【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第六章 家族と暮らす

104 ふわふわの髪の毛で良かった  成人

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 朱音あかね殿下が起きた、と聞いて大喜びで小さなベッドの側に行った。
 ふにゃ、ふにゃあと可愛い声で泣いている。赤ちゃんってのは泣いてても可愛いなあ。お世話係の玉乃井たまのいは、朱音あかね殿下が泣いてても慌てず、落ち着いておむつを替えた。それから赤璃あかりさまが抱っこした。
 すぐに泣き止んだから、きっと抱っこしてほしかったんだねえ。抱っこいいねえ。良かったねえ。
 朱音あかね殿下を抱っこしてソファに座った赤璃あかりさまの横に座って、小さな頭を撫でる。ふわふわの髪の毛は、母さまに似てる気がした。

「母さまみたいな髪の毛だ」
「なるの髪も似てるわよ」

 赤璃あかりさまが返事をくれた。元気になったかな?さっきから、あんまり喋ってなかったから。赤璃あかりさまを元気にできるなんて、小さいのに朱音あかね殿下はすごいな。俺では元気にできなかったのに。

「俺も?」
「そう。ふわふわで可愛いわ」
「へへ」

 俺に似てる何かなんて今まで無かった。本当に?母さまと俺と朱音あかね殿下の髪の毛、似てる?
 嬉しくて、朱音あかね殿下の髪の毛をまたそっと撫でる。
 俺は本当に幸せだなあ。
 その時、扉がトントンと小さく叩かれた。朝桐あさぎりの開けた扉から入ってきたのは朱実あけみ殿下だった。
 俺は立ち上がって包拳礼の真似事をする。左手が無いから、似た形にすることしかできないけれど、緋色ひいろがいつもマッサージをしてくれて、左の腕をだいぶ動かせるようになっているから、右手を肘の辺りに置くことができるようになった。この形、格好いい。こうして礼を取って頭を下げることができるようになったのはちょっと嬉しい。

「なる。そんなことしなくていいわ。腕が痛むでしょう」 

 左腕をぐい、と引っ張ってるから少し痛いけど、するべきことができるようになったことが嬉しい。
 あ。
 もしかしてこれって、赤璃あかりさまや朱音あかね殿下にもするべきことだったかな。後で聞いてみよう。

「楽にしてくれて構わないよ」

 朱実あけみ殿下の声に腕を下ろす。ちょっと痛かった。

「もう、無茶をして」

 下ろした左腕を右手でさすっていると、朱音あかね殿下を玉乃井たまのいに預けた赤璃あかりさまが寄ってきて、俺の左腕をさすりながらソファに座らせた。赤璃あかりさまも横に座るけど、いいのかな。いつも朱実あけみ殿下が横に座るよね。
 朱実あけみ殿下の方を見ると、少しだけ笑ったような顔でこちらを見ていた。あれだ。前に聞いたことがある。皇族のお仕事用の顔だ。俺はあんまり好きじゃないけど、お仕事の時は必要なやつ。
 あれ?でも今、お仕事じゃないよね?
 緋色ひいろは自分のお部屋で、お仕事用の顔なんて絶対にしないよ?
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