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第八章 郷に入っては郷に従え
2 ぐぅって声 成人
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「う、動きにくい……」
着物と袴というのは、ばさばさと余分な布が多くて動きにくい。今はまだ暑い季節だからいいけど、寒くなったら、余った布のすき間から風が入って、すーすーして寒いんじゃないかな。
そんなことない?
「元の型からは外れますが、袴をもっと細身にしてしまいましょうか?」
「それでは、流石に不格好ではないかしら?」
「しかし、これだけ布に余分が出ると成人さまが疲れてしまいます」
「そうですね。裾を上手く捌きながら歩くのは、体力を使いますよ」
「袖も、あまり幅がない方が良さそうですよね。あと、左袖は長さを変えない方が良いかと私は思います」
まだ柄も何もない、真っ黒でもない薄い黒っぽい布で、着物と袴の形を俺の大きさで作ったもの、らしい。大きさはぴったりだ。いつもの服と同じように、左袖を短くしてある。
それを着た俺の周りをぐるぐると回りながら、涼乃絵と衣装部の四人が話をしている。
「やはり、軍服でいいのじゃないか?」
俺と同じ格好で、少し離れて立っていた緋色が言った。その姿で腕を組むの、格好良い!なんか、幅の広い袖の中に腕が入ってるのが、いい!
ぐぅ、って声が出た。
は。これはさっき祈里の喉から出てたのと同じ?
そうか。緋色のことを格好良いと思うと出る声なのか!祈里も緋色のこと格好良いって思ってるんだな。一緒だ。俺と一緒。
何か分かってすっきりして、俺はうんうんと頷いた。
「緋色、格好良い」
緋色はそれでいいんじゃない?だって格好良いし。いつも格好良いけど、もっと格好良くなってるよ。似合う。
「そうか」
緋色は、にやって笑うと俺に近付いて抱き上げた。すぐにぎゅって俺からもくっ付く。
なんかやっぱり布が邪魔な気がする。袖のさ、袖のこの、なんか余りがさ。足のとこも、くっつきにくい。
俺は、別に服とか何でもいいんだけどさ、動きにくいのが好きじゃない。何かあった時に咄嗟に動けないと緋色を守れないし。
「緋色殿下。やはり、郷に入っては郷に従えと申しますし、九鬼家次期当主の結婚式ならお着物です」
涼乃絵はそこは譲らなかった。
俺は、いつも通り緋色に抱っこしてもらって、考えている人たちを見る。うんうん言ってるのに楽しそうなんだね。
「袴でなく、留袖にしてしまう、とか?」
「……ありね」
祈里の言葉に、他の四人がはっとする。
うん、って頷いたりしてるから、解決策が見つかったのかな。
それなら良かった。
着物と袴というのは、ばさばさと余分な布が多くて動きにくい。今はまだ暑い季節だからいいけど、寒くなったら、余った布のすき間から風が入って、すーすーして寒いんじゃないかな。
そんなことない?
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「それでは、流石に不格好ではないかしら?」
「しかし、これだけ布に余分が出ると成人さまが疲れてしまいます」
「そうですね。裾を上手く捌きながら歩くのは、体力を使いますよ」
「袖も、あまり幅がない方が良さそうですよね。あと、左袖は長さを変えない方が良いかと私は思います」
まだ柄も何もない、真っ黒でもない薄い黒っぽい布で、着物と袴の形を俺の大きさで作ったもの、らしい。大きさはぴったりだ。いつもの服と同じように、左袖を短くしてある。
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ぐぅ、って声が出た。
は。これはさっき祈里の喉から出てたのと同じ?
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緋色はそれでいいんじゃない?だって格好良いし。いつも格好良いけど、もっと格好良くなってるよ。似合う。
「そうか」
緋色は、にやって笑うと俺に近付いて抱き上げた。すぐにぎゅって俺からもくっ付く。
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それなら良かった。
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