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第五章 それは日々の話
164 軽口に混じる本当の話 三郎
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「何だ?」
「空いている部屋を一つ、本や資料を置く場所にしたいのです」
「ほう」
とうに朝食を食べ終えて、まだ一生懸命食べている成人さまの座椅子となっていた緋色殿下が、それなりに聞く姿勢を見せる。
「睦峯先生のお部屋が本や資料で埋まってきて、片付けても片付けても散らかるんです」
「お前が片付けてるのか?甘やかすなよ」
はあ、と斎さんがため息にも似た声を落とす。
「放っておいたら、足を踏み入れることもできなくなりますので」
「睦峯、お前……。追い出すぞ」
「ええっ。それは困ります!勘弁してください」
睦峯先生が、殿下の言葉に慌てている。
「殿下。うちの子を追い出さんでくれ」
「うるさい。こいつは成人を実験動物にしようとした前科があるんだよ」
「う……。その節は……」
「睦峯はご飯くれた。トイレも連れて行ってくれた」
一体、どんな事件があったのか。詳細が気にかかる。実験動物って……。きっと治療に必要な処置があったんやろな。成人さまは、あまり体が丈夫ではないようやから。
「成人。庇ってるつもりだろうが、言えば言うほど俺の怒りを思い出させてるからな」
「えええ。えーと、えーと。睦峯は……」
「成人、ちょっと黙っててください。殿下、図書室の設置の話です」
わあわあと、色んな言葉が飛び交うのを聞く。殿下の言葉が厳しくて、はらはらしていたけど、そんなに深刻ではないらしい。
「私も資料の置き場所が欲しいです。実は私の部屋も少々、その、手狭になってきて」
生松先生が話に加わった。
「執務室の資料や仮置きの書類も、纏めて置くようにしたらどうでしょう」
「好きにしたらいいぞ。一階に倉庫みたいな部屋が空いていただろ」
殿下は軽く了承する。
え?
「ありがとうございます。本棚などは、自分達で購入致しますので、掃除や搬入の際に少し、使用人の手をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「いや、資料部屋なんだから本棚も経費で買おう。朱実に買わせるから、はじめから部屋一杯に本棚を設置してしまえ。上等なの買え、上等なの」
今までのやり取りは何だったんだ?
私には、ぽんぽんと流れる会話が、どこまでが軽口でどこからが本気なのかが分からない。
「それと、睦峯と斎は二人部屋に移れ。掃除が一度で済んで楽だろ」
「へ?」
「え?」
お二人から間抜けな声が漏れる。
「何だ?二部屋掃除するより斎の手間が省けるだろ」
少し顔を赤くした斎さんが、そうですね、と呟いた。
睦峯先生と二人部屋なら、斎さんが体調を崩した時にすぐ治療ができて良いやろな。
殿下の慧眼に、私はただただ感心するばかりだった。
「空いている部屋を一つ、本や資料を置く場所にしたいのです」
「ほう」
とうに朝食を食べ終えて、まだ一生懸命食べている成人さまの座椅子となっていた緋色殿下が、それなりに聞く姿勢を見せる。
「睦峯先生のお部屋が本や資料で埋まってきて、片付けても片付けても散らかるんです」
「お前が片付けてるのか?甘やかすなよ」
はあ、と斎さんがため息にも似た声を落とす。
「放っておいたら、足を踏み入れることもできなくなりますので」
「睦峯、お前……。追い出すぞ」
「ええっ。それは困ります!勘弁してください」
睦峯先生が、殿下の言葉に慌てている。
「殿下。うちの子を追い出さんでくれ」
「うるさい。こいつは成人を実験動物にしようとした前科があるんだよ」
「う……。その節は……」
「睦峯はご飯くれた。トイレも連れて行ってくれた」
一体、どんな事件があったのか。詳細が気にかかる。実験動物って……。きっと治療に必要な処置があったんやろな。成人さまは、あまり体が丈夫ではないようやから。
「成人。庇ってるつもりだろうが、言えば言うほど俺の怒りを思い出させてるからな」
「えええ。えーと、えーと。睦峯は……」
「成人、ちょっと黙っててください。殿下、図書室の設置の話です」
わあわあと、色んな言葉が飛び交うのを聞く。殿下の言葉が厳しくて、はらはらしていたけど、そんなに深刻ではないらしい。
「私も資料の置き場所が欲しいです。実は私の部屋も少々、その、手狭になってきて」
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「執務室の資料や仮置きの書類も、纏めて置くようにしたらどうでしょう」
「好きにしたらいいぞ。一階に倉庫みたいな部屋が空いていただろ」
殿下は軽く了承する。
え?
「ありがとうございます。本棚などは、自分達で購入致しますので、掃除や搬入の際に少し、使用人の手をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「いや、資料部屋なんだから本棚も経費で買おう。朱実に買わせるから、はじめから部屋一杯に本棚を設置してしまえ。上等なの買え、上等なの」
今までのやり取りは何だったんだ?
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「それと、睦峯と斎は二人部屋に移れ。掃除が一度で済んで楽だろ」
「へ?」
「え?」
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「何だ?二部屋掃除するより斎の手間が省けるだろ」
少し顔を赤くした斎さんが、そうですね、と呟いた。
睦峯先生と二人部屋なら、斎さんが体調を崩した時にすぐ治療ができて良いやろな。
殿下の慧眼に、私はただただ感心するばかりだった。
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