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第七章 冠婚葬祭
141 親孝行 弐角
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臣が、義父上や義母上、橙々とぎこちない挨拶を交わして仕事に戻り、手伝おうと半助もそれについて行く。片手で何ができるんか、て言うのは野暮やな。その姿で皇家の護衛や。弱い護衛は危ないと教えてくれはった成人さまが、その身を任せている男。臣を一人で守り抜いた男。片手やろうが何でもこなしてしまうんやろ、きっと。
橙々が成人さまに声をかけようとしたところで、緋色殿下が部屋へ来られた。お一人で、気楽な格好で近寄って来られるのを固唾を呑んで待つ。
礼は不要と言われても、そんな訳にはいかん。全員で居住まいを正した。臣がおってくれたら良かったのに。臣は、おるだけでその場がほんわりとするような気がする。気のせいでもええ。おってほしかったなあ。
「よく来たな。楽にしろ」
当たり前に成人さまを抱き上げてそのまま腰を下ろす。……うん。いつも通りやな。
「壱鷹。公式訪問でもなし、適当にしててくれ。悪いがろくなもてなしはできん。明日の準備に人手が取られていてな。今回の結婚式は、本当にうちうちの話だったんだ。こんな大人数になるとは思わなかった」
殿下は、先ほど俺たちにも茶を配ってくれた少女が素早くやって来て机に置いた茶を手に取る。湯気のたつ湯飲みは、いつ見ても変わった形や。冷めにくいんやったっけ?殿下の膝の上の成人さまが、立ち上る湯気をふう、と吹く。
「こら、冷ますな」
「火傷する」
「俺は熱いのが好きなの」
「熱すぎ」
相変わらず、仲のよろしいことで。
隣で、父上の肩の力が抜けたのが感じ取れた。
「お声をかけて頂き、まことに嬉しゅうございました、殿下」
「そうか」
「はい。息子の、晴れ姿です。見ることができると聞いて、取るものも取りあえずまかりこしました。ほんまに、良かった……」
「そういうもんか」
「そういうものです」
殿下が手にした茶をすする。
「見たかった?」
「はい、ええ。とても」
「そうか」
可愛らしい、そうかが聞こえて笑いそうになった。ずっと一緒におったら緋色殿下の口調が移ったんかな。成人さまのそうか、は殿下の使うそうか、より納得したって響きが強いけど。
「緋色。壱鷹、父さまと同じこと言ってる」
「そういうもんか」
父さま。成人さまが父さまと呼ぶ相手。陛下かあ……。
「殿下方も晴れ着を?」
「着る。俺ももう一回結婚式」
にこにこと成人さまが笑った。
もう一回。一回目は勝手にやったんかな。やりそうやな、殿下。
「それは……親孝行をなさいましたな」
「おやこうこう」
「親を喜ばせることだ」
「おお。緋色、父さまと母さまを喜ばせた?」
「喜んでるみてえだから、そうなんじゃねえの」
結婚式に出席したいと言った俺、無茶苦茶いい仕事したな!
これは父上、褒めてくれるやろ。
橙々が成人さまに声をかけようとしたところで、緋色殿下が部屋へ来られた。お一人で、気楽な格好で近寄って来られるのを固唾を呑んで待つ。
礼は不要と言われても、そんな訳にはいかん。全員で居住まいを正した。臣がおってくれたら良かったのに。臣は、おるだけでその場がほんわりとするような気がする。気のせいでもええ。おってほしかったなあ。
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