動があったとの報告を受けておる。よって、緋色の名による禁止令の発行を許可した。」
「陛下まで、そのような、戯言を……。」
握りしめた拳を机の上に置いて、唸るように三条は言った。
「伴侶、伴侶ですと?あの壊れた人形が?緋色殿下の?……そんなにも、三条と縁を繋げたくないと仰られるのか!」
「私は、戯言を言ったことなどない。それに、もともとあった縁を切ったのはそちらだ。確かに、繋げたくないと思っているがな。」
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「好きに発言するとよい。話を円滑に終わらせたい。」
「ありがとうございます。では、三条殿にお聞きします。あの娘は三条殿の娘、とのことですが、親戚筋からのご養女でいらっしゃいますか?確か、三条殿には娘は初花さんだけだったと記憶しておるのですが。」
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