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第五章 それは日々の話
198 ほろ酔い 緋色
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「あれ?もう帰られます?」
待機している護衛たちの部屋は隣にある。常陸丸を呼べば、すぐに出てきて驚いた顔を見せた。確かに例年、朱実に捕まって帰りが遅くなってしまうことが多い。こんな時間に呼ばれるとは、予想もしていなかったか。
「成人がいるから早いかな、とは思ってましたけど、予想よりも早かったっすね。寝てるんですか?」
「んーん」
腕の中で、目をつぶって大人しい成人が返事をする。まだ、寝ていなかったか。
「ん?どうした?酒でも飲んだか?」
「んー。飲んでない。頭痛い……」
「失礼します」
その言葉を聞いて、後ろにいた生松が、そっと成人の額に触れる。右目を開かせ、頬に触れ、首すじを確認して、
「もう少し、お水を飲みましょうか」
と、言った。振り返って、後ろの人物にも笑いかける。
「緋椀さまも、水を飲んでください」
作治に肩を抱かれる形で移動していた緋椀は、移動中に落ち着いたらしく、もう大丈夫です、と眉を下げる。
素早く水を運んできた常陸丸が、二人を見比べて首を傾げた。
「何してたんです?」
「じゃんけん」
「は?」
「緋椀とじゃんけんしたら、疲れた」
「…………」
しばらく考えた常陸丸は、
「いや。分かんねえ」
と、唐突に言った。うるさい奴だな。
「車出してくれ。皆で帰るぞ。緋椀と作治もうちで泊まるか?」
「あ、それは有り難いです」
「え?え、でも……」
「最近、いい香油が手に入るようになってな。お前らに渡そうと思っていた」
「なんと。それは是非」
「は?はあ?こ、こんなところで、な、な、何を話して」
「ははははは」
ははっ。
いい反応だ。
「程よく酔っ払ってますね」
「ふふん。そんなに飲んじゃいねえよ」
「はいはい。酔っ払いは皆、そう言うんですよ」
「わしは、まだまだいけたんだがなあ」
「十分ですよ、義父上」
「年をお考えください」
九条家も、それなりに過ごせたようでなによりだ。
「無事か、三郎」
意外とけろりとしているな。
「はい。困ったことに、普段の生活より、どうすれば良いかが分かったというか、特に何ということもなく……」
「はははっ。斎は?」
「緊張はしましたけれど、美味しいお料理を堪能致しました。睦峯もおりますし」
医師二人が、はあっと溜め息を吐く。
「料理の味かあ」
「修行が足りませんね」
こんなもん、年に一度、ほんの数時間のことだ。気にすんな。
「利胤。いい日だな」
「殿下!わしは幸せ者じゃ!」
腕の中の成人が、ほんの少し重くなる。寝たかな。
「で、なんでじゃんけんが疲れるんです?」
七条の護衛に、緋椀たちがうちへ帰る旨を伝えて歩きだすと、常陸丸が尋ねてきた。
「ははははは」
きっと成人とじゃんけんをしたら、お前も真剣になるだろうな。
待機している護衛たちの部屋は隣にある。常陸丸を呼べば、すぐに出てきて驚いた顔を見せた。確かに例年、朱実に捕まって帰りが遅くなってしまうことが多い。こんな時間に呼ばれるとは、予想もしていなかったか。
「成人がいるから早いかな、とは思ってましたけど、予想よりも早かったっすね。寝てるんですか?」
「んーん」
腕の中で、目をつぶって大人しい成人が返事をする。まだ、寝ていなかったか。
「ん?どうした?酒でも飲んだか?」
「んー。飲んでない。頭痛い……」
「失礼します」
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「何してたんです?」
「じゃんけん」
「は?」
「緋椀とじゃんけんしたら、疲れた」
「…………」
しばらく考えた常陸丸は、
「いや。分かんねえ」
と、唐突に言った。うるさい奴だな。
「車出してくれ。皆で帰るぞ。緋椀と作治もうちで泊まるか?」
「あ、それは有り難いです」
「え?え、でも……」
「最近、いい香油が手に入るようになってな。お前らに渡そうと思っていた」
「なんと。それは是非」
「は?はあ?こ、こんなところで、な、な、何を話して」
「ははははは」
ははっ。
いい反応だ。
「程よく酔っ払ってますね」
「ふふん。そんなに飲んじゃいねえよ」
「はいはい。酔っ払いは皆、そう言うんですよ」
「わしは、まだまだいけたんだがなあ」
「十分ですよ、義父上」
「年をお考えください」
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意外とけろりとしているな。
「はい。困ったことに、普段の生活より、どうすれば良いかが分かったというか、特に何ということもなく……」
「はははっ。斎は?」
「緊張はしましたけれど、美味しいお料理を堪能致しました。睦峯もおりますし」
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「料理の味かあ」
「修行が足りませんね」
こんなもん、年に一度、ほんの数時間のことだ。気にすんな。
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「で、なんでじゃんけんが疲れるんです?」
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きっと成人とじゃんけんをしたら、お前も真剣になるだろうな。
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