【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第五章 それは日々の話

25 今日も幸せ  成人

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 俺は、俺のお布団で昼寝をする。お昼ご飯を食べたら、お布団に行くのだ。
 今日は楽しかった。久しぶりに商店街に行って歩いたなあ。商店街は、いつでも楽しい。でも、端から端まで歩くと後ですっごく疲れてしまう。
 三郎さぶろうとお買い物するのも楽しかった。三郎さぶろう半助はんすけが着てるようなお洋服ばかり見てたけど、黒じゃなくて、黄色とか緑とかも似合いそうなのになあ。でも、半助はんすけが着てるような服ばっかり買ってたな。半助はんすけは格好いいから真似したいのかも。
 それはちょっと分かる。俺も、くまの服とか可愛い靴下が好きだけど、緋色ひいろとおんなじ服も着たい。おんなじ服を着てると、緋色ひいろみたいに格好良くなれたり強くなれたりする気がする。……三郎さぶろうは、半助はんすけみたいになりたいのかな。

三郎さぶろうの服は買えたか?」

 食堂の座椅子に座ってお水を飲んでいたら、緋色ひいろもご飯を食べに来た。

「買えた。水瀬みなせに見せてる」 
「そうか。良くやった」

 わ、褒められた。
 座椅子から出て、隣に座った緋色ひいろの膝の上に向い合わせで座る。ぎゅっと抱きついたら、緋色ひいろもぎゅっとしてくれた。

「お前は何か買ってきたのか?」
「んーん、無い」
「そうか」
「服屋さんが、くま可愛いって。仕入れ?したいって」

 そうだ、仕入れを辞書で引こうと思ってたんだった。

「はは。流石、目敏い」

 目敏い?また調べる言葉が増えたぞ。
 緋色ひいろが俺の背中をぽんぽんしながら笑う。

「仕入れって何?って聞かないのか?」
「辞書で調べるからいい」
「そうか」

 緋色ひいろの目が細くなる。それは何の顔?笑ってるから、良い感じの気持ちだよね?こういうことは、辞書で調べられないから困っちゃう。

「だが、くまは売りたくないなあ。あんまりあちこちで着てる奴がいるのは嫌だな」
乙羽おとわとおれだけ?」
「そう。くまはお前と乙羽おとわだけ。ま、まだまだ生地が高いしその辺の奴らに気楽に買える値段じゃ無いから、見本としてうさぎを出させるか。はは。衣装部にまた儲け話だな」

 儲け話?後で調べよう。ああ、調べることがどんどん増える。辞書で調べる言葉を書くためのメモ帳と鉛筆を持ち歩かないといけない。

「衣装部に服屋さんの話をする?」
「そうだな、今日じゃなくてもいいから、行けるときに行って来てくれ。手紙を書いておく」
「うん。お昼寝するから明日」
「昼寝するのか」
「俺のお布団で寝る」

 夜は、緋色ひいろと一緒じゃないとなかなか寝れないって分かったから、昼寝の時にお布団を使うことにした。俺のお布団で一緒に寝ると緋色ひいろがはみ出しちゃうし。
 赤璃あかりさまにもらったくまと一緒に寝るんだー。

「そうか。いいな」

 緋色ひいろがまた、ぎゅっと抱いてくれたから気持ち良くて、お昼ご飯食べる前に寝そうだった。
 今日も幸せ。
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