【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第六章 家族と暮らす

121 十八歳ってすごい  成人

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つぐさま、おめでとうございます。あの、私も手拭いなんですけど、使って頂けますか」

 あ、鼓与ことも?一緒だ。

「ありがとう。使うに決まってるだろ」
「嬉しいです」

 鼓与ことがにこっと笑った。

「二つ持ってく?」
「ん?」
「試験の時」
「はは。うん。持ってく。手、拭きまくる」
「拭きまくるの?」
「両方使わなきゃならないからな、二つ腰にぶら下げて拭くわ」
「三つになるけど、いいか」
「あ、力丸りきまる

 力丸りきまる村次むらつぐに手拭いをプレゼント?わ、皆一緒だ。

「俺ってそんなに手、拭いてる?」
「拭いてる拭いてる」
「拭いてねえよ」

 あはは、と笑ってるうちに、他にもプレゼントを持った人が来た。手拭い、結構あるよ?試験の時、どうする?

「試験の時は、全部鞄に詰めていくよ。そんで金魚と南瓜をぶら下げとくわ」

 鼓与ことの手拭いは南瓜の柄だ。

「何で南瓜?」

 力丸りきまるが、大きいままの切ってない南瓜や半分に切った南瓜が端の方に不規則に並ぶ手拭いを広げて首を傾げている。緑と黄色、種がちょっと白っぽくて何だか色が綺麗。

「南瓜とピーマンと茄子とトマトの柄があったんです。ピーマンとどっちにしようか迷ったんですけど、南瓜にしました」
「ピーマンと二択?だから何で南瓜?」
「食べ物の柄がいいなあと思って。私、南瓜好きですし」
「緑が好き、とかでもないの?」
「あ、緑はその、良い色ですし」

 村次むらつぐ、緑色好きだよね。持ち物にその色が多い気がする。それに、その手拭いは、

「色が綺麗」

 俺が言うと、鼓与ことがうんうんと頷いた。

「ですよね?綺麗ですよね、南瓜」

 うんうん。

「綺麗?それよりさあ、俺のこの派手な花火の柄よくない?ぶら下げてたら目立つぜ」
「目立ってどうすんだよ」
「いや、何か格好いいかなと思って」
「格好いい?そうかも!」
「だろ?」

 力丸りきまるがにこにこになる。村次むらつぐもくつくつ笑った。

成人なるひと、格好いいの好きだな。でも、買ってくれた金魚の手拭いは綺麗なのな」
「金魚はねえ、うん。やっぱり好き」
「うちで飼わねえの?玄関とかにいたら、俺、餌やりしちゃうなあ」

 力丸りきまるは、いっぱい餌をあげちゃいそう。

「あげすぎたら駄目なんだよ」
「そしたら、当番決めようぜ。今日は俺の順番、とか」
「じゃ次の日、俺ね」
「名前表作んなきゃな」
「え?本当に金魚、飼うの?」

 村次むらつぐに言われて気付いた。

「え?あれ?うーん、どうしようかな。俺、ずっと見ちゃいそうだからなあ」
「あー、それな。成人なるひと、動物園行ったら、ぞうのことずっと見てるもんな」
「そうなんですか?ぞう、いいですよね、大きくて」
「可愛いし、大きくて格好いいよね」
「分かります。私も動物園に行った時、入り口の近くのぞうをずっと見てました」

 鼓与こと、気が合うね。

「動物園かあ。小学校の遠足で行ったきりだな。あんまり覚えてない。虎は格好良かったけど、今いないんだよな」
「今度、鼓与ことと行ってきたら?」
「この年齢としで行って楽しいか?」
「楽しいよ」
「ふーん。ま、調理師免許取ってからだなあ。ついでに車の免許も取りたい。運転の練習に、動物園行ってもいいかもなあ」

 鼓与ことが真っ赤な顔で、楽しみです、と笑った。
 いいねえ。十八歳って色んなことができるようになってすごい。
 俺もおんなじ十八歳だから、できることが増えていくんだろうなあ。楽しみだな。
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