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第七章 冠婚葬祭
96 ただそれだけの話 成人
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「殿下。緋色殿下」
部屋の外からの声に、半分寝かけていた頭が、びっくりしている。
夜。お風呂に入った後は、お部屋で冷めたお茶を飲んで、緋色と髪の毛のお手入れをし合う時間。緋色は、俺の髪の毛の水分をすごく丁寧に拭いてくれる。冷えたら風邪を引くからって。それから、香油を塗って、ゆっくりと櫛で梳かす。
お昼寝しなかった日なんかは、気持ち良くて、ここで寝ちゃう。
俺も、緋色の髪の毛をお手入れしたいから、お風呂から上がった後で先にやりたいのに、風邪を引くから駄目だって、絶対許してくれない。もう気温が高くなったから大丈夫なのに。緋色なんて、お風呂上がりは上半身裸でうろうろしてる。今も、
「暑い」
って言って、パンツとズボンしか履いていない。
そんな時間に、部屋の外から声がしたのだ。髪の毛を、ふわふわと拭われるのが気持ち良くて、ぼけっとしていたから、外の気配には全然気付かなかったので、びっくり。
もともとうちの見回りの人は皆、気配は薄いけど。夜は特に、気配に敏感な住人たちのために、気配を消しに消している。
「良い訓練ですよ」
なんて、一ノ瀬の頭領の村正が言ってた。
一番敏感で、気を抜くのが下手くそだった半助が、ちゃんと寝られるようになったんだから、一ノ瀬たちは凄い。
俺もね。俺は、この部屋ではもう、気を張るのはやめたんだ。この部屋で死ねるなら、幸せだ。
これを言ったら緋色に怒られるから、言わないケド。
気を緩められる場所があるなんて、凄いことじゃない?俺は、緋色と俺の部屋の中がそう。もうね、友だちとか、お勉強の先生の青葉とか、部屋に入れてても何にも緊張しない事にした。
だって大丈夫だから。
上手く言えないけど、ここで大丈夫じゃなかったら、俺の大丈夫な場所なんてどこにも無いんだって思えるくらい、ここは俺の大事なとこ。
「何だ?」
緋色も、きっとそうだと思う。朝、なかなか起きないくらい、よく寝てる。
「表に、坂寄が来ておりまして。椿さまの髪を手入れせねばならないので、入れて頂きたい、と申しております」
「立ち入りは不可だ。あれは、うちの者じゃない」
「は。畏まりました」
うちでは、気を緩めていていい。そうできるのは、緋色が認めた、信頼出来る人とだけ暮らしているから。坂寄は、その中に入っていない。
それだけ。
ただそれだけの話。
部屋の外からの声に、半分寝かけていた頭が、びっくりしている。
夜。お風呂に入った後は、お部屋で冷めたお茶を飲んで、緋色と髪の毛のお手入れをし合う時間。緋色は、俺の髪の毛の水分をすごく丁寧に拭いてくれる。冷えたら風邪を引くからって。それから、香油を塗って、ゆっくりと櫛で梳かす。
お昼寝しなかった日なんかは、気持ち良くて、ここで寝ちゃう。
俺も、緋色の髪の毛をお手入れしたいから、お風呂から上がった後で先にやりたいのに、風邪を引くから駄目だって、絶対許してくれない。もう気温が高くなったから大丈夫なのに。緋色なんて、お風呂上がりは上半身裸でうろうろしてる。今も、
「暑い」
って言って、パンツとズボンしか履いていない。
そんな時間に、部屋の外から声がしたのだ。髪の毛を、ふわふわと拭われるのが気持ち良くて、ぼけっとしていたから、外の気配には全然気付かなかったので、びっくり。
もともとうちの見回りの人は皆、気配は薄いけど。夜は特に、気配に敏感な住人たちのために、気配を消しに消している。
「良い訓練ですよ」
なんて、一ノ瀬の頭領の村正が言ってた。
一番敏感で、気を抜くのが下手くそだった半助が、ちゃんと寝られるようになったんだから、一ノ瀬たちは凄い。
俺もね。俺は、この部屋ではもう、気を張るのはやめたんだ。この部屋で死ねるなら、幸せだ。
これを言ったら緋色に怒られるから、言わないケド。
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だって大丈夫だから。
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「何だ?」
緋色も、きっとそうだと思う。朝、なかなか起きないくらい、よく寝てる。
「表に、坂寄が来ておりまして。椿さまの髪を手入れせねばならないので、入れて頂きたい、と申しております」
「立ち入りは不可だ。あれは、うちの者じゃない」
「は。畏まりました」
うちでは、気を緩めていていい。そうできるのは、緋色が認めた、信頼出来る人とだけ暮らしているから。坂寄は、その中に入っていない。
それだけ。
ただそれだけの話。
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