325 / 1,325
第四章 西からの迷い人
112 普段着なら目立つまい 緋色
しおりを挟む
店の名前もうろ覚えな三郎は当てにならない。弐角は店の名前と主人の顔が分かるらしいから、やはり弐角にも来てもらうか。
「城下町に出たら、何かあるだろ。」
「今日も、いい加減なこと言ってますねえ。その後の取り引きのことも考えてくださいよ。」
「今回は土産だけにしてもいいだろ、長居する気は無いし。」
「まあ、ここの人間のお勧めが分からないんだから、色んな店で買って試してからまた来てもいいですね。急いでるわけじゃなし。」
常陸丸は、とっとと乙羽の所へ帰りたいので、じっくり見て品物を選ぼうとも言わないし話が早い。
俺は成人と一緒に来てるから、もう一泊しようが全然構わないけどな。壱臣がいるから飯も旨いし。
適当に買い物をするつもりなので、普段着で町へ出た。あまり赤の模様が目立たないパーカーと動きやすいズボン。成人にもお揃いのパーカーを着せる。嬉しそうに喜んでいるから、お揃いは好きなんだろう。
靴と靴下を持ってきた荘重も、成人の鞄と財布までは思い付かなかったらしく、忘れてきたことを悔しがっていた。
適当な巾着袋に三千円入れて成人に渡す。足りなきゃ力丸が上手くやるだろ。
「借りるね。返すね。」
「分かってる。」
ふんふーん、と鼻歌が聞こえている。いつも同じ、オルゴールの一節。店に行ったことがない三郎に驚いていたが、お前もほんの一年半前まで行ったこと無かっただろう?当たり前のような顔して仕事して、お金を持って買い物に出かけているのが可笑しい。成人は店屋で品物を見るのが好きらしく、ただ見て帰ってくることも多い。
あまり大人数で行きたくなかったが、九鬼の三兄弟と半助、才蔵、常陸丸に力丸、成人、荘重となると、一台では乗りきれず、車を二台出すことになった。
「わしも酒屋へ行きたいんだが?」
と、駄々を捏ねた利胤は留守番だ。九鬼の城の厨房の酒の貯蔵庫から、幾つか土産を貰えるように頼んだら、張り切って留守番に回ってくれた。本当は力丸も置いて行きたかったが、三郎が懐いてるからな。三郎は、他の者の側ではずっと萎縮している。そのままじゃ買い物の勉強にならないし、仕方ない。
荘重も成人から離れる気が無いし、まあ、ひとかたまりになっていなければ、そんなに目立つこともないだろ。全員、軍服は脱がせたしな。
城から車で十分も走れば、「奥方様御用達」の幟を掲げた、こじんまりとした店が見えた。
「城下町に出たら、何かあるだろ。」
「今日も、いい加減なこと言ってますねえ。その後の取り引きのことも考えてくださいよ。」
「今回は土産だけにしてもいいだろ、長居する気は無いし。」
「まあ、ここの人間のお勧めが分からないんだから、色んな店で買って試してからまた来てもいいですね。急いでるわけじゃなし。」
常陸丸は、とっとと乙羽の所へ帰りたいので、じっくり見て品物を選ぼうとも言わないし話が早い。
俺は成人と一緒に来てるから、もう一泊しようが全然構わないけどな。壱臣がいるから飯も旨いし。
適当に買い物をするつもりなので、普段着で町へ出た。あまり赤の模様が目立たないパーカーと動きやすいズボン。成人にもお揃いのパーカーを着せる。嬉しそうに喜んでいるから、お揃いは好きなんだろう。
靴と靴下を持ってきた荘重も、成人の鞄と財布までは思い付かなかったらしく、忘れてきたことを悔しがっていた。
適当な巾着袋に三千円入れて成人に渡す。足りなきゃ力丸が上手くやるだろ。
「借りるね。返すね。」
「分かってる。」
ふんふーん、と鼻歌が聞こえている。いつも同じ、オルゴールの一節。店に行ったことがない三郎に驚いていたが、お前もほんの一年半前まで行ったこと無かっただろう?当たり前のような顔して仕事して、お金を持って買い物に出かけているのが可笑しい。成人は店屋で品物を見るのが好きらしく、ただ見て帰ってくることも多い。
あまり大人数で行きたくなかったが、九鬼の三兄弟と半助、才蔵、常陸丸に力丸、成人、荘重となると、一台では乗りきれず、車を二台出すことになった。
「わしも酒屋へ行きたいんだが?」
と、駄々を捏ねた利胤は留守番だ。九鬼の城の厨房の酒の貯蔵庫から、幾つか土産を貰えるように頼んだら、張り切って留守番に回ってくれた。本当は力丸も置いて行きたかったが、三郎が懐いてるからな。三郎は、他の者の側ではずっと萎縮している。そのままじゃ買い物の勉強にならないし、仕方ない。
荘重も成人から離れる気が無いし、まあ、ひとかたまりになっていなければ、そんなに目立つこともないだろ。全員、軍服は脱がせたしな。
城から車で十分も走れば、「奥方様御用達」の幟を掲げた、こじんまりとした店が見えた。
1,390
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる