【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第八章 郷に入っては郷に従え

101 一緒におでこを出す予定  成人

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 綺麗な鶴丸つるまるの剣舞を思い出して動いて、褒めてもらって嬉しくて楽しくて、もう少しだけ速く、と体に力を込めたら、力丸りきまるの剣がかん、と俺の剣に当たった。

成人なるひと。休憩だ、休憩」
「へ?はれ?」

 止まったら、急に剣が重くなったみたいに感じて、ふらりとよろけてしまった。あれ?んん?
 すぐにじいやに抱えられて、いつの間にか近くに置いてあった椅子に座らされる。渡された水筒が持てなくて、落としそうになった。力丸りきまるが、落ちる前に受け止めたけど。

「しまった。ちょっと遅かった。ごめん」

 え?水筒、間に合ったよ?俺は首を横に振ったけど、力丸りきまるは汗を拭きながら落ち込んでいる。俺は、あんまり汗はかかない。けど、体がちょっと熱い。
 じいやがぱたぱたと扇子であおいでくれる風が涼しくて、ふぅと息を吐いた。何か色々気持ちいい。たくさん動けたことも、この風も。ついでにじいやは、水筒にストローを差してくれた。ストローをくわえて飲んだお水が、冷たくて美味しい。冷たいの好き。水筒を手で持つのは諦めた。手がぷるぷるして力が入らない。力、使い過ぎちゃったなあ。
 ま、いっか。困ったら、助けてーって言おう。

「あ、あの、大丈夫ですか?」

 うーん。大丈夫じゃないけど大丈夫。ごめん、鶴丸つるまる松吉まつきち。心配させてごめんね。

「大丈夫」
「すみません、鶴丸つるまるさま。こいつ、体力無くて」
「あー、うん。何ともないならええんや」
鶴丸つるまるさまと松吉まつきちさまには何の落ち度もございません。何か言われたりとかそういうの、絶対無いんで」

 力丸りきまる鶴丸つるまる松吉まつきちに説明してくれた。そうそう、それそれ。大丈夫じゃないけど大丈夫なの。
 どうせ怒られるの俺なんで、って力丸りきまるはぼそっと言った。あは、そうだね。緋色ひいろは、力丸りきまるを怒る時はそのまま怒る。さて、どうするか、なんて考えなくて、すぐに、こらーって怒る。他の人に怒る時っていうのが、あんまり無いんだけどさ。怒る時は、すごく考えてから怒ってるんだなーって分かる。緋色ひいろが怒ると大変な事になるから、すぐに怒ったりしないように気を付けてるんだよね、きっと。朱実あけみ殿下もそう。いっつもそう。怒っても、怒ったふりなんだ。
 今日は俺がやり過ぎたけど、緋色ひいろはきっと力丸りきまるのおでこを弾く。力丸りきまる、ごめんね。俺も一緒におでこ出すよ。二人で謝ろうね。

「あ、いや。そんなことは、その、思うとらんよ」
「あの、これで、こいつともう遊ばないとか、そういうの無しで」
「え?あ、そんなん、今度から気を付けたらええやん?もう分かったし、うちらも今度から気を付けとくし」

 あー、良かった。

「あ、ほな、力丸りきまる成人なるひと殿下が休憩しとる間に」
「あ、やりますか!」
「やろうやろう!」

 手合わせ?
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