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第七章 冠婚葬祭
44 それは大切な時間 緋色
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「何をして来たんだ?」
機嫌良く、膝の上に収まっている細い体を抱きしめる。後は寝るだけの、静かな夜の時間。この時間が、とてつもなく好きだ。
今日は、一条の家に招かれて行っていたはずだが、自分から話し出す程では無かったのか、成人はふわふわと笑っているばかりだ。楽しかった様子を思い出しているのか、ただ俺の腕の中にいるのが幸せなのか。
まあ、どちらもだろう。
成人が、俺の腕の中にいる時に幸せを感じているのは疑いようもない。……俺も、幸せだからな。
「灯可と見可に、赤ちゃんのお話してきた」
うん、そうだな。行くと言っていたな。初めて一人で、よその家を訪ねたのだろう?末良の所に行く時は、いつも乙羽と一緒だった。あちらは気軽な庶民の家だ。
立派な屋敷に正式に招かれて、応接室に通されるような体験は初めてだっただろう。まあ、とても良く知った者たちの家だから、何をしても微笑ましく見てもらえるのだろうが、失敗すると本人が落ち込むからな。楽しく済んだようで良かった。
「水ようかん、食べた」
「……へえ。美味しかったか」
うん?かなり話が飛んだな?
「美味しかった。すごく、すごーくやわらかかった」
「そりゃいいな。好きそうだ」
「好き」
「良かったな」
「うん」
粒のない餡子でね。つるん、と口に入って、甘いんだけど、ずっと食べれるくらいの甘さで……。
うん。説明が上手になってきたな。だが、聞きたいのは水ようかんのことではない。それに……。
「一条の料理人も、かなりお前の好みを把握してきたな。灯可が余程詳しく伝えてやがるとみえる。あいつには一回、釘を刺す必要がありそうだ」
「ん?何?」
おっと、口に出ていたか。
「いや。灯可と見可は、どうだった?赤ちゃんの話は喜んだか?」
成人が、あ、という顔をする。本人は、もう俺に伝えたつもりだったのだろう。よくあることだが、時々、その伝えたつもりの話が全て分かれば良いのに、と思う。いや、まあ。成人の頭の中で流れていく話をどう取り出すか、それもまた、俺の腕の見せどころか。
「どっちがちい兄上になるかって喧嘩してね。緋椀に怒られてた」
なるほど?
うん。分からん。
さて、どうするか、と唸っていると、首を傾げて俺の顔を見ている。
「いや。まあいい。お前が楽しかったなら、それでいい」
ぱあっと笑うその顔で、とてもとても楽しかったことは知れたから。
まあ、それでいい。
機嫌良く、膝の上に収まっている細い体を抱きしめる。後は寝るだけの、静かな夜の時間。この時間が、とてつもなく好きだ。
今日は、一条の家に招かれて行っていたはずだが、自分から話し出す程では無かったのか、成人はふわふわと笑っているばかりだ。楽しかった様子を思い出しているのか、ただ俺の腕の中にいるのが幸せなのか。
まあ、どちらもだろう。
成人が、俺の腕の中にいる時に幸せを感じているのは疑いようもない。……俺も、幸せだからな。
「灯可と見可に、赤ちゃんのお話してきた」
うん、そうだな。行くと言っていたな。初めて一人で、よその家を訪ねたのだろう?末良の所に行く時は、いつも乙羽と一緒だった。あちらは気軽な庶民の家だ。
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「水ようかん、食べた」
「……へえ。美味しかったか」
うん?かなり話が飛んだな?
「美味しかった。すごく、すごーくやわらかかった」
「そりゃいいな。好きそうだ」
「好き」
「良かったな」
「うん」
粒のない餡子でね。つるん、と口に入って、甘いんだけど、ずっと食べれるくらいの甘さで……。
うん。説明が上手になってきたな。だが、聞きたいのは水ようかんのことではない。それに……。
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「ん?何?」
おっと、口に出ていたか。
「いや。灯可と見可は、どうだった?赤ちゃんの話は喜んだか?」
成人が、あ、という顔をする。本人は、もう俺に伝えたつもりだったのだろう。よくあることだが、時々、その伝えたつもりの話が全て分かれば良いのに、と思う。いや、まあ。成人の頭の中で流れていく話をどう取り出すか、それもまた、俺の腕の見せどころか。
「どっちがちい兄上になるかって喧嘩してね。緋椀に怒られてた」
なるほど?
うん。分からん。
さて、どうするか、と唸っていると、首を傾げて俺の顔を見ている。
「いや。まあいい。お前が楽しかったなら、それでいい」
ぱあっと笑うその顔で、とてもとても楽しかったことは知れたから。
まあ、それでいい。
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