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第五章 それは日々の話
10 焼きについての考察 2 広末
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「この、たこ焼きってのは、三郎も食べたんだな。今日はどうしている?休み?部屋にいるか?呼んできてくれ。」
この二人の話では埒があかない、ともう一人の証言者を呼ぶことにした。力丸が身軽に走っていく。成人を椅子に座らせながら聞いた。
「三郎の生まれ故郷の食べ物なんだろ?」
「うん……?でも初めて食べたって。」
「え?初めて食べた?」
どうなってるんだか。
「あの人、上品な感じするから、こんな屋台の食べ物みたいなものは知らないとか?」
「かもなあ。」
村次が、話しながらお茶を入れて机に置いていく。成人が立ち上る湯気をぱたぱたと扇いでいる。自分で、熱いものに気を付けるようになってきたじゃねえか。
力丸は、すぐに三郎を連れて帰ってきた。お邪魔します、と丁寧に頭を下げて入ってくる。厨房の休憩スペースに、そんな丁寧な挨拶いらねえのに。……確かに上品だ。
「おかえり。」
「おかえりなさい。」
俺と村次が言うと、三郎はびっくりして目を見開いた。
「え、あ……。」
きょろ、と辺りを見回して力丸に首を傾げられている。
「あ、えと、ただいま帰りました……?」
ぶはっと吹き出してしまった。何で疑問型なんだ?お前に言ってんだよ。村次も、ぶふっと口を押さえている。
「え?え?なに?」
「まあいいや、座ろうぜ。」
三郎も力丸に促されて席に着いた。
「で、これなんだけどよ。」
「あ、たこ焼き。」
「お前も初めて食べたって?」
「はい。」
「お前の故郷の食べ物じゃねえのか?」
「はい。あの、作っていた方の訛りがきつかったので、更に西の地域の物やないかと……。」
「へ?そうなの?話し方、似てたけど。」
お茶をすすった力丸が、驚いた声を上げる。聞き慣れない者にしたら、似たような話し方なんだな、きっと。
「うーん、そうか。白いの入れてたこ入れて、棒一本で丸くなる……。」
「つまり、団子みたいに丸めてから焼く訳じゃないってこと?」
うーん、と考え込んだ村次が、じいさま、と仕方なさそうに声を上げた。そう言えば湯呑みが一つ多い。
「丸い焼き型に生地を入れておりました。」
瞬きの間に、空いてる席に荘重さまが座って、一つ余っていたお茶をすする。
「こんな感じで……。」
取り出した白い紙に四角を描いて、四角の中に丸を等間隔に描いていく。
「ああ、成る程。」
俺は思わず声を上げた。
映像が見えてきたぞ。
「半円の中に生地と具を入れて、固まったら棒で引っくり返すと丸くなっていた、と思う。」
荘重さまにしては、自信なさげだ。
「半円の中にしか材料を入れていないのに、出来上がると丸くなっておるんでな、本当にそれだけなのか確信が持てぬ。」
「焼くと膨らむんですよ。」
「あ、ああ。成る程……。」
孫の冷たい返事に、はっと目を見開いているのが可笑しい。荘重さまの驚き顔なんて、初めて見たな。
それにしても、特別な焼き型か……。
この二人の話では埒があかない、ともう一人の証言者を呼ぶことにした。力丸が身軽に走っていく。成人を椅子に座らせながら聞いた。
「三郎の生まれ故郷の食べ物なんだろ?」
「うん……?でも初めて食べたって。」
「え?初めて食べた?」
どうなってるんだか。
「あの人、上品な感じするから、こんな屋台の食べ物みたいなものは知らないとか?」
「かもなあ。」
村次が、話しながらお茶を入れて机に置いていく。成人が立ち上る湯気をぱたぱたと扇いでいる。自分で、熱いものに気を付けるようになってきたじゃねえか。
力丸は、すぐに三郎を連れて帰ってきた。お邪魔します、と丁寧に頭を下げて入ってくる。厨房の休憩スペースに、そんな丁寧な挨拶いらねえのに。……確かに上品だ。
「おかえり。」
「おかえりなさい。」
俺と村次が言うと、三郎はびっくりして目を見開いた。
「え、あ……。」
きょろ、と辺りを見回して力丸に首を傾げられている。
「あ、えと、ただいま帰りました……?」
ぶはっと吹き出してしまった。何で疑問型なんだ?お前に言ってんだよ。村次も、ぶふっと口を押さえている。
「え?え?なに?」
「まあいいや、座ろうぜ。」
三郎も力丸に促されて席に着いた。
「で、これなんだけどよ。」
「あ、たこ焼き。」
「お前も初めて食べたって?」
「はい。」
「お前の故郷の食べ物じゃねえのか?」
「はい。あの、作っていた方の訛りがきつかったので、更に西の地域の物やないかと……。」
「へ?そうなの?話し方、似てたけど。」
お茶をすすった力丸が、驚いた声を上げる。聞き慣れない者にしたら、似たような話し方なんだな、きっと。
「うーん、そうか。白いの入れてたこ入れて、棒一本で丸くなる……。」
「つまり、団子みたいに丸めてから焼く訳じゃないってこと?」
うーん、と考え込んだ村次が、じいさま、と仕方なさそうに声を上げた。そう言えば湯呑みが一つ多い。
「丸い焼き型に生地を入れておりました。」
瞬きの間に、空いてる席に荘重さまが座って、一つ余っていたお茶をすする。
「こんな感じで……。」
取り出した白い紙に四角を描いて、四角の中に丸を等間隔に描いていく。
「ああ、成る程。」
俺は思わず声を上げた。
映像が見えてきたぞ。
「半円の中に生地と具を入れて、固まったら棒で引っくり返すと丸くなっていた、と思う。」
荘重さまにしては、自信なさげだ。
「半円の中にしか材料を入れていないのに、出来上がると丸くなっておるんでな、本当にそれだけなのか確信が持てぬ。」
「焼くと膨らむんですよ。」
「あ、ああ。成る程……。」
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それにしても、特別な焼き型か……。
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