【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

156 金魚はぞうと同じ  成人

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 食べ物がたくさん並んでいるから、まずは机の端から端まで見ようと歩く。何を食べようかなあ。あ、団子がある。団子食べたい。葡萄も!

「この間も、そう言ったわ……」

 一緒に歩いている母さまの小さな声。食べ物と反対側の母さまを見た。
 この間?

「もう、半年も前……」

 半年。六ヶ月。
 すぐには思い出せない。確かに、母さまとは長く会っていなかったかもしれない。

「そっか」
「どうして?」

 うーん。どうしてかな。
 大切な人やものが増えた。やりたいこと、やらなきゃいけないことが増えた。でも、俺の一日の時間は増えていない。うん。だからだ。全部はできなくなったから、俺は選んでいる。
 俺の一番時間を使いたい相手は緋色ひいろで、その次は家族だ。家族は、一緒に暮らしている好きな人たちのこと。その次は友だち。力丸りきまる村次むらつぐ三郎さぶろうみたいに家族で友だちっていう人もいるし、灯可とうかみたいな、一緒に住んでないけど仲良しになった友だちもいる。末良すえよしは何だろ。友だちともちょっと違うけど大事。もともと一緒に住んでたからやっぱり家族かな?
 商店街の八百屋のせいさんも友だち?商店街の人は皆、友だちかも。好きだし、時間を使って出掛けたくなるから、きっと友だちだな。
 そうやって順番がついている。はっきりちゃんと考えてみたのは今だけど、俺はこうやって考えて、やりたい事をやってるんだなあって納得した。
 金魚に会うのは、ぞうと同じくらいでも構わない。たまに見ることができたら嬉しい。

「忙しい、から?」
 
 どうしてかって説明するの難しい。

「ぶはっ」

 緋色ひいろが笑った。

「ん、何?」
「忙しいか」
「うん」

 そういう事じゃない?
 どうしてもその人やものに会いたい時や、その人と遊びたい時は時間を空けようと頑張るけど。そのうち金魚に会いたくなったら、何かと順番を入れ替えるんだろう。
 でも、絶対変わらないものもある。

緋色ひいろは一番」
「ん?なんだ?当たり前だろ」
「うん」

 母さまはお返事がない。
 分かってくれたのかな。ならいいな。
 会場の皆も、同じように連れ立って歩いたり、立ったままお話していたり色々だ。皆、楽しそうに笑っている。
 いいね。
 あ、灯可とうか見可みかがいた!
 声を掛けようとしたら、言い合いが始まった。

見可みか。まずはご飯を食べてからデザートだろ?」
「なんで?」
「なんでって……。そういうものだろう?」
「誰が決めたの?」
「そんなの、前から決まってる」
「ええー。今日はここから好きな物食べていいって言ってたのに」
「普通はご飯からだろ」
「俺は、団子と葡萄食べてから次考えるの」

 見可みか。俺もそうしようと思ってたよ。

 
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