885 / 1,325
第八章 郷に入っては郷に従え
9 お城の厨房見学会 成人
しおりを挟む
何日かして、お城の厨房から帰ってこいと言われた公里は、ここでずっと仕事がしたいですう、と半泣きで帰って行った。やっぱり声は大きかった。
そんなにメモがしたかったのか。お城の厨房では、メモを取ってたら怒られるんだもんね。困るよねえ。メモ、あるとすごく助かるのに。
お城の厨房に帰りたくなさそうな公里が気になるし、先に帰った安次嶺も気になるので、お城の厨房に行ってみた。すごくたくさんの料理人がいて、びっくりした。
お城の厨房は、調理師免許が無いと入れないって聞いていたから、入り口とか窓からちょっと覗かせてもらおうかな、と思って行った。なのに、どうぞって言われから、中に入っちゃった。いいの?ほんとに?って思ったんだけど、案内してくれた人は包拳礼をして頭を下げて、どうぞ、としか言わない。ならまあ、いいのか。
村次と一緒だったから入れたのかな。でも前に、広末と一緒に行っても入れなかったって、免許がまだ無かった村次が言ってたよね。お城と離宮で、届くのが間違えてた材料を取り替えに行っただけなのに厳しいな、って困ってた。いつも広末が取り替えに行かなくちゃならなくて、困ってた。
お城の厨房には、見習いは一人もいないってことなのかな。じゃあ、お手伝いの使用人も入れない?
父さまや母さま、朱実殿下、赤璃さまの分の料理の他に、たくさんの使用人たちの料理も作っているのに、免許持ちしか入っちゃ駄目って言ってたら、大変じゃない?
思わず、きょろきょろしてしまう。こういうの、良くないかな。でも、うちと違う、よそのおうちを見るのって楽しい。
おお。お皿とかお鍋とか洗うとこは、厨房の中じゃ無いのか。厨房の横に、お皿洗ったり、野菜洗ったり皮を剥いたりするお手伝い部屋があるのか。免許持ちは、あんまりそういう作業をしないのかな。何だか色々、大変そうだ。
「矢渡。相変わらず何をしても鈍いな、お前は」
「すみません」
「安次嶺さんが、何日前に帰ったと思っている」
「すみません」
怒られているのは公里だ。矢渡って呼ばれている。どちらかが名字で、どちらかが名前なんだな、きっと。俺には分からないぞ。公里に、ちゃんと聞いておけば良かった。
「公里」
って呼んだら、そこに居た三人が全員、こちらを向いた。
名字だな、これ……。
そんなにメモがしたかったのか。お城の厨房では、メモを取ってたら怒られるんだもんね。困るよねえ。メモ、あるとすごく助かるのに。
お城の厨房に帰りたくなさそうな公里が気になるし、先に帰った安次嶺も気になるので、お城の厨房に行ってみた。すごくたくさんの料理人がいて、びっくりした。
お城の厨房は、調理師免許が無いと入れないって聞いていたから、入り口とか窓からちょっと覗かせてもらおうかな、と思って行った。なのに、どうぞって言われから、中に入っちゃった。いいの?ほんとに?って思ったんだけど、案内してくれた人は包拳礼をして頭を下げて、どうぞ、としか言わない。ならまあ、いいのか。
村次と一緒だったから入れたのかな。でも前に、広末と一緒に行っても入れなかったって、免許がまだ無かった村次が言ってたよね。お城と離宮で、届くのが間違えてた材料を取り替えに行っただけなのに厳しいな、って困ってた。いつも広末が取り替えに行かなくちゃならなくて、困ってた。
お城の厨房には、見習いは一人もいないってことなのかな。じゃあ、お手伝いの使用人も入れない?
父さまや母さま、朱実殿下、赤璃さまの分の料理の他に、たくさんの使用人たちの料理も作っているのに、免許持ちしか入っちゃ駄目って言ってたら、大変じゃない?
思わず、きょろきょろしてしまう。こういうの、良くないかな。でも、うちと違う、よそのおうちを見るのって楽しい。
おお。お皿とかお鍋とか洗うとこは、厨房の中じゃ無いのか。厨房の横に、お皿洗ったり、野菜洗ったり皮を剥いたりするお手伝い部屋があるのか。免許持ちは、あんまりそういう作業をしないのかな。何だか色々、大変そうだ。
「矢渡。相変わらず何をしても鈍いな、お前は」
「すみません」
「安次嶺さんが、何日前に帰ったと思っている」
「すみません」
怒られているのは公里だ。矢渡って呼ばれている。どちらかが名字で、どちらかが名前なんだな、きっと。俺には分からないぞ。公里に、ちゃんと聞いておけば良かった。
「公里」
って呼んだら、そこに居た三人が全員、こちらを向いた。
名字だな、これ……。
1,273
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる