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第六章 家族と暮らす
43 遊びにきた友達 弐角
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「若殿。観光地の辺りで、なんや目立つ客がおるらしい」
城でそんな報告を受けたんは、昼過ぎ。
「なんや目立つってなんや。それ、俺に報告いるか?」
「いやそれが、ほんまに目立っとって」
「騒ぎになっとんか」
「いや。近寄りがたくて遠巻きにしとるから、騒ぎにはなっとらんらしい。騒ぎにはなっとらんっていうのがまた、気にならへんか?」
「へえ?」
どこぞの偉いさんが来るという連絡は受けとらんし、お忍びで誰ぞ来とるんやとしたら、忍べとらんやん?間抜けなことやで。
あ、もしかして。
「劇団の人気役者なんかが休みに出歩いて、気付かれてしもたんちゃう?」
「劇団の人気役者やったら遠巻きや無うて、もみくちゃやろ」
「そうかあ」
仕事をしながら側近とそんな呑気な会話をしたすぐ後に、えらいことになるとは夢にも思わんかった……。
「弐角さま!」
「若殿!」
部屋に居た護衛の才蔵や側近たちが喚いたのは仕方ないと思う。気付けば後ろに立たれていたらしい。
才蔵の声に振り向いた俺が見たのは、持ち上げかけた銃を押さえられて、腕を一本捻られた上に両足を踏まれた才蔵だった。
「こんにちは、弐角さま。お久しぶりでございます」
にこやかに話しかけてくるじい様は、緋色殿下配下の恐ろしい二人のじい様の内の一人じゃないか!
「あ、はあ。一ノ瀬の。久しいな……」
「突然お邪魔して申し訳ございません。緋色殿下から急ぎの手紙を預かって参りまして、不躾な真似をしてしまいました」
一ノ瀬のじい様は才蔵から手を離して、折り畳んだだけの用紙を一つ渡してきた。そうしてから、顔を引きつらせて震えている才蔵の肩を、ぽんぽんと宥めている。
駆け付けた兵が幾人か銃を構えとるのに、全く焦る様子もない。
属国とはいえ他国の城の最奥の執務室に忍び込んで手紙を届けに来るとか、正気の沙汰やないやろ。冷や汗が背中を濡らしていく。うちの城の警備、そんなにあかんかな……。
とりあえず、白い用紙に適当に書かれた用件に目を通す。時候の挨拶も何もないそれを、手紙とは呼ばん。
『弐角へ。遊びにきた。できればもう少し遊んで帰りたい。泊まれる場所を教えてくれ。緋色』
「…………」
目立つ客って、緋色殿下のことかー!そりゃ目立つやろな。あの人忍ばんよな。皆、遠巻きになるわな。誰が近寄れるか!てか、何人で来てんの。宿、無かったん?ちゃんとした宿、いきなり空いてへんよな。うち、結構観光で有名な街やもん。今は気候もええし、賑わってるやろ。事前に連絡……。
あ、これが事前の連絡か。
頭ん中が、ぐちゃぐちゃしてきた。
「あー。えーと。そや」
まずはこの物騒な現場から片付けなあかんな。
「お前ら下がってええ。知り合いや。見ての通り、才蔵が手も足も出ん相手や。おってもしゃあないから、持ち場に戻り」
「しかし、若」
「このお人の帰りが遅かったら、まだまだ怖いお人が次々来んで。ええから、気い引き締めて持ち場におり」
兵を何とか持ち場に帰し、側近たちにも座れと命じる。
「し、し、死んだかと思た……」
真っ青な顔の才蔵も下がらせてやりたいが、一ノ瀬のじい様がそれを望んではいないようやから、申し訳ないが置いておこう。
それから、なんやっけ?
そや。確認、大事。
「えーと。殿下は何人でお越しですか?」
城でそんな報告を受けたんは、昼過ぎ。
「なんや目立つってなんや。それ、俺に報告いるか?」
「いやそれが、ほんまに目立っとって」
「騒ぎになっとんか」
「いや。近寄りがたくて遠巻きにしとるから、騒ぎにはなっとらんらしい。騒ぎにはなっとらんっていうのがまた、気にならへんか?」
「へえ?」
どこぞの偉いさんが来るという連絡は受けとらんし、お忍びで誰ぞ来とるんやとしたら、忍べとらんやん?間抜けなことやで。
あ、もしかして。
「劇団の人気役者なんかが休みに出歩いて、気付かれてしもたんちゃう?」
「劇団の人気役者やったら遠巻きや無うて、もみくちゃやろ」
「そうかあ」
仕事をしながら側近とそんな呑気な会話をしたすぐ後に、えらいことになるとは夢にも思わんかった……。
「弐角さま!」
「若殿!」
部屋に居た護衛の才蔵や側近たちが喚いたのは仕方ないと思う。気付けば後ろに立たれていたらしい。
才蔵の声に振り向いた俺が見たのは、持ち上げかけた銃を押さえられて、腕を一本捻られた上に両足を踏まれた才蔵だった。
「こんにちは、弐角さま。お久しぶりでございます」
にこやかに話しかけてくるじい様は、緋色殿下配下の恐ろしい二人のじい様の内の一人じゃないか!
「あ、はあ。一ノ瀬の。久しいな……」
「突然お邪魔して申し訳ございません。緋色殿下から急ぎの手紙を預かって参りまして、不躾な真似をしてしまいました」
一ノ瀬のじい様は才蔵から手を離して、折り畳んだだけの用紙を一つ渡してきた。そうしてから、顔を引きつらせて震えている才蔵の肩を、ぽんぽんと宥めている。
駆け付けた兵が幾人か銃を構えとるのに、全く焦る様子もない。
属国とはいえ他国の城の最奥の執務室に忍び込んで手紙を届けに来るとか、正気の沙汰やないやろ。冷や汗が背中を濡らしていく。うちの城の警備、そんなにあかんかな……。
とりあえず、白い用紙に適当に書かれた用件に目を通す。時候の挨拶も何もないそれを、手紙とは呼ばん。
『弐角へ。遊びにきた。できればもう少し遊んで帰りたい。泊まれる場所を教えてくれ。緋色』
「…………」
目立つ客って、緋色殿下のことかー!そりゃ目立つやろな。あの人忍ばんよな。皆、遠巻きになるわな。誰が近寄れるか!てか、何人で来てんの。宿、無かったん?ちゃんとした宿、いきなり空いてへんよな。うち、結構観光で有名な街やもん。今は気候もええし、賑わってるやろ。事前に連絡……。
あ、これが事前の連絡か。
頭ん中が、ぐちゃぐちゃしてきた。
「あー。えーと。そや」
まずはこの物騒な現場から片付けなあかんな。
「お前ら下がってええ。知り合いや。見ての通り、才蔵が手も足も出ん相手や。おってもしゃあないから、持ち場に戻り」
「しかし、若」
「このお人の帰りが遅かったら、まだまだ怖いお人が次々来んで。ええから、気い引き締めて持ち場におり」
兵を何とか持ち場に帰し、側近たちにも座れと命じる。
「し、し、死んだかと思た……」
真っ青な顔の才蔵も下がらせてやりたいが、一ノ瀬のじい様がそれを望んではいないようやから、申し訳ないが置いておこう。
それから、なんやっけ?
そや。確認、大事。
「えーと。殿下は何人でお越しですか?」
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